軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

褒賞メダルとミニトロフィー

地上に落ちた太陽城の土台を調べに行ったリザードマンのダガ、獣人族のガルフ、ガットたちが帰ってきた。

結果を先に言えば、 星輝石(ほしきせき) 、 魔鉄粉(まてつこ) 、 黒塵(こくじん) の三つの珍しい鉱物が見つかった。

太陽城の土台は、元からあった土台ではなく悪魔族の攻撃によってできたものだ。

悪魔族は粘着性の高い土を投げてぶつけ、太陽城の下部に土を大量に接着。

目的はその土に混ぜた魔物の卵を送り込むこと。

タイミングは想定外だったが思惑通りに魔物を送り込んだ粘着性の高い土は太陽城の下部で岩化し、土台となっていた。

星輝石は粘着性の高い土に元から含有していたのだろう。

星輝石は綺麗な石だが、米粒の半分ぐらいの大きさしかない。

採取が面倒なことで有名だ。

用途は装飾以外に、魔道具の部品として使われている。

魔鉄粉、黒塵は魔物の抜け殻が時を経て石化した物。

名前通りに粉や塵なのだが、元が抜け殻なのである程度はまとまって存在している。

ただ、粉や塵なので採取が少々面倒だ。

魔鉄粉は武具の製造時に少量混ぜることでちょっとした効果を付けることができ、黒塵は魔法を使う際の触媒として使われている。

また、こちらも共に魔道具の部品として使われる。

この三つの鉱物。

なかなか産出しない鉱物で、取引されることは滅多にない。

取引されると、金の百倍~千倍の値が付けられる。

それが全部で十キロほど。

ガットの報告。

「ちょっと採取しただけで、これだけ集まった。

まだまだあったけど……これ、下手に売りに出すと値崩れするんじゃないかな」

「売らないわよっ!

全部、私の!」

歓喜しているのはルー。

俺からすれば星輝石は綺麗だが、それ以外は汚い粉にしか見えないので価値がわかり難い。

だが、滅多に物欲を見せないルーが、欲しがっているのか。

「お願い」

「まあ、用途的にルー以外に使えないだろうから……」

横から手が出てきて、誰かと思ったら始祖さんだった。

そして急ぎ一村産の紙に書き物をしたと思ったら、俺に差し出してきた。

財宝の名前の目録だった。

俺は始祖さんを見た。

「星輝石一キロ、魔鉄粉四キロ、黒塵二キロ。

お願いします」

真面目な顔だった。

いや、交換じゃなくても別に普通に分けるよ。

「他に鉱物は?」

「太陽城から落ちた土台からはあの三つだけ。

ただ、道中で鉄鉱石と銅鉱石を見つけた」

「鉄と銅か……埋蔵量は?」

「それは本格的に調査しないと。

ただ、地形からあまり多くは期待できないかな」

「そうなのか?」

「塊にして……両方共二トンぐらいかな」

二トンで少ないのか。

ガットたちがいたハウリン村ではもっと採れるらしい。

まあ、急いで採掘する必要はない。

鉄も銅も必要なら、買えば良いしな。

となると、太陽城の土台からの採掘だが……

ルーと始祖さんに聞けば、当面はこれで大丈夫。

でも、採掘できるなら継続してほしいとのこと。

採掘を続けてもらうとなるとガットが必要だが……

当人は問題なし。

ただ、魔鉄粉を使った武具の製作を希望。

許可。

しかし、ずっと採掘をしてもらうのは悪い気がするので、今回のように採掘隊を編成しての採掘にしよう。

……

採掘に来た他者と奪い合いになったりするかな?

あ、立て札を設置して所有権を主張しておいた。

なるほど。

よくやった。

貴重な鉱石を見つけたワケだし、採掘に行った者たちに、褒賞メダルを贈呈。

なんだかんだで褒賞メダルを渡しているのは、文官娘衆に注意されたからだ。

今年の春も、いつも通りに各村、各種族の代表、大樹の村の住人に褒賞メダルを配った。

それは問題なし。

四村に渡す枚数や新たな交換リストで少し揉めたが、いつも通りだ。

問題になったのは俺の確保分。

俺は毎年、百枚ぐらいを褒賞として配るために確保している。

調子に乗って乱発しないための対策だ。

しかし、祭りや武闘会などで配るのが主で、それ以外が少ないと注意された。

俺がケチだと怒られたのではなく、現状の褒賞メダルの価値が高過ぎるとの指摘だ。

入手方法が毎年の分配と、祭り、武闘会だけだと入手し難い。

となると大事にするので、交換を控える。

通貨の前段階として導入した褒賞メダルが、それじゃ駄目ではないですかと。

まったくだ。

なので今年から祭り、武闘会で配る褒賞メダルは別枠で確保されることになった。

俺が個人で、頑張った者に配るための百枚となった。

「頑張った人を正しく評価するのも、村長の仕事ですよ」

確かに。

「わかった。

しかし、目が届かないこともある。

各種族の代表や、各村の村長代行は、褒賞メダルを受け取るべき人がいたら俺のところに連れてきてくれ」

俺一人で全てを見るのは無理だからな。

……

百枚で足りなかったらどうしよう。

その時に考えるか。

とまあ、こんな事情で配ることを心掛けている。

確かにこれまで、配る量が少なかった。

反省。

「村長」

「ん?」

「褒賞メダルなのですが、褒賞部分をもう少し独立させるべきだと思います」

「どういうことだ?」

「褒める時に与える物という意味では問題ありません。

ただ、受け取った側が勲章のように扱うと、交換し難いかと」

「あー……そうだな」

「そこで、武闘会で優勝者に与えているトロフィーがありますよね」

「ああ」

「あれの少し小さい物を用意するのはどうでしょう」

ミニトロフィー。

サンプルとして一つ作り、俺の屋敷のホールに展示しておいた。

「これってクロさん?」

祭りや武闘会ではないので、トロフィーのモチーフに困った。

カップやタワーで良かったかもしれないが、目の前にクロがいたのでクロをモデルにした。

クロが凛々しく立っている足元に看板。

この看板に功績の名前を彫る予定だ。

「え?

クロさんの部分がもらった種族の姿に?」

妙に人気だった。

ちなみにミニトロフィーを最初に受け取ったのはザブトン。

大樹の村の旗を作った功績。

旗は緑地の中央に金糸で大樹が描かれている。

なんだか偉そうだが、村人たちが問題ないと胸を張っていたのでそのまま採用になった。

ザブトンは受け取ったミニトロフィーを掲げて村中を歩いた後、ホールのクロのサンプルの横に飾った。

最初にこうなると、今後のミニトロフィーはここに飾られることになるだろう。

棚を増やすことを考えておこう。

現在、クロがサンプルを本物にすべく奮闘している。

頑張るのはいいが、あまり危険なことはしないでほしい。

ミニトロフィーも、価値が上がりすぎても困るな。

簡単なことでも、渡すようにしよう。

でないと……

俺は横を見た。

屋敷のリフォームを考えるハイエルフを筆頭に、熱が入りすぎている村人たち。

うん、やり過ぎる前にブレーキを踏む。

とりあえず、気球サンプルを造った山エルフたち、ダンジョンイモをコンニャクにした鬼人族メイドたち、採掘を頑張ったガットたちに渡すか。

個人だけじゃなく集団でも貰えるとわかってもらいたい。

大樹の村の旗は、屋敷のホールの壁に張られている。

ザブトンの子供たちが、ホールの清掃時にホコリを払う手伝いをしている。

今度、他の村にも配らないとな。

え?

もう用意している?

さすがザブトン。

じゃあ、配りに行くとしよう。