軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

五村の産業発展計画 第三弾

休憩を挟みながらも、会議は続く。

「 五村(ごのむら) の農業ですが、農地の確保はできました。

ただ、本格的な農業は来年以降です。

今年は土作りに専念したいとのことです」

当然の手順。

問題なし。

いや、問題はあるのか。

五村の現在の農業自給率はかなり低い。

常に外部から食料を買わないといけないので、ゴロウン商会に頑張ってもらっている。

食料事情なので早急に改善したいが、こればかりはどうしようもない。

土作りは大事だからな。

……ダンジョンイモを使ってみるのはどうだ?

あれは枯れた後、良い肥料になるのだろう?

あ、もうやってるのね。

失礼しました。

「畜産は牛、羊、山羊、豚、鶏が本格的に始動しています。

現段階で飼育に問題はありませんが、五村に供給されるまではまだ数年かかります」

これも当然。

生き物だからな。

「当面は、外部からの仕入れと、冒険者たちが狩った魔物、魔獣の肉でまかなう予定です」

外部からの仕入れ……ここでもゴロウン商会に負担をかけるな。

申し訳ない。

俺の謝罪に、マイケルさんが儲けているので大丈夫ですと返事。

助かる。

冒険者たちの方に問題は?

「五村近隣から魔物、魔獣が姿を消しました。

これは計画通りです。

現在は北に六時間ほど移動した場所を中心に狩りを行ってもらっています」

そこから肉を持って来てくれているのか?

「いえ、臨時の出張買取所を設置しました。

解体、輸送を五村で行うことで、肉量の確保に努めています。

冒険者たちからは、出張買取所に食堂や酒場、宿を作って欲しいとの要望が来ています」

出張買取所は知らなかったが、冒険者たちが森の中で安全に食事や寝泊りできる場所が欲しいとの要望は、俺も聞いている。

主にガルフ、ダガ、ピリカから。

一応、その解決策として俺が指示したのがキャンピング馬車。

食堂、酒場、宿の機能を一台に全てを詰め込むのは無理なので分割。

馬の数を減らす為にも、小型化を目指した。

調理設備を搭載した料理馬車。

これに食料馬車、水馬車を追走させることで、食堂として活躍させる。

酒類の販売を中心とする酒場馬車。

これは馬車内で飲むのではなく、酒を運ぶ事をメインに酒の落下防止対策を施した。

飲むのは外でどうぞ。

最後に、一台で二人が宿泊できるように、ベッドを詰め込んだ個室馬車。

これはさすがに、一台では足りないだろうと十台用意した。

冒険者の数から、それでも足りないのはわかっているが、大量に用意するわけにもいかない。

それ以外の者たち用に、野営用のテントや装備を満載した馬車。

シャワー設備のあるシャワー馬車。

これで我慢してくれ。

食料馬車や水馬車が複数必要だったので、全部で二十台になってしまったが用意した。

用意できてしまった。

山エルフたち、頑張った。

いきなり魔物や魔獣のいる森で使って不具合が出ても困るので、今は五村の頂上で試験的に展開している。

ガルフ、ダガ、ピリカ、それにピリカの弟子たちがあとで感想をくれる手筈だ。

その感想を元に改良した後、正式採用。

これで、冒険者たちが少しでも多く魔物や魔獣を退治し、肉の確保に繋がってくれればありがたい。

しかし、これでも食料確保はゴロウン商会に頼ることになる。

出来立ての村だから仕方がないといえば仕方がないが……

そういえば、大丈夫なのか?

「なにがです?」

俺のふとした疑問に、マイケルさんが答えてくれる。

他の地域は、少し前まで食料難だったのだろう。

魔王国四天王の一人、ホウがダンジョンイモを使った農地改造を各地で行い、食料難からは脱した。

だが、少し前まで食料難で困っていたのだ。

それだったら、売り渋るんじゃないのか?

値段的に無理させていないか?

「そんなことはありません。

ダンジョンイモの効果を目にした農村や商人は、今年の収穫後の値崩れを心配して、今のうちにと売り込みをかけています」

なるほど。

豊作だったら全員がハッピーというわけではないのか。

考えさせられる。

「まあ、簡単に値崩れさせないように、魔王国も動いていますよ」

マイケルさんの視線に、ビーゼルが頷く。

「ランダンは胃を痛めているでしょうけど」

ははは。

今度、ランダンに会ったら優しくしてやろう。

……

だが、そうなると……

大樹の村の作物も、値が下がるか?

