軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

獣人族の男の子たちの学園生活 秋の教師生活

俺の名は……おっと、僕の名前はシール。

大樹の村出身の獣人族の男。

同じように大樹の村出身の獣人族の男であるゴール、ブロンの二人と一緒にガルガルド貴族学園に生徒として入学。

色々あって、今は三人とも教師をやっている。

細かいことは気にしない。

僕たちの担当科目は生活。

生徒全員に教えているわけではなく、僕たちの授業を受けたいと希望する者が対象。

建築、農業、狩り、釣り、料理などを教えている。

ただ、僕たち三人では手が足りない。

だから、学園生徒で知識のある者に協力をお願いした。

「我が家の力、見せつけてくれよう」

訳)実家が村の小領主でさ、家を建てるのに関わったことならあるぜ。

「土の香り、悪くはないな」

訳)畑、作っていいんですか?

「私に野山を駆け回れとは愉快なことを」

訳)狩りなら任せろ。

「我に話しかけるな、無礼者め。

……まあ、竿の美しさは認めるところではあるが」

訳)まだまだ未熟者ですが……釣りなら。

「くだらないこと言わないで。

それ以上、口を開くなら剥くわよ」

訳)実家、メイドとかいないから。

料理も自分でやらないと駄目だったのよ。

貴族学園なのに、思った以上に協力者が見つかった。

貴族といえど、全員が裕福なわけではないということだろう。

領民と共に、似たような生活をしている貴族もいるそうだ。

だから、その知識は僕たちよりもしっかりしているのかもしれない。

頼もしい。

頼もしいが……君たち、ちゃんと他の授業に出ているよね?

こっちにずっといる気がするんだけど?

居心地が良いからって言われても……ちゃんと貴族の勉強しないと怒られるんじゃないかな?

僕たちの教室は、校舎内にはない。

これはイジメられているのではなく、使わないからだ。

僕たちの家の傍の土地を学園から借り、そこで授業を行っている。

まあ、風景的には家を建てたり、畑を作ったり、料理をしたり。

村でよく見た風景だ。

まだ数ヶ月しか経っていないのに懐かしい。

そう言えば、武闘会の時期にビーゼルのおじさんが村に連れて行ってくれることになった。

楽しみだ。

ここでの授業には慣れたが、問題がいくつかある。

まずは雨。

建てた家の中で授業をすることになるのだが、やれることが極端に少なくなる。

なので雨が降ると料理系以外は中止。

個人的には村長の真似をして、小物作りに励んでいるところだけど……人に見せられるレベルには達していない。

次に、クラブ活動。

元が僕たちの行動がクラブ活動になり、そのまま授業になった。

なったのだが、クラブ活動はクラブ活動で残った。

「世の中には、鳥かごの中を選ぶ鳥もいると思うのです」

訳)授業だと夕食は作りませんよね?

私の夕食の為に、クラブ活動は残してください。

これがクラブ活動が残った理由。

別にクラブ活動が残っても問題じゃないだろ?

問題なのは人数。

現在、授業を受けに来る生徒の数は僕たち三人をまとめて、大体四十人前後。

クラブ活動で来るのは、六十人ぐらいになっている。

授業後のほうが人口密度が高いのだ。

一応、これでも一時期よりはかなりマシになっている。

寮の食事改善が進んだからだ。

一時はクラブ活動で二百人近く集まっていた。

マシにはなったけど、授業を受けに来た生徒の大半はそのまま残ってクラブ活動に合流するので、夜には百人ぐらい揃っていたりする。

「夜に見る花も美しいものですね」

訳)毎晩、大きな夜会のようですがお金は大丈夫ですか?

その様子から、こんな風に心配されたりもする。

最後の問題がそのお金。

問題と言っても僕たちの資金は大丈夫。

村長からもらったお金がまだまだあるし、マイケルおじさんのゴロウン商会と連絡がついたから。

おっと、マイケルおじさんからお小遣いをもらったわけじゃないぞ。

学園の北にある森で狩った魔物や魔獣の素材を、ゴロウン商会に買い取ってもらっているだけだ。

これがほどよく稼げる。

他の商会でも買い取ってくれるけど、こういったのは信頼できるところに売るようにってガルフのおじさんに言われているからゴロウン商会だけに売っている。

ゴロウン商会なら問題はないだろう。

しかし、まさかゴロウン商会があんなに大きいとは。

驚いた。

そして、学園長には悪いことをした。

今度、作ったケーキを差し入れしておこう。

うん、だからいまだに思い出してグチグチ言うのは止めてほしい。

話を戻してお金の問題だけど、簡単に言えば会計。

元から僕たちが持っていたお金、売って稼いだお金だけならいいのだけど、教師をやっているので月々のお給料、授業のための準備金、生徒関係者からの寄付金、王都の商人たちからの 心付(こころづ) けが入ったことで会計が必須となった。

特に授業のための準備金は、用途を明確にしなければならないので大変だ。

ブロンにばかりやらせてすまない。

そして、事務担当のお姉さんとイチャイチャするんじゃない。

羨ましいぞ。

え?

僕にもいるだろうって?

いるけど……あの三人といると、なぜか捕食される小動物の気持ちになるっていうか……ちょっと怖いんだ。

うん、イチャイチャなんてとてもとても。

その点、ブロンはいいなぁ。

ゴールもエンデリ嬢と仲良くやっているし。

……

村に帰った時、村長に話を聞かせてもらおう。

さて。

問題はあるけど、絶望するほどではない。

小さなトラブルはあるけど、なんとかクリアしている。

収支的にも問題はないし順風なのだろう。

気になる点は……ひとつ。

学園に向かう前、村長から都会の生活を学んでくるようにと言われたのだけど、僕たちが教える側っておかしくないかな?

村長の言ってた都会の生活と、僕たちの教えている生活は別なんだろうけど。

まあ、考えても仕方がない。

なるようになる。

今日も頑張らねば。

「では、本日の授業を始める」

僕の宣言に、待機していた生徒たちが武器を持つ。

狩りや釣りの道具ではない。

戦闘用の武器だ。

これらも授業のため。

言い忘れていたけど、最近、僕たちの生活の授業では戦闘も教えている。

戦闘は生活に入るのだろうか?

これは細かくない疑問だ。

だが、学園長の許可は出ている。

希望者もいる。

考えちゃ駄目なのだろう。

一応、学園長に抵抗はしたんだよ。

「さすがにこれは、暴風の中を羽ばたく鳥のようではありませんか?」

訳)僕たちは人に教えられるほど強くないんだけど?

笑われた。

あと、気にせずに教えろと言われた。

うーむ。

まあ、教えて欲しいと言うなら断らない。

頑張る。

でも学園の生徒以外の参加は勘弁してほしい。

それと、軍人の参加はちょっと困る。

グラッツのおじさん、ここでサボらないでよ。