軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二章 設定 + おまけ

第二章 設定 + おまけ

●キャラクター

『クロノ・フォン・ストラトス』

※パラメータに変動はない為省略。

備考

今作主人公。領地を好き放題魔改造する系転生者。

前世の価値観を未だもっているが、それでもだいぶ今生の価値観に染まってきている。

第一章にて『血濡れの銀竜』とオールダー王国から呼ばれる様になっていたが、今章では双頭の竜を撃破した。

前世では彼女いない歴イコール年齢であり、今生でもまともに異性と接した経験がない。1番話した異性が、TSメイドのグリンダである。

その為、女心がわからない。クリス殿下に対しては善意と友情と下心(領地の未来)で接している。

なお、図らずも帝都にて『女装の開拓者』という異名を得た……かもしれない。

『クリス・フォン・クロステルマン』

※パラメータに変動はない為省略。

備考

金髪碧眼の男装の麗人。クロステルマン帝国の皇太子。

好奇心旺盛で頭の回転が速く、生まれる時代と立場が違えば学者になっていたかもしれない。

第二章では男装の麗人から女装した美少女になった。この日本語が正しいかは不明である。

クロノの全力女装のおかげで彼女の本当の性別があのパーティーで露見する事はなく、単に彼と並んで『異様にハイクオリティな女装をする人』という認識で済んだ。

なお、帝都の令嬢や貴婦人達の間でクロノとクリス殿下の『真実の愛』を描いた本が流行し、識字率がまた少し上がった……かもしれない。

ついでにストラトス家の家臣達から警戒される様になった。

『グリンダ』

※パラメータに変動はない為省略。

備考

TS爆乳美少女メイド。栗色の長い髪に金色の瞳をしている。

クロノと同じく元日本人。前世では風俗通いが生き甲斐の40代おっさんであった。

ストラトス家の秘密兵器として扱われており、万が一クロノ不在の時にガルデン将軍やノリス国王クラスの英雄達が攻めてきた場合はカールと共に迎撃する。

だが、今章では重機として大活躍。ストラトス家が制圧した新領地の主要な道路の整地と、氾濫の危険がある川沿いに堤防の建設、その他にも水路を繋げ直すなどの工事に駆けまわっていた。

孤児から奴隷、奴隷から騎士の養女、そして15歳で騎士に就任という、あの世界基準では圧倒的シンデレラストーリーを駆け上がっている。

しかし、本人としてはそんな事より休みが欲しい模様。クロノに再会したらありったけの愚痴をこぼす所存である。

『リーゼロッテ・フォン・シルベスタ』

※パラメータに変動はない為省略。

備考

銀髪に鋼色の瞳をした美女。クリス殿下の親衛隊隊長を務めている。

クロステルマンが王国だった時代から近衛騎士を排出してきた血筋であり、彼女が隊長に選ばれたのもその部分が大きい。

しかし一族の教育方針で血筋に胡坐をかく事なく、近衛としての能力と覚悟を徹底的に叩き込まれてきた。

今回の一件でフリッツ皇子側に一族の者がついた事で家名に傷がついたものの、本人は気にしていない。そういう風に教育されている。

最近の趣味はラーメンの探求。ラーメンの開発者であるグリンダに心からの敬意と、今後の更なるラーメンの開発に対し大いに期待している。

実は五感が鋭く、特に嗅覚が優れている。それを活かし、負傷したモルステッド王国の間諜を追跡、捕捉した。

『アリシア・フォン・シュヴァルツ』

所属:帝国 身分:近衛騎士団親衛隊副隊長・準男爵(法衣) 年齢:15歳

武勇:65

魔法:75

統率:45

知略:60

政治:50

忠誠:65(帝国)・99(殿下)

