軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

神水(ソーマ)とニュニュダフネ 48日目

妖精女王が大人状態でいることを説明してたら、 神水(ソーマ) のことで、ルーとティア、フローラから問い詰められた。

在庫はなし。

生産する予定もなし。

そう答えたら、がっかりされた。

なんでも、神水は薬品研究の超貴重で重要素材だそうだ。

どれぐらい超貴重かとルーが言うには……

「ド、ドラゴンの 鱗(うろこ) ぐらい」

だそうだが、よくわからない。

ドラゴンの鱗なら、そこらに落ちてるし。

最近はヒイチロウの鱗をよく回収する。

成長期なのだそうだ。

喜ばしい。

でも、鱗は決まった場所に捨てるように注意しないとな。

「ドラゴンの鱗の価値が暴落している……」

「ルーさんは間違っていません。

ただ、ここが原産地なだけです」

「そうです。

お姉さま。

原産地では、価値が下がるものですから」

ルー、ティア、フローラの三人が仲良くしている。

微笑ましい。

じゃあ、まあ、そういうことで俺は……

逃げられなかった。

神水の生産に関しては、妖精女王に止められたのもあるが、世界樹の葉をこれでもかと使うのでもう作らない方針だ。

「ドワーフたちによれば、中樽いっぱいにするのに世界樹の葉が二千枚ほど必要らしい」

中樽で四リットルぐらいだから、一リットル作るのに五百枚かな?

「そんなに必要ないから!

一滴、一滴で十分だから!」

そう言われても、妖精女王に止められているから。

「研究分として!

もしくは、レシピの公開をお願い!」

「レシピは公開するが、世界樹の葉の採取は駄目だぞ」

「ど、ど、どうして?」

「世界樹に住んでる巨大な蚕たちから、ちょっと取り過ぎとクレームがきたから」

「くっ……」

「鬼人族メイドたちが桜餅を作るために採取してたから、その余りをもらうのはどうだ?」

「確認したけど、全部、塩漬けにされてた……」

「そ、そうか。

まあ、花畑の横で育てている世界樹が大きくなれば、採取してもかまわないから」

「本当?

約束よ!」

「あ、ああ」

世界樹が一本しかないのは怖いので、花畑の横で世界樹を畑一面分育てている。

最初の世界樹はすぐ育ったのに、畑で育てているほうはゆっくりだ。

まだ若木状態。

葉が採取できる大きさになるには、何年先になるかわからないが……

それは言わないでおこう。

とりあえず、神水に関してはここまでで。

本題は、位階の上がった妖精女王の影響で、子供ができやすい現状を……

妻たち、いや妻候補たちの会議が始まった。

俺は別室で待機。

なぜか監視付き。

俺、逃げないよ?

「信じております。

監視は抜け駆け対策です」

抜け駆けって……

会議の結果と、そのあとの俺に関しては語らないでおく。

ある日、ルーが切り株を持っていた。

切り株は……

「こんにちはー」

ニュニュダフネだった。

「こんにちは。

ルー、ニュニュダフネを連れてどこかに行くのか?」

「 五村(ごのむら) でトラブルがあってね。

その解決にニュニュダフネが必要なのよ」

「トラブルの解決にニュニュダフネが?」

「ええ。

一緒に来る?」

「かまわないのか?」

「別に秘密にすることじゃないしね」

五村のトラブルは、採掘現場関連だった。

五村から少し離れた場所に、七つの採掘現場がある。

そのうち、四つは水脈に当たって水没して採掘不可能との判断がされたのだが、ルーの作った連鎖式氷結弾を使って採掘再開を目指している。

上手くいけば、五村だけでなく世界中の水没した採掘現場での採掘が可能となるのだから、魔王やビーゼルからも期待されている。

今回の問題はこっちではなく、無事に採掘できている三つの採掘現場。

その現場に行くための道にある。

「魔物が出没して、採掘した物が運べないのよ」

なるほど、それは問題だ。

しかし、その解決になぜニュニュダフネが?

