軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ハイエルフ

「リアです」

「リースです」

「リリです」

「リーフです」

「リコットです」

「リゼです」

「リタです」

リア、リース、リリ、リーフ、リコット、リゼ、リタ。

自己紹介してくれた七人の女性たちは全員が同じ種族で、耳が長かった。

「エルフ?」

「ハイエルフですが……エルフで構いません」

違いがよくわからない。

「ティアさんに薦められ、ここに来ました。

お願いします。

ここに住ませてください」

「えっと……」

俺がティアを見ると、彼女は俺の両肩に手を置き、顔を寄せてきた。

「彼女たちの悲しい過去を説明するわ」

彼女たちハイエルフは、ここよりかなり北の場所に集落を持って生活をしていたのだが、二百年ほど前に人間の戦争に巻き込まれて壊滅。

その際、一族は散り散りになり、放浪しながら定住できる場所を探しているのだそうだ。

「これまではずっと森の中を移動しながら生活をしていました」

「定住できる場所がなければ、一族を増やすこともできません」

「お願いします」

七人は頭を下げる。

彼女たちに頭を下げる習慣は無いが、事前にお願いの作法としてティアに教えられたらしい。

なので不慣れな感じなのだが、それでも七人の女性に頭を下げられると、少しビビる。

そんな体験をしたことが無いからだ。

「労働力としても期待できるし、お願い」

「私も良いと思うわよ。

ハイエルフの一族は優秀だと聞くし、見た目も良い。

貴方たち、まだ若いのでしょう?」

ティアは強く押し、ルーが賛同する。

「一番上が私ですが、四百と少しです」

「私が一番下で、三百ぐらいです」

リアが最年長で、リタが最年少らしいが変化がわからない。

全員、スラっとした大学生? もしくは高校生ぐらいに見える。

エルフだからか、全員が美形。

もしくは可愛い系だ。

ともかく……定住希望だが……

労働力が増えるのは、正直な感想で嬉しい。

「色々な同居人が居るけど、喧嘩はしないようにしてくれるなら構わない」

だから、俺は許可を出した。

「ありがとうございます」

「一所懸命に頑張ります」

「よろしくお願いします」

七人の女性たちから、歓喜の声が上がった。

七人の女性たちはその後、ザブトンを見て気絶し、クロたちを見てもう一回気絶していた。

クロたちを見て気絶するのは初めてだな。

……

犬が苦手なのだろうか。

その後、七人の寝床の確保のための小屋作りが行われた。

個別ではなく、七人で住める場所が良いとのことで、大きめの小屋を建てることになった。

大きめの小屋の時点で、小屋じゃないか。

普通に家だな。

さすがに七人が住めるサイズとなると、一日では完成しない。

しばらくはリアたちが持参していたテントで寝てもらう。

小屋の建設場所はリアたちの希望を聞いて、ため池予定地の南、新畑エリアの西の場所になった。

俺の寝床からは南西になる。

少し離れた場所になるが、構わないのかと聞いたら、是非ここにとなった。

なぜだろう?

南西エリアを畑と同じように四面×四面の十六面で区切ると、真ん中少し北よりの位置が建設希望の場所だ。

周囲に何もなく、ポツンと建つ感じで寂しく思えるが……

まあ、希望はできるだけ叶えてやろうと、言われるままの場所を建設予定地にする。

その後、まずは南西エリアを区切るためにも、丸太柵と掘を作る。

新畑エリアと接する部分の掘は……少し考えて残した。

人が住む場所は、少しでも防衛が硬い方が良いだろう。

その後、井戸とトイレの場所を決めて建設。

今後を考えて地下室とゴミ捨て場も作っておく。

俺は出たゴミを全て【万能農具】で肥料に出来るが、彼女たちは出来ない。

だから、ゴミ捨て場が必要だ。

掘る作業や木を切る作業は俺の独擅場だったが、木材を用意した後の建設では七人は頑張った。

いや、俺よりも力があり、器用だった。

丸太の加工や組み方など、色々と参考になる。

俺が中途半端に手を出す方が邪魔になる気がしたので、彼女たちに任せ。

俺は彼女たちの指示にしたがって穴を掘ったり、地面を固めたり、木材を集めたりした。

十日ぐらいで、立派なログハウスが完成した。

しかも、俺の諦めた高床式。

二階建て。

……

軽いジェラシー。

だが、俺は学んだ。

彼女たちの建設の工夫を。

ふふふ。

寝床にしている小屋を新しくしてみるのもいいかもしれない。

ログハウスは東西に長く作られた長方形型。

玄関入ってすぐに大広間兼ダイニング。

みんなで作業をしたり、食事をする場所らしい。

部屋の中央に室内でも火が焚けるような囲いがある。

床に埋め込んでいない囲炉裏?

みたいなものだ。

大広間の左右に扉があり、俺の感覚だと台所や風呂になるのだが、ここではそれぞれが倉庫になっている。

大広間の左右に階段があり、それで二階に。

二階があるのは、大広間左右の倉庫の上で、大広間の部分にはその左右の部屋を繋ぐ通路しかない。

なので大広間は非常に開放感がある。

二階の片側に行ってみると、扉が一定の間隔で並んでいる。

それぞれの個室らしい。

一部屋は細長く作られ、内装はベッドと小さなタンス、そしてテーブルと椅子が一つずつ。

内装類は全部、俺が作りました。

【万能農具】のお陰です。

俺よりも器用に加工する彼女たちだが、【万能農具】を扱う俺の速度には流石に敵わない。

まあ、気に入らなければ自分たちで作り直すだろう。

片側に四部屋あり、反対側と含めて八部屋。

一部屋は空き部屋にしておくようだ。

ザブトンやその子たちが作った布団や座布団、カーテンなどを付けたらリアたちが寝る場所に関しての問題は無いと言って良いだろう。

うん、良かった。

ログハウスが完成するまでの間に、彼女たちはなんだかんだとここの生活に慣れた。

特に畑の作物の味に、感動していた。

好みは、カボチャ、ダイコン、ナス、そしてなぜかニンニクだった。

ビジュアル的に、ニンニクを一気食いするのは止めてほしいなぁ。

時々、クロたちと共に狩りに出て、弓の腕を披露してくれた。

クロたちが同行を嫌がっていない事から、なかなかの腕なのだろう。

ザブトンやその子供たちとも、衣類に関して相談できるようになっているので安心した。

「何か問題があったら言ってください」

「わかりました村長」

ちなみに、彼女たちは俺の事を「村長」と呼ぶ。

抵抗したが、押し切られた。

最初は「王」や「領主様」だったのだから、マシにはなったのだろう。

「村長様」から「様」を取るのが大変だった。

俺がリアたちの家作りから解放され、通常の作業に戻った翌日の晩から、リアたちが数人で俺の寝床に押し寄せるようになった。

「ど、どういうこと?」

俺の疑問に、何を言ってるんですかとの態度でリアたちが答える。

「繁殖です」

「種族のためにお願いします」

「ここに定住したら種を頂けるとティアさんが……私、頑張ります」

俺はルーとティアに助けを求めたが、無駄だった。

そして知った。

南西エリアのど真ん中にログハウスを建てた理由。

それは今後、繁殖して増える気満々だったからだ。

抵抗したが、無駄だった。

意思が弱いと罵ってくれても構わない。

その後。

女性陣だけの話し合いでローテーションが決められた。

俺の希望を言う隙間はなかった。

三角座りでボーっとしていた俺の傍に、クロニとイリスの子であるマサユキが来て慰めてくれた。