軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

春の作業 牧場拡張と他

クロの子供に乗って爆走するのはウルザ。

その後ろに獣人族の男の子たちが、同じようにクロの子供に乗って追走している。

何をしているのかな?

……

ウルザたちのはるか後方に、スカート姿ながらも綺麗なフォームで追いかけている鬼人族メイドの姿が確認できる。

うん、何かイタズラをして逃げていると。

クロの子供たちの疾走を追いかけて、差を縮められる鬼人族メイドの脚力に驚きだな。

んー、クロの子供たちが速度を落としているのかな?

追いかけている鬼人族メイドが、色々と料理の名前を叫んでいるからな。

でもって……

「もう作りませんよっ!」

グンッとクロの子供たちの速度が落ちた。

乗っているウルザや獣人族の男の子たちが慌てるが、遅い。

捕まった。

うん。

怒られることをした時は、しっかり怒られよう。

あー、獣人族の世話役のラムリアスも来たな。

獣人族の男の子たち、完全降伏。

ウルザは……まだ逃げるか。

っと、先回りした酒スライムに足止めされ……

逃走失敗。

鬼人族メイド、酒スライムを使いこなしているな。

連行されていくウルザと獣人族の男の子たち。

何をしたのかなー。

ツマミ食いかな?

それとも洗濯物を汚したか……

俺に関係してないと良いな。

さて。

俺は俺の仕事に集中する。

【万能農具】で畑を耕す。

昔に比べて、かなり早い速度で耕すことができている。

去年は大樹の村に加え、二村、三村の分も耕したからな。

このペースなら、予定よりも早く終わるだろう。

どうしよう?

大樹の村の畑を少し広げるべきだろうか?

いや、それなら牧場を広げてやるべきかな。

なんだかんだで牛や山羊の子も増えている。

まだ手狭ではないが、手狭になる前に広げてやろう。

畑作業が終わった後、牧場を東側に四百メートルほど拡張した。

……

なかなか、拡張した部分に移動してくれない。

そうだよな。

動物って、新しい場所は用心するよな。

……

拡張した部分にニンジンを少し……

馬が来た。

勘が良いな。

わかった。

もう少し広くな。

いいけど、完成するまで食うなよ。

馬が来たから、山羊や牛もやってきたな。

山羊は馬ほど賢くない。

いや、賢いのは賢いが欲望に忠実だ。

たぶん、馬はニンジンを守りきれないだろう。

数が違い過ぎる。

仕方が無い。

牧場の外にニンジン畑を作っておく。

後は……山羊の興味を引く物なんかを……無理だな。

やつらは賢くないけど、賢い。

諦める。

さて、牧場を広くしたからもう一つ二つ、水飲み場を作らないといけない。

前に井戸と同じように穴を掘ってやり、中でUターンしなくても出られるようにトンネル状にしてやったのだが……

トンネル内で山羊と牛が詰まった。

暑い日、日除けとして使ったのだろう。

発見が遅かったら危なかった。

以後、穴は禁止となった。

手間が掛かるが、最初の頃と同じように水飲み用の入れ物を作る。

丸太を縦に割り、中を刳り貫いた簡単なものだ。

……

あまり遠いと、水運びが大変だよな。

竹で水道っぽい物でも作った方が良いかな?

