軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

五村で領主っぽく振る舞う

俺は 五村(ごのむら) で頑張った。

五村の有力者たちからの謝罪を受け、村議会に出席。

練習した言葉とポーズでなんとか乗り切った。

正直、一日で心が折れそうだった。

だが、ちゃんと三日通う。

心の癒しは、ヨウコの娘であるヒトエ。

大樹の村にいる時は牧場で牛の背中で寝てたり、クロの子供の背に乗って山羊たちと戦っていたりする。

ただ、冬場は寒いので俺の屋敷か、セナの家にいる。

セナの家にいるのは、最近はセナの娘のセッテと仲がいいからだ。

セナとも仲が良く、子狐の姿でセナの肩に乗っている姿をみることができる。

羨ましい。

俺の肩にも乗ってくれないかなとか思っていた。

そのヒトエが、俺の五村行きに同行してくれた。

ルィンシァの提案だ。

五村に俺のことをアピールするのと同時に、ヨウコの娘と仲良くすることで、俺とヨウコの仲が円満であることをアピールするそうだ。

なので、五村ではヒトエは常に子供の姿。

子狐の姿だと、ヨウコの子だとわからないからな。

アルフレートたちを同行させる案もあったけど、俺のアピールが霞むとのことでまたの機会になってしまった。

残念。

二日目。

五村の各施設を視察。

その後、初日と同じようにヒトエを 抱(かか) えながら、来客の挨拶を受ける。

大きな広間で、三段高い場所の椅子に俺が座り。

来客を迎える。

広間には俺への来客が入って順番待ちをしており、名を呼ばれた者が俺の前に出て挨拶する。

前に出ているけど、俺が三段高い場所にいるので距離が遠い。

それなりに大きな声を出さないと会話が成立しない。

俺は代わりに声を出してくれる使用人がいるけど、来客は地声で頑張らないといけない。

結構、大変だ。

一応、無駄に大声を出させているわけではなく、ちゃんと意味がある。

発言に責任をもたせることと、俺に変なことを吹き込ませないためだそうだ。

変なこととは、簡単に言えば他人の悪口とか、同情を誘うようなことだ。

確かに、周囲に順番待ちをしている者、挨拶が終わったあとも控えている者などがいる状況では、下手なことは言えないだろう。

しかし、俺の関心を得ようと、あらゆることをしてくるので油断しないようにとルィンシァに注意された。

大袈裟なと思ったけど、大声で俺を褒め称える人や大声で自分を売り込んでくる人がそれなりにいて驚いた。

そして、ルィンシァは無礼者の顔と名は忘れていいと言ってくれるが、覚えてしまう。

俺、簡単だなぁ。

来客の中で、俺が大きな声を出して会話したのは一組だけ。

ゴロウン商会のマイケルさん、マイケルさんの息子のマーロン、そして護衛のミルフォード。

俺が五村に来るとの連絡を受けて、シャシャートの街から急いでやってきたそうだ。

いや、マイケルさんたちならここで会わなくてもと思うが、衆目の中での挨拶は大事なのだそうだ。

「我がゴロウン商会は、村長に金貨二百枚、銀貨二万枚をお納めいたします」

そして、その衆目を驚かせることも。

このお金は納めると言ってるけど、投資みたいなもの。

五村で何かする時、この金額分は優遇してくださいねというお金だ。

そして、これだけの金額を納めているからこそゴロウン商会が優遇されるのだという他の商人へのアピール。

ゴロウン商会の優遇に不満があるなら、これ以上の金額を納めてみせろという挑発。

商人は商人で大変らしい。

ただ、俺は納められたお金より、マイケルさんたちがシャシャートの街から運んできてくれた海産物のほうが嬉しい。

納められたお金、ゴロウン商会に預けるし。

帳簿の数字がちょっと動く程度の意味しかない。

荷馬車六台分の海産物のほうを喜んで、なにが悪いというのだ。

代金は払うけど。

ちなみに、他の来客もなんだかんだとお金や物を納めてくれた。

きっちり記録を残しておくが、やはりゴロウン商会がずば抜けていた。

もらったお金はともかく、物はどうしよう?

剣とか宝石とか生地とか。

俺の自由にしていいのはわかっているけど、ルィンシァに相談。

下賜(かし) するのにちょうどいいから、ヨウコ屋敷の保管庫に入れておいたらどうですかと。

なるほど、そうしよう。

……

ヨウコ屋敷の保管庫、何もないな。

保管する物はなかったのかな?

ヨウコに確認。

「我は金銭、物品を受け取っておらぬからな。

収める物はない」

なるほど。

俺もそうすればよかったかな。

「村長、 我(われ) が金銭、物品を受け取らなかったのは、受け取った分の責任を果たせないからだ。

村長なら何も問題はない」

「どういうことだ?」

「五村の者たちは税を納めている。

それ以外に金銭、物品を渡してくるのは対価を求めてだ。

地位、名誉、優遇。

我はその対価を払えんが、村長なら払えるであろう」

「地位、名誉、優遇なら、ヨウコでも払えそうだけど?」

「我は村長の一言で解任される立場だぞ。

無責任なことはできん」

「別に解任なんかしないぞ」

「それが言えるのは村長だけだ。

金銭、物品を持ってきた者たちも、やっと一息つけたであろう。

これまでは、誰にコネを作っていいかわからず困っていたからな」

「そうなのか?」

「基本、五村の住人は余所から流れて来た者で構成されているからな。

五村が恵まれた場所であればあるほど、追い出されないように必死だ。

なのに我は税以外を受け取らない。

力がある者は、力で自分の価値を見せつけるが、そうでないものは……」

……

「先日の子供の件。

その辺りも影響している。

すまなかった」

「何度も謝ってもらっただろ。

気にするな」

「では、もう謝罪はしないでおこう。

あと一日、頑張ってくれ」

「了解」

五村にはあと一日、いる予定。

明日は警備隊の活動に同行しながら、 麓(ふもと) の牧場などの見学だ。

まあ、問題はないだろう。

そういえば、ドライムの巣に行った、ハクレン、ヒイチロウ、グラルは大丈夫だろうか?