軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

太陽城観光

太陽城……地名と同じだとややこしいな。

喋るほうは太陽城の水晶石と意識しよう。

太陽城は、大きく九つのブロックにわけられる。

まず、中央に城。

ここに中庭があり、俺達が着陸した場所。

城は……普通の城だな。

多層構造で、ちょっと歩いた程度では内部はよくわからない。

五階建てぐらいかな?

吹き抜けがあったり、意味のわからない無駄な通路があったり。

謁見の間の他に、城主用の居住エリアや会議室、兵士待機所、客室、厨房、浴場などがある。

内装は極めて豪華だが……

残念ながらいたる場所が畑になっているので違和感しかない。

クズデンの言っていたダンジョンイモの畑なのだろう。

ダンジョンイモは暗室……日光を当てなくても育つイモらしい。

味は……お世辞にも美味しいわけではないが、乾燥させて粉にすれば小麦粉の代用品として使えるので、太陽城に住む悪魔族の主食になっている。

太陽城に閉じ込められた悪魔族、夢魔族はこの城で篭城しており、水源は確保できたけど食料の確保ができず、こういった感じになったと説明された。

しかし、この収穫量では二百六十人分は厳しいと思う。

そう言えば、悪魔族の食事は聞いたが夢魔族の食事はどうなっているのだろう?

……

夢魔族は夢の中で愛を食べて生きるそうだ。

ロマンチックな種族だな。

深くは考えないようにしよう。

そして、俺たちが持ってきた食材を調理し、悪魔族に振舞う。

食生活が酷かったんだろうな。

全体的に痩せ過ぎだぞ。

料理は豚肉を中心に、ニンニク、卵を多めに。

今度、マイケルさんに頼んでウナギを仕入れてもらうからな。

頑張れ。

しかし、夢魔族。

全員が女性だな。

しかも若い。

でもって下着姿……ではなく、下着のようなファッション。

動きがなんだかエロい。

まっすぐ歩け、まっすぐ。

クネクネするな。

ウルザ、グラルには見せないように。

悪魔族は……こっちは男女混合だが男性の比率が多い。

また、明らかな年配者がいる。

だけど、たぶんブルガやスティファノより若いのだろう。

寿命の違う種族が混在する世界だと再認識。

ん?

ああ、気にせずに食べていいぞ。

ミカンも食え。

栄養バランスが大事だからな。

城の正面、南西、南、南東の三ブロックは市街区。

中央の城ブロックより一段低い位置に作られている。

魔物や魔獣に占領されており、ほとんど廃墟だ。

各所に通されている水路が目立つ。

東ブロックも市街区だが、工房関連が多かったようだ。

こちらも廃墟だが、頑丈な建物が形を残している。

その頑丈な建物が魔物や魔獣の巣になっていたようだ。

激闘……虐殺かな? その痕跡が所々に見える。

クロの子供たちが頑張りましたといった顔をしているので頭を撫でてやる。

あ、うん、一頭を撫でたら次々来るよな。

しっかり撫でる。

ハクレンとラスティは後で撫でるから、並ばないように。

北西、北、北東ブロックは森林区。

市街区よりもさらに一段、低い位置になる。

こちらも水路が整備されているが、大半の木が枯れている。

たぶん、ここも魔物や魔獣の巣にされていたのだろう。

何本か残っている木もあるが、枝が折れたりしてて痛々しい。

しかし、空飛ぶ城にこういった場所があるってことは、空気循環用?

それとも鑑賞用かな?

ここに住んでいたのが天使族だと考えると……鑑賞用の可能性のほうが高いな。

枯れているのに、空気を悪くは感じないし。

でもってこの北西ブロックに、デッカイ穴がある。

地下というか地中というか少し前までくっついていた土台部分の内部に続く穴だったらしい。

なので今はそのまま地上に落下する穴になっている。

恐ろしい。

近づかない。

残る西ブロックは、巨大な池。

貯水区かな?

森林区よりもさらに一段、低く。

各ブロックの水路の終着地点として設計されているようだ。

ここで水が浄化され、ポンプじゃない何か……魔法かな?

城の内部に水を汲み上げ、また各地に流しているらしい。

この水路関連が無事に機能していたから悪魔族、夢魔族は水源を確保できたのだろう。

運が良かったのかな。

ハクレンたちの話では、水系の魔物がいなかったから無事だったらしい。

空を飛ぶ城に水系の魔物は住み着くことはないか。

戻って北西ブロックの大穴。

魔物の多くがここから侵入してきたらしい。

正確に言えば、城の下にあった大きな土台は悪魔族による攻撃の結果。

太陽城の下部に魔物の卵と一緒に土を飛ばし、行動を阻害すると同時に孵化した魔物による攻撃を行うという……計画だった。

実際、魔物が孵化するまでの時間がわからず、実行はされたが頓挫。

城の下部にデッカイ土……土台を付けることになっただけだった。

一応、太陽城の動きは鈍ったが、嫌がらせレベルの鈍り具合だった。

そこで悪魔族は方法を変え、太陽城に侵入。

「どうやって太陽城に侵入したんだ?」

俺に同行しているクズデンに聞く。

「伝えられている話ですと、太陽城に送り込まれる荷物の中に紛れて侵入したようです」

なるほど。

丁度、そこに住んでいた天使族たちが出撃して数が減ったタイミングもあり、侵入したのは十数名だったが運良く占領できた。

しかし、残っていた天使族によって太陽城のコントロールは不可能に。

困っていたところに、城の下部の土台の中で孵化した魔物が顔を出し、篭城することになってしまったと……

「運び込まれる荷物の中に、嫌がらせとしてダンジョンイモを大量に仕込んだのが不幸中の幸いだったとお爺様から話を聞いた」

魔物はわかったが魔獣は?

天使族が飼育していたのが野生化したと。

なるほど。

……

夢魔族は?

夢魔族も一緒に侵入したのか?

だとすると……天使族は女ばかり。

そこに見た感じ、女ばかりの夢魔族を当てるのは少々愚かな感じがするのだが……

「夢魔族は、神人族……天使族の従者でした」

「え?」

神人族の従者として夢魔族は仕えていたらしい。

特に戦闘力は優れていないので、悪魔族が太陽城を占領した時に降伏。

魔物に追い詰められたので、悪魔族と共同生活をすることになったらしい。

そうだったのか。

太陽城を見回ったが、特に気になる場所はなかった。

言い方は悪いが、城以外は廃墟。

寂れた場所だ。

よく城が維持できたと思ったが、太陽城の水晶石のお陰らしい。

「城主になっていないのに、よく助けてくれたな」

「それはもう、 煽(おだ) てて 褒(ほ) めて 宥(なだ) めてと」

なるほど。

まあ、城内に魔物が侵入して暴れられても太陽城の水晶石も困るだろうしな。

さて。

太陽城を見回って気になる場所はなかったのだが……

一箇所。

実は城内で変な場所があった。

「あの、どこへ?」

俺に同行しているクズデンが聞いてくる。

意味のわからない無駄な通路。

侵入した敵を惑わすためだろう。

大抵が行き止まりだしな。

そう思うのだが……

ひっそりと置物が置かれた行き止まりの通路がある。

……

まさかな。

花瓶に触れると……手前に倒せるような余裕がある。

少し悩んだ後、手前に倒した。

ガコッと音をたてて、壁の一箇所が開き、通路が現れた。

「え?

こ、こんな仕掛けが!」

驚くクズデンの脇を抜け、クロの子供たちが突撃していった。

魔物とかいないと良いんだけど。