軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

猛吹雪

天候がかなり荒れるからと、 鷲(わし) がフェニックスの雛のアイギスを俺の部屋のコタツの中に隠しに来た。

なぜ俺の部屋のコタツの中に隠す?

アイギスも大人しく隠されているんじゃない。

いや、それどころではないか。

鷲がそのまま俺の部屋に留まっていることから、本当に天候が荒れるのだろうと慌てて村人に連絡をした。

少し遅れて、ハイエルフのリア、天使族のティアからも天候の異変を確認。

上空にいる 四村(よんのむら) からも連絡が入った。

それから半日。

屋敷の外は凄いことになっていた。

猛吹雪だ。

雪が荒れ狂っている。

牛や馬、山羊や羊、鶏などを小屋に押し込んでよかった。

さすがにこんな天候で外にいたら危ない。

小屋の中なら安全だしな。

まあ、窮屈かもしれないが少しの間は我慢してほしい。

もちろん、牛や馬たちだけでなく、野外で活動しているクロの子供も小屋や屋敷に入れている。

小屋や屋敷に入れる時、クロの子供たちは天気ぐらいで大袈裟なという顔をしていたが、今の外の猛吹雪をみて助かったという顔をしている。

クロやユキはどうかわからないが、村で生まれた世代にはこの猛吹雪は初体験だろう。

俺も初体験だし。

森の蜂たちの巣は、元から冬前に板で雪避け、風避けを追加しているので大丈夫だろう。

見回ると、蜂は蜂で悪天候に 備(そな) えていた。

逞(たくま) しい。

大樹の上で寝ているザブトンに関しては、大丈夫だと起きているザブトンの子供たちが教えてくれた。

よかった。

門番をやってくれているレッドアーマーとホワイトアーマーは屋敷の中に避難している。

ははは。

いいんだ、いいんだ。

暖かい場所で門番を頼む。

屋敷のほうは猛吹雪でもビクともしない。

ただ、窓ガラスを使っている部分が危ないかもしれないので木板で塞いでいる。

なので、室内は魔法の明かりや魔道具の明かりだけになるが……

まったく問題ない。

食料や燃料の備蓄も十分だ。

猛吹雪が一ヶ月続いてもなんとかなる。

まあ、一ヶ月も続くとなると他に問題がでそうだけど。

さすがにこの天候なので、ケンタウロス族の連絡員の移動は中止。

これは今回だけでなく、以前から天候による中止を打ち合わせていた成果だ。

これぐらいの天候でも飛び出しそうだが、無茶はしないでほしいと伝えているから大丈夫だろう。

四村は上空だし天候の影響は受けないので心配無用。

五村(ごのむら) はかなり南方なのでこの辺りと天候が違うので心配は少ない。

心配なのは 一村(いちのむら) 、 二村(にのむら) 、 三村(さんのむら) 。

大丈夫だろうか?

温泉地も心配だ。

死霊騎士は大丈夫だろうが、ライオン一家はどうなのだろう?

いざと言う時は、温泉地の宿泊施設の中に避難するように言っているが……

心配だが、この猛吹雪ではどうしようもない。

猛吹雪が収まったら、様子を確認できるように移動の準備をしておく。

あとは無事を祈るだけだ。

さて、とりあえず猛吹雪が収まるまでは屋敷に篭城だ。

ホールでは避難しているクロの子供たちが、いくつかのグループに別れて遊んでいる。

チェスが人気だな。

ただ、ボードの数が限られているので見学者が多い。

次に人気なのがボール遊び。

ころころと転がすだけなのだが、白熱して賑やかになり、鬼人族メイドに睨まれて静かになるを繰り返している。

昼寝している一団の中には、子猫が混じっているな。

仲がいいなぁ。

客間ではドース、ライメイレン、ギラル、マルビット、ルィンシァ、始祖さんがコタツに入ってお酒を飲んでいた。

外の猛吹雪が嘘のような光景だな。

ただ、本当に最悪の万が一の事態を考えると、頼もしい戦力だ。

そう思いたいからもう少し酒を控えて欲しいなぁ。

特にマルビット。

酔いすぎじゃないかな。

ヨウコには五村に詰めてもらっている。

この猛吹雪では、転移門のあるダンジョンまで行くのも大変だからだ。

そして、五村には子供たちが母親と一緒に避難している。

凄く抵抗されたが、強行した。

嫌がったのは子供たちではなく、母親たち。

俺が避難しないのが不満だそうだ。

しかし、こういった時ほど村にいるべきなのが村長だとおもう。

村長の自覚は 欠(とぼ) しいかもしれないけど、それぐらいの責任感はある。

それに、クロの子供たちやザブトンの子供たちを置いてはいけない。

そんなふうに覚悟を持って挑んだのだけど……猛吹雪でも建物がビクともしないので不安がない。

正直、ちょっと楽しくなっている。

台風を喜ぶ子供のような気分だろうか。

まあ、子供と母親たちは五村だが、それ以外の住人はほとんど残っているからあまり変化はないのだけど。

鬼人族メイドたちが、夕食に向けて準備してくれている。

俺の部屋には、鷲とアイギスの他に、クロとユキ、酒スライム、猫のライギエル、宝石猫のジュエル、あとザブトンの子供たちがたくさんいた。

コタツの一角に席を空けてくれたので、そこに潜り込む。

ははは。

酒スライム、酒を用意してくれるのは嬉しいが、その酒はどこから出したのかな?

この部屋に隠していた俺の酒だよな?

ああっ、すでに半分ぐらい消えてる。

なに?

酒スライムだけじゃない?

俺が見回すと、クロとアイギスとライギエルが目を逸らした。

お前たち……

猛吹雪は昼ぐらいから始まり、翌日の夕方ぐらいまで続いた。