備考

黒髪を短めのポニーテールにした美少女。一人称が『あーし』な女騎士。

仕事中は意識して騎士らしい口調で話すが、焦っている時は素が出る。根っこが陽キャギャル。

この喋り方は勇者教の旧版聖書に登場するものであり、偶然それを読んだ彼女は影響を受けてしまった。

若いながらも近衛騎士として十分な戦闘能力と、魔法の腕をもつ。またふざけた言動をしていても護衛対象から意識を逸らす事なく、常に周囲を警戒する仕事人。

ただしまだまだ青く、ある程度信用した相手にはうっかり口が滑る事も。

最近高所恐怖症になった。彼女曰く『人は……飛べない……!!』。

『フリッツ・フォン・クロステルマン』

所属:モルステッド王国 身分:宰相補佐・第四皇子 年齢:45歳

武勇:60

魔法:65

統率:50

知略:50

政治:60

忠誠:50(帝国)・60(モルステッド王国)

備考

クロステルマン帝国を裏切り、モルステッド王国についた皇子。

実の父親であるコーネリアス皇帝によって兄弟達も妻子も殺され、再び妻と子供を奪われるかもしれないという恐怖からモルステッド王国への寝返りを決意。

彼の今の妻は帝国北部の出であり、モルステッド王国と軍役で何度も小競り合いをしている家である。だがその度に消耗するのは互いに厳しいという事で、秘密裡に『なあなあで済まそう』という事をやっていた。その伝手から、彼は王国に話を通したのである。

フリッツ皇子には他に頼れる伝手はなく、これ以外の繋がりは全て皇帝の関わるものしかなかった。

約30年間政務と軍務に携わり、兄弟達の死亡後は皇子が出なければならない外交や軍事行動では彼が皇帝の名のもとに派遣されてきた。

移動は馬か馬車であり、移動中も仕事があった為かなり過酷な30年間だったと言える。また、彼の周囲の人間は大半が『クリス皇太子が育つまでのつなぎ』としかフリッツ皇子を認識しておらず、かなり軽んじられていた。

実際、フリッツ皇子とその家族は用が済んだら『事故死』していた可能性が高い。

見た目は恰幅が良いが全体的にくたびれた印象のある中年男性。若い頃の一人称は『私』だったが、兄弟達の粛清後は周囲に舐められない為に『俺』と言う様になった。

『シスター服の女』

所属:モルステッド王国 身分:間諜(騎士の娘) 年齢:24歳

武勇:25

魔法:20

統率:30

知略:65

政治:65

忠誠:75(モルステッド王国)

備考

モルステッド王国からフリッツ皇子の元へ送られた間諜。普段は『巡礼中のシスター』を装っており、シスター服を着ている。

今回はシスターであったが、時に薬師、時に遍歴の騎士と、様々な立場で活動してきた。

だが、最も多いのはやはり巡礼中のシスター役である。モルステッド王国では、『巡礼の旅をしている聖職者』を装って活動する間諜部隊が育成されていた。『歩き巫女』に近い。

騎士の家に生まれ、『政略結婚の弾は十分』という事で間諜部隊へ入隊する様に親から命令された過去をもつ。

そこでの過酷な訓練で心身ともに幾度も壊され、その過程で本来の名前すら忘れてしまった。

栗色の髪にエメラルド色の瞳をした美女。ハニートラップ役も兼ねてフリッツ皇子に接触したのだが、彼から性的な意味で手を出される事はなかった。

フリッツ皇子の事を、『もしもこの人が自分の父親だったら』と思う事がある。

祖国への忠誠と彼に感じた父性への憧れ。その感情が、『半分だけ燃えた手紙』として残った。

『双頭の竜』

所属:モルステッド王国 身分:なし 年齢:30歳

武勇:95

魔力:90

知略:──

政治:──

忠誠:──

備考

モルステッド王国が飼育している『魔物』。双子で産まれるはずだったが、卵の中でくっついた後に魔物化した。

胴体の骨格のみ馬に近く、それ以外はまんまトカゲ。知能は恐らく犬並。

小さい頃から調教されてきた事もあって、特定の笛の音である程度操る事ができる。ただし、間諜であるシスター服の女には『目覚める』と『眠る』の機能しか持たない笛が渡されていた。

