軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

五村の道

転移門に入り、 五村(ごのむら) へ。

屋敷の土台作りと平行して、建材が次々に運び込まれる。

作業はハイエルフ、リザードマンが中心だが、大樹のダンジョンにいるアラクネのアラコやザブトンの子たちも協力してくれている。

ありがたいが、あまり見られないようにな。

ビックリするらしいから。

文官娘衆たちから、強く言われている。

俺も屋敷建設で色々とやることがあるが、まだ先なので別のことをする。

それは五村の区画の決め直し。

五村は、小山の上の平らな部分に村を作る予定だった。

だが、現在は小山の側面部分に街が出来上がってしまっている。

上の五村への移住が許されたら、移動すると言っているのだが、全員を受け入れるのは無理だ。

空間的に。

元々は頑張って六百人ぐらいの計画だったのだ。

五千人超はどうやっても無理。

かと言って、一部だけを受け入れると格差が出来てしまう。

そこで、魔王国側というかほぼ住民代表みたいになっている先代四天王の二人と相談。

現状の形でなんとかまとめようと。

そこで、上の五村部分の役割を変更。

俺の屋敷、教会、役場という、五村の行政関連の場所にする。

移動は自由だが、住む事が出来るのは、極一部に限定。

あと、広場。

運動するスペースだな。

小山の側面だから、平らで広い場所がほぼない。

それは上で受け持つしかない。

俺としては子供たちの遊び場のつもりで提案したのだが、集会をする場所として良いと賛同を受けた。

そうか。

そういった場所もいるのか。

住民全員は無理にしても、代表者を集めてもそれなりの数になってしまう。

役場の横に、会議場を作るべきなのだろうか?

要検討。

五村の小山の高さは、四百メートルほど。

高いのか低いのかは判断が難しい。

周囲にある山も似たような高さだ。

山の頂上から、もっとも傾斜の緩やかな南側斜面に急カーブで折り返すジグザグの道が作られている。

つづら折りというのだったかな。

馬車での輸出入がメインになると想定し、馬車二台が問題なくすれ違える広さの道だ。

急カーブの場所は、休憩できるように広く空間を取っている。

ここまでは当初の予定通り。

予定通りじゃないのが、この道を中心に街が形成されていること。

完全に大通りみたいになっている。

さすがに、ここを馬車で移動するのは気が引ける、というか危ない。

いや、普通に見てても怖いからガードレールをつけて欲しい。

あ、命令の方が良いのね。

じゃあ、つけて。

道に関しては、新たな道の建設を考える。

いっそのこと、登りと降りで別ルートにした方が安全かな。

街が左右に広がっているので、ルートを確保する為に急いで確定。

小山の東と西に一本ずつ。

同じくつづら折りの道。

馬車専用道とした。

いや、絶対に歩くなってことじゃなくて、馬車が来たら道を譲るようにということ。

え?

どこの道でも馬車優先?

そういうものなの?

あー、前にどこかで聞いたかもしれない。

小山の上と下には、防壁が作られている。

上の防壁の幅が二メートルぐらい。

高さは……どういえば良いのかな?

小山の上は平らだと言っても、多少のデコボコがある。

防壁の作られた外周部も同じ。

最低でも三メートルぐらいの高さを維持するように作られている。

防壁としては低い部類らしいけど、石を組んで作られているので、俺には立派に見える。

出入り用の扉が東西南北に四箇所。

そこは他の部分よりも厳重に。

そして南が正門なのか、他と比べて立派で大きい。

下の防壁は……一キロぐらい出来ているけど、左右はまだ閉じられておらず未完成。

どこまで作るのかな?

まさか、小山の下を取り囲むつもりじゃないよな?

上の防壁よりも高くて頑丈そうだけど?

小山を登る道を守るだけじゃ駄目なのか?

あー……どうしても森や地上でやらないといけない仕事をする空間を確保する為か。

現在は冒険者たちが常駐して、魔物や魔獣を退治していると。

将来的には下で畑を広げると聞いているが……

そこも防壁で囲むのか?

……

正面の山と右側に見える山の間を防壁で防ぎ、

さらに左側に見える山の間をって……山と山の間を防壁で塞いで谷間に畑を作るのか?

スケールが大きいな。

何年計画だ?

十年?

いや、二十年か?

え?

さすがに来年中は無理だと思うぞ。

気合とかの問題じゃなくて、人数的に……

それに、魔物や魔獣は手強いんだろ?

無理するなよ。

冒険者をさらに大量に雇い、大討伐計画がある?

そ、そうか。

えーっと……

何度も言うが無理するなよ。

先代四天王の二人と話をしていて、わかったのはこの五村に集まった住民の内容。

初期はある程度の事情を知った者が来ることになっていたのだが、どこから噂を聞きつけたのか各地の住民が移住を希望して移動してきた。

主に、西側から。

つまり、戦争によって被害が出た場所だ。

ミノタウロス族やケンタウロス族みたいなものだな。

優しくしてやろう。

ところでだ。

まだ増えそうな気配があったりするのか?

今は止めている?

ということは、増えそうなのか?

シャシャートの街?

ああ、人が増えているという話だな。

そこであぶれた者が、ここの噂を聞いて来ていると……

噂って?

ビッグルーフ・シャシャートの関係者が、村を作っている。

……

どこでバレたんだ?

いや、極秘にしていたわけじゃないからな。

考えれば、色々なルートがあるか。

しかし、俺としては目立ちたくない。

この村の代表となるマーキュリー種に頑張ってもらおう。

五村近くの森の中で、ガルフとピリカが魔物と戦っていた。

邪魔しないように、戦いが終わるまで待ってから近付く。

俺の護衛として同行している、ハイエルフ三人とダガも同じように。

そう驚かないで欲しい。

ちゃんと近付く時に声を掛けただろ。

ガルフは元気だったが、ピリカは疲労困憊だった。

大丈夫か?

ああ、返事はしなくていい。

息を整えてくれ。

ガルフは……ん?

ああ、新手の魔物か。

変な生物だな。

陸生のウミウシ?

キーンルーン?

魔法を使うのか。

生意気な。

なんとかなるか?

わかった、任せる。

ピリカと一緒に待機……え?

行くの?

ちょ、やめた方が……

息を整えてから。

戦いは待ってくれないって、そうかもしれないけど……休める時には休まないと。

あ、駄目だ。

ガルフ。

師匠として、注意。

ダガはガルフと交代して、あの魔物を退治。

無理に倒さなくても、追い払うだけでいいからな。

うーん。

なんだろう。

ピリカが焦っているように見える。

いや、焦っているのだろう。

なにかタイムリミットでもあるのだろうか?

ピリカは自由になったが、まだ自由になっていない弟子が百人ぐらいいる?

ピリカが逃げない為の人質?

強くなって戻らないと、弟子が危ない?

……

「村長。

すみません。

当分、ピリカを集中的に鍛えたいと思います」

ガルフの決意。

ダガも協力すると、意気込んでいる。

わかった。

そういった事情なら、こちらも協力を惜しまない。

しかしだ。

強くなって戻っても、弟子たちは解放されるのか?

ピリカが強くなっても、根本的な解決にならないんじゃないか?

……

でも、どうしたら良いんだろう。