軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ハウリン村

ガルフたちが帰った。

結局、ガルフたちの目的は偽り無く友好だった。

手土産の用意が無かったのは、単純にハウリン村にそういった風習が無いのと、貧乏だからだそうだ。

その辺りを聞いて、ルーやティアに再確認すると、友好に手土産を持ってくるのは確かに裕福な街や貴族のやり方かもしれないと唸っていた。

普通にも色々あるなぁ。

思い込みはよろしくない。

さて、友好は了承したが、その先の交易となると相談が必要になる。

ガルフの話では、交易と言っても物々交換の市みたいなものだそうだ。

この村もそうだが、ハウリン村では通貨の流通はほとんど無いらしい。

それと、本来なら双方の村で交互に市を開催するのが普通らしいが、できればハウリン村でのみ開催してほしいとのことだ。

これは横暴でもなんでもなく、この村に商品を持って来るのはかなり大変で、それを考えると商品の価値が高くなり過ぎて交換されない場合があるし、交換出来ても持って帰るのも大変らしい。

大変なのはこちら側も同じじゃないかと思ったが、ここに住んでいるんだから来るのぐらい大丈夫だろうと言われた。

確かに、ルーやティアは単独でここまで来られたわけだし、クロ達に頼めば荷物も運べるかもしれない。

それに、参加する形だけなら、気に入らなければ取り止めることも簡単だ。

悪くない。

となると、次は何を交易するかだ。

ハウリン村では、様々な鉱石やそれを使った製品を取り扱っているらしい。

ガルフの話で色々と聞いたが、気になったのは塗料。

色の付いた岩を砕き、様々な色を用意できるらしい。

宿のフェンスに色を付けられる。

それと、銀製品。

主に食器が取り扱われているらしい。

村では俺が木で作った食器が中心なので少し憧れる。

ガラス製品。

俺のイメージする透明度は無いらしいが、それでも大小様々な瓶があるらしい。

これにルーとフローラが食いついた。

薬の保存にガラス瓶が良いらしい。

ハチミツの保存にも向いているだろうし、

鉄製品。

鉄の鍋やフライパンがあるらしい。

一応、アンやダガ達が来た時に鉄製の調理器具がいくつか村にやってきたので使ってみたが……石製より圧倒的に調理がしやすい。

欲しい。

ハウリン村が希望する品は食べ物。

作物だ。

山の中腹なので、食料確保に色々と苦労しているとのことだ。

食事に出た果実系は評判が良く、是非頼むと頭を下げられた。

あと、ワインも。

持ち出すのが作物であるなら、こちらもそれほど困らない。

いや、村の人口も増えているので食料の備蓄的には困るが、人口が増えたからこそ畑エリアを大規模拡張しても良いかもしれない。

ともかく、交易というか物々交換の市は、ハウリン村の他にもいくつかの村が参加するので、秋ぐらいに行われるのでまだ先のことだ。

それまでに皆と相談して、考えよう。

相談の結果、畑の大規模拡張が決まった。

現在の八×八の六十四面から、十六×十六の二百五十六面に一気に四倍になった。

さすがに俺一人で耕すのには限界がある。

限界があるが、【万能農具】は俺しか使えない。

頑張った。

限界って突破できるものだと思った。

実際は、俺の耕す速度が上がっているのだと思う。

慣れだろうか。

耕すのは俺がするが、世話や収穫は皆の協力が必要だ。

リアやダガたち、それにザブトンの子供たちに頑張ってもらった。

ちなみに、二百五十六面の畑のうち、六十四面が酒用のブドウ畑だ。

四分の一が酒で良いのだろうか。

良いんだろう。

なにせ、俺以外のほぼ全員が賛成していたのだから。

その後、相談しながら畑を作っていく。

小麦、大麦、大豆、稲、トウモロコシの穀物類をメインに。

ニンジン、ジャガイモ、キャベツ、トマト、カボチャ、キュウリ、ナス、ダイコン、ほうれん草、タマネギ、ニンニクなどはこれまで通りの量を。

予想外に推奨されたのがアブラナとサトウキビ。

アブラナは油のためで、サトウキビは砂糖のため。

それと調味料系。

胡椒やゴマ、トウガラシは売れるだろうから量産すべしとの意見だった。

そういえば、ワサビにチャレンジした。

水田での栽培なので、ため池の近くを【万能農具】で耕し、土手を作って囲んだ後に水を流し込んでみた。

それっぽくなった。

そして成功。

ワサビを獲得できた。

……

できたが……使う料理がなかった。

味噌、醤油の製作は、俺の手からフローラに移った。

俺がやるより、フローラの方が手際が良かったからだ。

理屈ややり方を教え、後は分量を量ってトライ&エラー。

そうそう、麹に関しての発見。

【万能農具】をシャモジにして、麹になれと願いながら作物を混ぜ、醗酵させると上手くいった。

大体、願った通りの麹ができる。

専用の醗酵小屋を建て、現在も実験を続けられている。

主に味を知っている俺の希望を叶えるために。