軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

三杯目の天丼 フローラと鬼人族メイドと牛

新しい住人が増え、一気に賑やかになると同時に大変になるぞと思っていたら、さらに増えることになった。

そのきっかけは春の終わり、クロたちの子供で妊娠した者たちのお腹が膨らみ始めた頃にやってきた一人の女性。

「ふふふ。なかなか面白そうな所ね」

夜、コウモリを従わせ、空中一メートルぐらいの場所に浮きながら移動する女性。

見た感じ、二十代後半?

なかなかの美人さんだ。

衣装が身体にピッタリと密着するタイプのドレスなので、ボディラインがしっかりとわかる。

胸とお尻は小さめのようだ。

髪は銀色で首ぐらいの長さで切り揃えられている。

見た感じというか、どう見てもルーの関係者だった。

ルーのお姉さん?

それともお母さん?

とりあえず、ルーを呼んで会わせようとしたら……その前にクロたちが集団でボコり始めた。

最初にルーに会った時を思い出す。

妊娠している者が居るから攻撃的になっているのかな。

女性が二十代後半からあっと言う間に小学生低学年ぐらいにさせられていた。

着ていた服も魔力で維持するのが難しくなったのか全裸だ。

そしてガチ泣きが入っている。

ティアと会った時を思い出した。

とりあえず、俺がクロと彼女の間に入り、ルーが来るまで現状維持。

彼女が泣きながらも俺の首筋から目線を逸らさないのが少し怖い。

いや、回復したいのだろうけど……血は与えない。

ルーの敵だった場合は困るからな。

ルーが来て、話がすぐに纏まった。

「フローラ?」

「お姉様!」

彼女はルーの妹だった。

詳しく聞くと、 従姉妹(いとこ) らしい。

名前はフローラ=サクトゥ。

ルーを探しに来たらしい。

「戻ってこないからあの腹黒天使にやられたのかと思って回収に来たのに、あんな目に遭わされるなんて……」

「まあまあ」

ちなみに、ルーが俺を紹介した時。

「私の旦那様」

「この人間がお姉様の?

あまりパッとしませんわよ」

「さっきのインフェルノウルフの主で、ここのトップだから」

「大変無礼なことを申しました。

ご容赦ください」

見事な態度の豹変を見た。

しかし、それよりも気になる……聞き逃せないセリフがあった。

「インフェルノウルフって……クロたちのことか?」

「そうだけど」

インフェルノウルフ。

厳つい名前だが……それよりもウルフ。

ウルフ。

オオカミ?

え?

犬じゃないの?

いや、角があったけど……

えーっと……

まあ、オオカミだろうが関係無い。

うん。

ちなみに、真っ白なフブキは、突然変異種でコキュートスウルフというらしい。

ルーの従姉妹ということで、フローラに血を与える。

何度見ても、女の子がグングンと大きくなるのは不思議な光景だ。

見ていたらルーが俺の目を塞いだ。

ティアとかリアたちは気にしないのに、従姉妹だと気にするのか。

なるほど。

フローラを家に連れていくと、ティアと遭遇して一悶着。

皆と同じようにザブトンとその子らを見て気絶。

畑の収穫をしているルーを見て困惑。

作物やそれを使った料理を食べて感動。

賑やかだ。

その後、十日ほどフローラは俺の家の空き部屋に滞在し、帰っていった。

この場所に飽きたのではなく、本格的にここで住むらしい。

ただ、前に住んでいた場所に色々と残しているので、それらを整理するために帰るようだ。

物凄く帰りたくなさそうだったので、それなりに早く戻ってくるだろうなと思っていたら意外に遅く、戻ったのは冬前。

一人ではなく、それなりの人数を連れてきた。

吸血鬼、フローラ=サクトゥが連れてきたのは、二十名のメイド。

前の屋敷で働いていた者らしい。

種族は鬼人族で、よく見ればメイドたちの頭部に小さな角が見える。

大体が額……髪の毛の生え際ぐらいに一本か二本。

親指ぐらいのサイズだ。

メイド長の名前はアン。

「主様。

末永く、よろしくお願いします」

出会い頭に俺を主認定していた。

フローラにそう言われたのだろうか?

違った。

フローラとメイドたちは、俺の家に住むらしい。

なので主様なのだろう。

命令系統がややこしいなぁ。

と思っていたら、ルーとフローラ、それにアンたちが話し合い、整理された。

吸血鬼一族として、ルーとフローラしか存在しないが、一応はルーが吸血鬼の代表となるらしい。

鬼人族の代表はアン。

で、アンたち鬼人族は、メイドとして俺の身の回りの世話を第一とし、第二にルーやフローラの世話をするらしい。

俺の世話が第一で良いのかと疑問に思ったが、序列は大事だと言われた。

まあ、いいか。

アンたちメイドの活躍は後にするとして、それよりも大事があった。

牛だ。

アンたちは牛を四頭、引き連れてきていた。

フローラがここに滞在している時に、足りない物として伝えたのを覚えていてくれたのだろう。

牛。

四頭中の三頭は妊娠中のメス。

牛乳のことを考えてくれている。

おおっ。

犬エリアの北側、果実エリアの東側に畑八×八面サイズの大きな牛エリアを作った。

一気に耕した。

牧草が生えるように頑張った。

もうすぐ冬だったが、リアたちに頼んで牛舎を作ってもらった。

アンたち鬼人族メイドの寝る場所が足りないので倉庫とかを臨時の寝床にしてもらいつつ、牛舎を優先した。

アンたちよりも牛の方が冬に弱いだろうと考えたからだ。

牛の世話に関しては、アンたちが知っているとのことで安心する。

フローラが戻ってくるのが遅かったのは、牛を手に入れるのと世話の仕方を学ぶためだったらしい。

感謝である。

そして一番大事だったのは、クロたちやザブトンたちに絶対に牛に手を出さないように伝えることだった。

牛たちは、クロたちやザブトンたちに怯えていたが、少ししたら気にしなくなった。

よし。

これで牛乳が確保できる。

聞いた話だと、常に搾乳できるワケではなく、子牛を産んだ後の一定期間だけらしい。

まあ、それはそうか。

牛も俺たちに飲ますために母乳を作っているワケじゃない。

子牛のためだ。

俺たちはそれを分けてもらうだけ。

傲慢にならないように注意しよう。

ともかく、一気に住人が増えた。