いや、ポンプがあるからそれを設置して……牛や羊が自分たちで扱えるようになれば……

今度、山エルフたちに相談してみよう。

とりあえずは、竹で簡単な水路を作っておく。

次に、用意するのが岩塩の塊。

動物たちにも塩分は必須。

いつでも舐められるように置いておく。

地面を掘れば岩塩層があるのは便利だな。

最初の頃、塩を求めて苦労したのが嘘のようだ。

まあ、気付かなかっただけなのだが……

普通は岩塩とか見たことないし、普通は岩を舐めて味を知ろうとなんて考えない。

だから気付かなくても問題はない。

穴を掘り、岩塩層を適当な大きさにカット。

運ぶ。

本来なら悲鳴を上げる重労働だが、【万能農具】のお陰でサクっと終わる。

うん、本当に感謝だ。

これで牧場の作業は一段落。

作業中、俺に突進を繰り返し、クロの子供たちに取り囲まれている山羊たちをどうすべきか……

ストレスを与えすぎるのも良くない。

適度なところで解放するように、クロの子供たちにやんわりとお願いした。

二村、三村では通常の農業は順調とのこと。

各村で苗を育てたり、種を撒くのは無事に終わったらしい。

現状、山エルフたちに水車のメンテナンスの応援を頼んだぐらいで、独自でなんとかできている。

頼もしい。

頼もしいが、少し寂しい。

いやいや、各村には頑張ってもらわないとな。

各村の代表に、作業記録をつけることを求めている。

これにより、他の村で同じ作業をする時の参考にしたり、問題が発生した時の状況確認ができるだろう。

今はただの記録だが、将来は大きな財産になると信じたい。

果樹園の蜂達の様子を見る。

今年も女王が生まれ、巣がいくつか増えている。

良いことだ。

蜂たちのために、果樹園近くに蜂たちが好む花を増やしておく。

ん?

巣を守る兵隊蜂が妙に熱心に飛び回っているな。

なにかあったか?

気付けば、各巣から数匹ずつ、合計で百匹ほどの兵隊蜂が集まり、編隊を組んで北に向かった。

その後を、ザブトンの子供が一匹、追いかける。

俺も追いかけた。

兵隊蜂たちの目的は、村から少し離れた場所。

村の周囲を警備するクロの子供たちの防衛ラインの外だった。

俺が到着した時、すでに終わっていた。

飛んでいるのは一匹の女王蜂と、果樹園から飛んでいった兵隊蜂たち。

地面には倒されている背の長いイタチ。

背の長いとは変な表現だが、四足の時は背は低いからな。

胴が長いというべきなのかな?

まあ、いいや。

兵隊蜂に被害はなさそうだ。

イタチの様子から、倒したのはザブトンの子供っぽいけど……

兵隊蜂は、女王蜂をエスコートして果樹園に……

新しく外から来ていた蜂もいたのか。

しかし、縄張りとか大丈夫なのか?

喧嘩にならないのか?

疑問に思っていると、イタチを回収しているザブトンの子供が俺を見た。

エサが豊富なら喧嘩しません。

そんな風に言っているように感じた。

なるほど。

そうかもしれないな。

俺は果樹園に戻り、新しくやってきた女王蜂のために巣を設営するための場所を作ってやった。

今度、果樹園の拡張も考えようかな。

キックボードという名だったろうか?

俺が子供の頃に流行った、スケートボードに取っ手を付けた物を作ってみた。

構造は難しくない。

動力不要。

オール木製の試作品。

取っ手の長さを調節して完成。

片足を乗せ、もう片足で地面を蹴って進む。

乗り心地が悪い。

タイヤも木製にしたのが良くなかったか。

ケチらずにゴムを使って改造。

うん、弾力が出たのでかなり乗りやすくなった。

問題は地面だな。

村は俺が一度耕した後に固めた普通の土。

キックボードで移動するのに適した場所は限られてしまう。

室内移動用?

絨毯に引っ掛かるし、傷む。

……

キックボードはここまでだな。

レストランなどで食事を運ぶ時に使う台車を作る。

名前は知らない。

キックボードでの反省を活かし、タイヤを大きくして絨毯に絡まないようにする。

荷物を置く部分はシンプルに上下の二段。

大きなロの字に、四つのタイヤを付けた感じだ。

とりあえず、形が完成。

鬼人族メイドたちに渡す。

「ワゴンですね」

台車の名前はワゴンだった。

鬼人族メイドたちに使ってもらい、問題が無ければ装飾を施そう。

後日。

「ワゴン、おもしろい」

ウルザ、それは乗り物じゃないぞー。

あと、その手に持ってるキックボードはなんだ?

作業場に保管していたはずだが?

ウルザはワゴンとキックボードを巧みに使い、逃げた。

夕食後のデザート抜きは妥当な判断だと思う。