「いえいえ。

高級食材として価値を保っております。

生活に余裕がある方が競って求められております。

今年も、よろしくお願いします」

マイケルさんは、絶対に生産量を減らさないようにお願いしますと続けた。

「増やしていただいても構いません。

全部、買い取りますから」

か、考えておこう。

「続いて、外交面ですが……これはエルフのお二人から」

樹王と弓王が同時に席を立ち、こちらに向けて頭を下げる。

「報告させて頂きます。

私は五村の西側を担当しました。

西側各地に点在していたエルフの集落十七、全て五村に従うとの誓詞を出しました。

一部、戦闘が発生しましたが粉砕しました。

損害は負傷が六人、死者はありません」

「私は五村の東側を担当しました。

東側各地に点在していたエルフの集落二十二、全て五村に従うとの誓詞を出しました。

こちらでは戦闘は発生していません。

事前にドワーフのフアノ氏から連絡をしていただけましたので、その成果かと」

……

あれ?

外交だよな?

誓詞ってなんだ?

おかしいと思っているのは俺だけか?

俺が隣のヨウコを見ると、ヨウコは頷いて二人に確認してくれた。

「二人とも、よくやった。

他にエルフで敵対する可能性のある場所は?」

……

ヨウコ、違う。

そうじゃない。

外交って、仲良くしようってするやつだろ?

エルフは上下関係をキッチリしないと交渉できない?

基本、相手を下に見ると……

ヨウコの説明に俺は樹王と弓王をみる。

「恥ずかしながら、その通りかと」

「格付けさえしてしまえば、従順ですので」

……

考えてみれば、リアのあとに他のハイエルフたちが来た時も、そんな感じだったか?

うーむ。

「それで、敵対する可能性のある場所は?」

「はっ。

ここよりかなり遠いので問題ないかと思いますが、有名所ではギグの森の槍王、ガウの森の風王、後はエルフ帝国を名乗る勢力があります」

……エルフ帝国?

「大陸ではなく、一つの島にエルフが集まっている国です。

詳細は申し訳ありません」

樹王の言葉に、ビーゼルが続けた。

「シャシャートの街から南西方向に、商船で十五~二十日ほどの場所にある大きな島です。

そこで五千人ほどのエルフが生活していると聞いています。

魔王国支配下ではなく、独立を保っているのですが、外部とはあまり関わろうとはしません」

外部と関わろうとしないなら、放置で。

うん、戦船を用意するとかの話はなしで。

攻め込まないから。

他の二箇所は?

……ハウリン村の北東ね。

なるほど。

確かに遠い。

こっちも放置で。

……

あれ?

その辺りって、前にアンデッドが出た場所じゃなかったっけ?

……

関係あるのかな?

それとも無関係?

……

今度、始祖さんに聞いてみよう。

「最後になりますが、村の住人からの要望をいくつか」

聞きましょう。

「これだけ発展しているのだから、村じゃなくて街と呼びたいとの要望が。

これは村に来た旅人や商人からも言われています。

騙されたと」

騙したつもりはないけどな。

仮の名前の五村が、そのまま採用され続けた結果だ。

村が街の規模になったのは、想定外だし。

まあ、問題があるなら変更しよう。

五街(ごのまち) に名前を変えてもいいし、五に拘る必要もない。

街の名に案があるなら聞こう。

……

はい、誰も言いません。

あ、ヨウコが手をあげた。

どうぞ。

「前に村議会でその辺りを話し合ったことがあるのだが……“ヒラクの街”というのが有力だった。

それでよいか?」

却下だ。

さすがに自分の名の街など恥ずかしい。

ヨウコは“ヨウコの街”と名付けられて平気なのか?

……

平気そう。

気にしないと。

大物だなぁ。

「あの、五村の名が変わると、誓詞を全て書き直さねばならないのですが……」

樹王と弓王の意見。

「書類面での仕事も山のように増えます」

文官娘衆の意見。

俺は無難をいく男。

「頂上を 五村(ごのむら) とし、側面部や裾野を 五街(ごのまち) とする」

対外的に、行政を示す場合は五村。

「周知徹底するように」

これで問題なし。

なしだといいな。

その後も、なんだかんだと会議は続いた。

終わったのは夕方。

疲れた。