軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

サンゲツ

虎の聖獣、サンゲツは屋敷の一室で横になっていた。

怪我はない。

世界樹の葉のお陰だ。

使うまでもないと本人は拒否していたのだが、さすがにそうもいかず俺が使わせた。

命の危険はなかったらしいが、ひどい怪我だったからな。

申し訳ない。

ミエルたちにはきつく注意しておくので許してほしい。

そう謝ったら、逆にサンゲツから謝られてしまった。

「こちらこそ、亡くしたと思っていた息子の子孫に出会えたことで興奮してしまい、猫たちに無用の心配をさせてしまった。

ご容赦くだされ」

うーん、見た目は大きい虎だが、さすが聖獣と言うべきなのだろう。

謝罪合戦をしても仕方がないので、サンゲツからの謝罪を受け取り、改めて俺が謝ることで終わりとすることになった。

改めて、屋敷の一室で虎とサンゲツが対面した。

部屋にいるのは虎とサンゲツだけ。

ミエルたちは部屋の外。

俺が頑張って離した。

かなり怒っている。

だが、サンゲツは虎の血縁だ。

サンゲツは、虎が生きていることを喜んでいる。

そこは認めてやれ。

そして、落ち着いて話をさせてやろう。

……

わかってくれたか。

よしよし。

俺の手を噛むのはやめてくれ。

虎とサンゲツの話し合いで、虎は村に滞在することを希望した。

サンゲツは残念そうだったが、無理やりに連れ帰ろうとは思わないらしい。

俺に虎を頼むと言ってきた。

もちろんだ、任せろ。

それと、サンゲツは虎に名前を付けた。

ソウゲツ。

誘拐された子供の名だそうだ。

どうしても引き継いでほしいと虎に望み、虎が応じた。

いい名だと思う。

そのソウゲツはミエルたちを背に乗せ、屋敷内を散歩中。

外に出るとミエルたちが寒いと怒るからな。

ソウゲツは鬼人族メイドたちからも可愛がられているようなので、揉めることはないだろう。

問題は、魔王がソウゲツを睨んでいることかな。

ミエルたちを取られたと嫉妬している。

……

ミエルたち姉猫はソウゲツにべったりだが、まだアリエルたち子猫がいるだろう。

魔王に懐いているのに。

アリエルたちは魔王の足元でうろうろしている。

相手をしてほしそうだ。

魔王が相手しないなら、俺が……魔王がアリエルたちを抱えて部屋に 篭(こも) った。

アリエルたちを相手に、ミエルたちの愚痴を言うのだろう。

アリエルたちが愛想を尽かす前に止めたほうがいいと思うぞ。

サンゲツは村で数日滞在したあと、 五村(ごのむら) に移動することになった。

蛇の神の使いであるニーズに挨拶をしたいそうだ。

それはかまわないが、虎の姿でうろつかれると騒動の元になる。

ニーズを呼んだほうがいいんじゃないか?

そう思ったら、サンゲツは人の姿になった。

白髪の老人。

だが、背は曲がっておらず、スーツ系の服が似合っている。

ヨウコが人の姿になれるのだから、サンゲツが人の姿になってもおかしくはないか。

最初からその姿で来てくれたならなぁとは思っても言わない。

サンゲツはニーズに挨拶をしたら、そのまま故郷に戻るそうだ。

知り合えたのに残念だと思うが、 縁(えん) があったらまた会えるだろう。

簡単な送別会をして、サンゲツを見送った。

……

あっさりと帰ったな。

てっきり、ニーズに挨拶したついでに酒肉ニーズでグダグダするか、五村観光を楽しむと思ったのに。

聖獣はしっかりしているということなのだろうか。

ちょっと感心。

だけど、帰りがけに五村で山ほど土産を購入するのはどうなのかな?

いや、五村の商店は喜んでいるけど、いくつかの店で品不足が発生している。

冬場の品不足はすぐに補充できないから困る。

とくに醤油と味噌が危ないらしい。

品不足で値が高騰し始めているそうだ。

醤油と味噌は増産を命じても、すぐにできないからなぁ。

ヨウコが頭を抱えている。

これ以上の高騰が続くなら、五村で備蓄している醤油と味噌を出すことになるだろう。

商人たちに品不足になるほど売らないようにと注意……は難しいか。

売るのが商人の仕事だからな。

品不足で五村住人の生活が苦しくなっているのをなんとかするのは為政者の仕事。

ヨウコ、頑張れ。

もちろん、俺も手伝う。

と言っても、俺にできるのはゴロウン商会に在庫を出してもらうように頼むぐらいだが……

え?

ゴロウン商会の在庫も少ない?

老人が買い込んでいった?

……

今度、サンゲツに会ったら文句を言おう。