軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

特産品 66日目

五村(ごのむら) での地下商店通りの建設が急ピッチで進んでいる。

俺は頑張ってトンネルを拡張するだけだ。

崩れないように【万能農具】でトンネルを補強することも忘れない。

拡張時の注意点としては、高さが必要なので先に上の方から掘らないといけないことだ。

ざくざくと掘っていく。

うん、まだまだかかりそう。

のんびりとやろう。

箱だけ作って、中身が 伴(ともな) わないのはよろしくない。

五村の特産品を考えようと思う。

そうヨウコに言ったら、すっごく意外そうな顔をされた。

そんなに変なことを言ったかな?

違った。

なんでも、五村にはすでに特産品があるそうだ。

マヨネーズ、味噌、醤油の調味料。

五村酒(ごのむらしゅ) 、五村酒改と名付けられた酒。

五村に住むドワーフたちが作り出す鉄製品。

五村に住むエルフたちによる織物製品。

五村とその周辺の村で飼育している鶏の肉と卵、牛肉、豚肉、山羊肉、羊肉。

そして、五村の近隣で討伐される魔物、魔獣の素材。

どれもこれも、一つあれば村や街としては十分な特産品らしい。

そして、文化面でも薬草院、図書館、劇場、大浴場、イベント施設、野球場があり、そのどれかを目当てに旅人が訪れている。

特に人気なのが図書館。

当初は各地で集めた話を記録した本を置くだけだったので、利用者はほとんどいなかった。

文字が読める人が少なかったからだ。

そこで図書館での読み聞かせを始めた。

子供たちに本や文字に興味を持ってもらうため、短めの話を読んで聞かせる。

そんなコンセプトだったのだが、これが大当たり。

子供だけでなく大人たちも聞きにくるようになった。

こうなると、読んで聞かせるほうも力が入る。

複数人で読んで役割を分担し、照明や効果音の演出が加えられた。

そうすると、読みやすい物語が選ばれるのだが当然ながら数に限界がある。

そこで、図書館では物語の創作が始まった。

各地で喜ばれている物語の研究を行い、聞き手に喜ばれる物語を生み出していく。

もちろん、全部が全部、喜ばれたわけではない。

不満を持たれた物語もある。

だが、それを 糧(かて) に新たな物語を生み出し続けた。

そして、そういった活動をしているとの評判が、各地で物語を書くことを趣味にしていた者を集めた。

現在では、五村の図書館は物語の一大創作集団として評価されている。

ちなみに劇場ができたのは、読み聞かせの発展だそうだ。

劇場はまだ発展途上だが、劇場での演技を専門にする者たちが生まれ始めているらしい。

そのうえで、五村は学園とレース場、地下商店通りを建設している。

学園は五村の住人を対象にしているから、外部にはあまり影響はないだろうがレース場は違う。

レース場で行われる競技に参加するため、競技を対象に行われるギャンブルに参加するため、さらに人を集めるだろう。

地下商店通りは、学園と同じく五村の住人を対象にしているが……どうなるかわからない。

シャシャートの街に作られたビッグルーフ・シャシャートは、シャシャートの街の住民を対象にしていたが、今では魔王国中から人を集めているらしい。

同じになるとは言わないが、結果を予想するのはむずかしいだろう。

「ほかにもラーメンという強力な食があるし、聖女のいる教会、ピリカを中心とした警備隊もある。

なのにまだ特産品を作ると?」

ヨウコの言葉に、俺は素直に謝罪する。

五村ならではの品でもあればと思ったのだが、思った以上にあった。

俺の認識が甘かった。

いや、ちょっとした食品を作ろうと思っただけだ。

油揚げは知っているだろ?

あれを使って、お稲荷さんを作るつもりだったんだ。

お稲荷さんは……油揚げを三角に切って、甘く煮て……こう酢飯……酢を 塗(まぶ) した御飯だ。

それを入れて完成。

お詫びとして、ヨウコに三つほど作って差し出す。

「なるほど。

……美味い。

それに手軽に食べられる」

「油揚げの材料としての大豆、中に入れる酢飯用の米。

この二つの生産を五村で進めているだろ?

お稲荷さんは特産品としては弱いかもしれないが、甘く煮るときの調整や酢飯の改良で個性が出せる。

また、酢飯にこだわらずに混ぜご飯やパスタ、餅などを入れたりと変化も出せるから住民の好みに合わせやすいかなと思ったのだが……今の五村には不要だったか」

「村長、意地の悪いことを言うでない」

五村の特産品として、お稲荷さんの生産が決まった。

ただ、大々的に売り出すのは大豆と米の生産が上手く行ってからになる。

それまでは、五村の村議会場の食堂に並ぶぐらいに抑えられる。

「村長代行権限で、一皿は確保させてもらおう」

「ずるいですよ。

村長代行でも、ちゃんと並ぶべきです。

お稲荷さん、好きな人は好きなんですから」

「なるほど。

では、村長代行権限で私の昼食時間を少し早めるとしよう」

「ヨウコさま、どうあってもお稲荷さんを確保する気だ」

「なぜか、妙に気に入ってな」

人気は上々のようだが……知名度が高まるのは先になりそうだ。