作品タイトル不明
オークションからの帰り道
オークションが終わって解散と思ったけど、落札した物があるのでその手続きにちょっと時間を取られた。
手続きと言っても、いくつかの羊皮紙にサインするだけだ。
落札品は、代金を支払ったあとの受け渡しになるので、後日。
マイケルさんから相談があると言われたので、明日も 五村(ごのむら) に来る必要がありそうだ。
あ、魔王はその場で支払って、受け取るのね。
テントを出ると、真夜中だった。
しかし、各所で 松明(たいまつ) が 焚(た) かれているので、それなりに明るい。
……
ニュニュダフネの発光に比べると、光の揺らぎと煙が気になるな。
あと、消費量。
五村全体でかなりの量の松明を使っている。
凄い量だろう。
対策を考えないと、近くの山が丸裸になってしまう。
シャシャートの街から輸入している薪もあるが、別の場所の山なら丸裸になってもいいというわけでもないだろう。
そういえば、王都では……あまり松明は使われていなかったな。
街灯があった。
魔法の 灯(あか) りか。
あれ、手に入らないかな。
などと考えていたら、魔王からこのあとの予定を聞かれた。
このあとの予定は、村に戻って食事。
いつも通りだ。
そう返事したら、食事に誘われた。
五村のヨウコ屋敷で、ユーリとフラウを誘って食事の予定があるらしい。
誘われたのは嬉しいが、料理は大丈夫なのか?
急に人数が増えると困るだろ?
ああ、外に注文するのね。
なるほど、それなら問題はないなって、注文する先は酒肉ニーズか。
まあ、ティゼルが同席するらしいから付き合う。
別れるのが寂しいから。
アン、すまない。
外食……になるのかな?
外食で済ませる。
ルー、ティア、ヨウコも同席を希望。
リアとアンは先に村に戻るそうだ。
ガルフとダガはどうする?
オークション会場だったグラウンドを出たところでそう聞いたら、二人は武器を構えて警戒モードだった。
どうしたと聞く前に、俺たちを取り囲む一団が現れた。
全員、武器を持っている。
「村長、ここは任せてもらおう」
そう言って、前に出たのはヨウコ。
「この地は我に任されている。
雑魚とはいえ、この地での 狼藉(ろうぜき) は見逃せんからな」
ヨウコが攻撃しようとする前に、俺たちを取り囲む一団の一人が倒れた。
後ろから殴られたみたいだ。
誰だ?
ただの住人の男っぽいが?
疑問に思っていると、住人っぽい者が次々に現れて、取り囲む一団を倒していく。
「村長とヨウコさまを取り囲むたぁ、テメェら覚悟してやってんだろうなぁ!」
どうやら、俺たちの敵ではなさそうだ。
えーっと、倒れて気を失っている相手を攻撃するのは止めるように。
殺しちゃうから。
「我は助けられたようだな。
……何者だ?
名を名乗れ」
ヨウコの質問に、最初に殴った男が応える。
「はっ。
ガハ=ローガです。
麓(ふもと) で小物売りを 営(いとな) んでいます。
村長とヨウコさまを取り囲んだので敵と判断し、攻撃しました」
なるほど。
「それはご苦労であった。
あとで褒美を取らせる」
「ありがとうございます。
ですが、五村に住んでいる者として、当然のことをしただけです。
褒美は遠慮いたします」
「ふむ。
では、褒美ではなく報酬を支払おう。
麺屋ブリトアの食券がここに百枚ほどある。
関わった者で分けよ」
「はっ。
ありがとうございます!」
……
ヨウコが領主っぽいことしてるなぁと感心しながら、俺は魔王をみる。
「 魔王(わたし) がいるのに襲ってくるって……知名度が足らないのかなぁ」
魔王は落ち込んでいた。
俺、ビーゼル、ティゼルの三人で慰めた。
「大丈夫。
そんなことないって」
「そうです。
魔王さまがここにいるとは思わなかったのでしょう」
「私を肩に乗せてたから、顔が見えなかったのよ」
警備隊が駆けつけ、俺たちを取り囲んでいた者は全員、拘束された。
俺たちを取り囲んでいたのは、十七人。
遠方で有名な盗賊団らしい。
それがどうして、ここに来たのだ?
オークション会場から出てきたところを狙ったのは、 金(かね) を持っていると思われたのだろうか?
詳しい事情は、これから取り調べられる。
ティゼルには怖い思いをさせてしまった。
大丈夫か?
よしよし。
しかし、間の抜けた盗賊団だ。
こちらには魔王やヨウコ以外にも、ルーやティア、リアにアン、ガルフ、ダガまでいるのに襲ってくるとは。
なんにせよ、しっかりと調べてもらおう。
ほかに仲間がいるかもしれないしな。
盗賊団が街に侵入できてしまったのは問題だが、この辺りで活動していない盗賊団なら止めようがない。
遠地の盗賊団の情報を入手できる方法を考えないとな。
あとは警備隊に任せ、俺たちはヨウコ屋敷に向かう。
ビーゼルの転移魔法は、村の中では極力使わないようにしているので徒歩で移動。
さきほどの一件があったからか、ガルフとダガの警戒が強い。
しかし、それ以上に街の住人の警戒が強い。
そんなにがっちりガードしなくても大丈夫だぞ。
気持ちは嬉しいけどな。
それと魔王。
そんなに気合を入れてアピールしなくても、魔王だってわかるから。
名乗りながら歩くのはやめよう。
恥ずかしい。