軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ワイバーンとの和解

ライメイレンがやってきた。

頻繁にヒイチロウを見に来ているので、久しぶりという気がしない。

そのライメイレンの目的がヒイチロウではなく、俺だったのが珍しい。

「ワイバーンが、和解したいそうです」

「え?」

俺に関わりがあるワイバーンというと、村を襲ったワイバーンと、各地の通信をやってくれている小型ワイバーン。

村を襲ったワイバーンは倒して食べたので、残るは小型ワイバーンになるのだが……

「和解というか、喧嘩しているつもりはないのですが?

なにか不満をそちらに?」

「何を言っているのですか?」

勘違いだったようだ。

和解を申し込んできたのは、ワイバーン種の長老。

村を襲ったワイバーンの件を謝罪し、友好を結びたいとの事だった。

「えーっと……まず一点。

ワイバーンに知能って……」

「竜族ほどではありませんが、長く生きたワイバーンは高い知能を有します」

暴れるワイバーンは討伐されるから、長生きするワイバーンは温和なのだそうだ。

でもって、ワイバーンが村に迷惑を掛けた事を以前から謝りたいと機会を狙っていたが、なかなかタイミングがなく、ライメイレンに相談に行ったらしい。

「謝罪もなにも、そのワイバーンを倒して食べてしまったのですが……」

こっちが謝らないといけないかもしれない。

「ドライムから、貴方はワイバーンを見ると殺さずにはいられないほど怒りを覚えていると聞いています」

「何を馬鹿な事を……」

自分の行動を振り返る。

敵対したのはあの襲ってきたワイバーンだけ。

確かに、ワイバーンに対して良い感情は持っていないが、見たら殺すってほどではない。

大体、小型ワイバーンは殺してないぞ。

大丈夫。

事実無根。

なにを思ってドライムはそんな事をライメイレンに……

……

そう言えば、ドライムからワイバーンに関して何度か聞かれた事があったな。

「村長、ワイバーンに関してどう思う?」

「見かけたら殺す」

あー……

言ってる。

言っちゃってる。

いや、ドライムがそういう質問する時って、お酒が入っている場合が多いから。

質問の意図を深く考えず、答えちゃってる。

それでか。

ドライム、ひょっとしてワイバーンから和解タイミングの相談でも受けていたのかな。

悪い事したなぁ。

ワイバーンの長老の謝罪を受ける事にした。

その際、何かマナーな事とかあるのかな?

マナーは不要だけど、ワイバーンからお願いが一つ。

会うのは死の森の外でと。

……

謝罪を受けるのに呼び出されるの?

首を捻るが、ライメイレンの話ではワイバーンは死の森の上を飛べないらしい。

呪いや制限ではなく、実力的に。

村を襲ってきたワイバーンは?

あれは特別で、竜族に匹敵する力を持ったワイバーン。

そうなのか。

まあ、事情があるなら仕方が無い。

会う場所は、ドライムの巣のある山になった。

タイミングを見て、ドライムが連れて行ってくれる手筈。

助かります。

ワイバーンに連絡して、来るまでに時間が掛かるのでのんびり待つ事に。

子猫用に箱を作ってみた。

猫は箱とか好きだからな。

安全を考え、釘は使わずに木組みで。

なかなかの出来。

それを子猫の数だけ作る。

昔に比べれば、俺の技術も向上したものだ。

さあ、子猫達よ。

どうだ!

……

見向きもされない。

なぜだ!

サイズが悪いのか?

それとも材質?

紙袋とかの方が良いのか?

しかし、紙は貴重品だからなぁ。

あ、猫。

気遣わなくていいから。

お前には少し小さいだろう。

よしよし。

お前用の箱を作ってやろう。

サイズはこれぐらいで良いか?

ゆったりじゃなくて、少し窮屈なぐらいがいいんだな。

わかった。

猫用に作った箱には、子猫達が入ってた。

なぜだ。

ワイバーンがそろそろ来るのでドライムに連れられ、ドライムの巣に。

同行者は、ルー、ティア、ラミア族が一人。

ルー、ティアはともかく、ラミア族は大樹のダンジョン内で働いている者。

ワイバーンの長老と話をする事をどこかから聞いて、同行したいと申し出てきた。

俺には迷惑を掛けないというので、同行を許したけど……

ワイバーンに何か言いたい事でもあるのだろうか?

ワイバーンの長老は大きかった。

ドラゴンぐらいのサイズだ。

その後ろにも似たようなサイズのワイバーンが並び、揃って伏せのポーズを取っている。

人間の姿にはなれないらしい。

「この度は我等の都合でご足労頂き、感謝します。

また、謝罪が遅くなった事、お詫び申し上げる」

ワイバーンの長老の謝罪は、これ以上ないぐらい丁寧だった。

ただ、話が長かった。

簡単にまとめると、ワイバーンが村を襲ってごめんなさい。

村を襲ったワイバーンは、ワイバーンの中でも異質で暴れん坊。

村を襲ったワイバーンが倒されたからと恨む気持ちはなく、できれば今後はワイバーン種との友好をお願いしたいとの事。

俺の方も、無駄に敵を作りたくはないので謝罪を受ける。

もちろん、今後、ワイバーンが村に被害を出さない事を条件にだ。

「こちらが謝罪の品です。

ドラゴン種と交わられる方には少々、物足りないかもしれませんが、我等の精一杯です。

お納め下さい」

ワイバーンが指示した場所に置かれた石の山?

あ、これ宝石の原石だ。

同行しているルーとティアがかなり驚いているから、価値は高いのだろう。

謝罪の気持ちは嬉しいが、無理をしてなければいいが……

しかし、ここで謝罪の品を受け取らないのは敵対行動。

そう事前にルーやティアに注意されていたので、受け取る。

これで完全に和解。

証人はドライム。

ワイバーン達の顔に、安堵の表情が浮かんだ。

その後、俺に同行したラミアがワイバーン達と個人的な話を少し始めた。

正直、わざわざ謝罪に来なくてもよかったと思うのだが?

ワイバーン達が帰った後、ドライムと話をする。

「いや、お主の視界に入らぬように縄張りが再編され、かなりワイバーン種は困っていたのだ」

「そうなのか?」

「うむ。

連中が生活できる場所は広くないからな。

特に鉄の森の南……シャシャートの街の近郊に顔を出したであろう。

あれでさらに制限されて、困っていた」

「ああ、なるほど。

しかし、ワイバーンは俺の行動を良く知っているんだな」

「通信に使っている小型のワイバーンが、報告している。

ワイバーンの長老の眷属みたいなものだからな」

……小型ワイバーン、賢かったんだな。

そして俺。

小型ワイバーンの前で、変な事を言ってないよな。

……

うん、大丈夫だと思いたい。

しかし、今回の件というかワイバーン達が変に俺を恐れるのは、ドライムの質問の仕方が悪かったからだと思う。

できれば、そういった質問は素面の時にして欲しい。

チクッと言ったら、素面の時にも何度か質問したと言われた。

え?

そうだっけ?

……

ごめんなさい。