冒険者に頼めばいいじゃないか?

「出没する魔物があれなのよ」

ルー……ではなく、ニュニュダフネが指した枝の先には………………普通の森だぞ?

「トレントよ。

見た目が木だから、襲われるまでトレントと判断できないの」

それだと、冒険者による駆逐は厳しいか。

……あれ?

木に擬態する魔物で、ウッドキラーってのがいなかったか?

あれとは違うのか?

「似てるけど、別物よ」

トレントは近くに来た動物を襲う木の魔物。

ウッドキラーは木に擬態して獲物に近付き、襲う魔物だそうだ。

見た感じは似ているが、生態や戦闘方法、弱点が全然違うらしい。

そして、一番違うのはトレントが会話可能ということだ。

「それで、話し合いでなんとかしようと思ってニュニュダフネに頼んだの。

お願いね」

「お任せを」

切り株姿のニュニュダフネは人の姿になり、一本の木に近付いていった。

相変わらず全裸だ。

美人だから、目の毒だ。

その全裸美人は、木にローキックをした。

「私が来たってのに、無視とはいい度胸だ!

舐めてるのか?

あぁ?

舐めてるよなー」

ガラの悪いチンピラのような口調。

あれー?

村じゃそんな喋り方、したことないよね?

だが、その喋り方に効果があったのかニュニュダフネの周囲に無数の木が集まってきた。

「な、舐めてないですよー。

勘弁してくださいー」

トレントに交戦の意思はないようだ。

「舐めてないってなら、どうして挨拶に来ない?

私が森に入ったのはわかっていただろうが!」

「す、す、すみません」

「調子に乗ってるなら……」

全裸のニュニュダフネは、自分の片足を地面に突き刺した。

「ここらの栄養、私が全部奪うぞ」

「ひぃぃっ、か、枯れる、枯れるぅぅっ!」

全裸のニュニュダフネは一通り恫喝して高笑いしたあと、トレントたちに移動を命じた。

「ルーさま、どの辺りに移動してもらいます?」

態度の豹変に、ちょっと困惑する。

「計画だと、北に向かって新しい採掘現場を探すみたいだから、東側に移動するのがありがたいかな」

「わかりましたー。

テメェら、東に移動だ!」

「ひ、東は強い魔物がいるから」

「あぁ?

私よりも怖い魔物がいるってのか?」

「は、はい……」

「どんな魔物だ?」

「ウォーベアです。

あいつら、俺たちの体に傷をつけてくるから……」

「だそうですが、どうしますー?」

ニュニュダフネがルーに確認する。

「ウォーベアなら、ガルフになんとかしてもらうわ。

とりあえず、しばらくのあいだはこの辺りを通る馬車を襲わないように」

「わかったかぁ!」

「は、はい」

現状、トレントの被害は荷馬車の馬や牛だけなので、見逃される。

人は素早いし、火を使うこともあるから手を出さないらしい。

できれば、馬や牛にも手を出さないでほしい。

ニュニュダフネとトレントの話し合いで、移動は十日後から。

それまでにガルフが、五村の冒険者や警備隊を率いてウォーベアを退治して回るということになった。

ガルフに予定を聞いてないけど大丈夫かな?

「お任せください!」

問題なかった。

ガルフを中心にウォーベア退治のチームが編成された。

警備主任のピリカ、五村で修行中のチェルシー、白銀騎士、青銅騎士、赤鉄騎士も参加。

青銅騎士は青銅茶屋に専念かと思ったけど、参加するんだな。

たまには剣を振り回さないと、体調が悪くなる。

そういうもんか。

退治の報奨金は俺が出すから、ウォーベアに限らずどんどん狩ってくれ。

でも、トレントは見逃すように。

終わったら、酒肉ニーズで宴会できるように手配しておく。

ガルフが出発する直前で、ダガが合流。

いや、別に仲間外れにする気はないから。

参加していいから、無理しちゃ駄目だぞ。