車が通れる様な通路でなおも狭く、体が壁や天井に擦れる程の巨体。非常に燃費が悪く、よほど餌が豊富な状態でなければ仮死状態に近い状態で眠っている。

モルステッド王国はこの竜が眠っている間に、軍隊に紛れさせて帝都に搬入。夜間に城の地下へと埋めた。

その目的はフリッツ皇子以外が帝位争奪戦で勝利した場合か、フリッツ皇子がモルステッド王国を裏切った場合に帝都を火の海へと変える事である。

また、一定時間決められた笛の音が聞こえないと強い苛立ちを覚えて暴れ始める様に調教済みでもある。

クロノと帝都守備隊により、討伐された。現在その死体は帝城にて保管されている。

●各国の状況

『クロステルマン帝国』

どうにか主だった内乱の原因は解決できたが、未だ混乱中。政治経済あらゆる面で問題が発生しており、いつ瓦解してもおかしくはない。

それでも各地の主要な貴族がフリッツ皇子かクリス殿下か、あるいは別の勢力が勝つ可能性を考え行動を決めかねていたのが幸いし、大規模な貴族による反乱や独立は防げている。彼らの元へ、現在フリッツ皇子の死亡の手紙が送られた。

クリス殿下が即位を決意しており、近く皇帝に就任する予定。

『オールダー王国』

ノリス国王の妹、アナスタシアが兄の遺した甥達が成長するまでの間女王を名乗る事となった。

国内の貴族達を纏め上げ、『打倒クロステルマン帝国』を掲げている。

現在はガルデン将軍とその息子に国の防衛を任せ、アナスタシア女王は300人の手勢で帝国領内を突破。オールダー王国から見て北西にある『スネイル公国』へと向かった。

非情に迅速かつ的確なコースを選んだ事で、被害は最小限に公国へと到達する。

『モルステッド王国』

帝国北部の切り取り中。フリッツ皇子の死亡と、竜が討たれたという報告に対して確認中。帝国ほどではないが、混乱している。

フリッツ皇子の家族を保護という名の人質としており、今後は彼の子供や孫にこそ帝国の継承権があると主張するか検討しており、クリス殿下の即位にはとりあえず否定的な態度を周囲に示した。

非常に優れた魔法騎兵部隊を有し、各地で機動力を活かした略奪を行っている。

この国の軍隊は精鋭として有名であり、小隊規模どころか数人規模の部隊でも、指揮官が立ちきちんとした軍事行動が出来る程。

しかし──……。

『ホーロス王国』

帝国の東部に対して侵攻中。各地で略奪と殺戮を繰り返しており、統治下におく気はほとんどない動きを続けている。

サーシャ王妃は皇帝の実の娘であるが、皇位継承権に対してフリッツ皇子の死後特にこれといった発表をしていない。

オールダー王国とクロステルマン帝国の戦争の切っ掛けとなった『麻薬の密輸』はこの国が主犯であり、オールダー王国はただ通り道にされただけである。

あの戦争までは帝国と停戦をし、彼の国に対し海路を使って貿易で絞っていた。

ホーロス王国の兵士達は非常に狂暴である事が有名であり、死をも恐れない突撃をする事も。

ホーロス王国国王、ティキ・フォン・ホーロスは30代の男性だが、少女の様な容姿で各国の要人を驚かせた。クリス殿下の性別がバレていない1番の理由は、彼の存在が大きいかもしれない。

『スネイル公国』

帝国の西部へと侵攻……する予定だったのだが、後継者問題がこのタイミングで勃発。公王は優秀な人間であったが完璧な人間ではなく、息子達の教育は失敗していた。

結果千載一遇の好機を前に足踏みをする事に。もはや公王は息子達に国を継がせては公国が亡ぶと考えており、頭を抱えている。

アナスタシア女王の父親とは旧知の仲であり、スネイル公国がまだ公爵領であった頃は文通もしていた。

オールダー王国は資源も立地も何もない国だが、人材にだけは恵まれたと羨んでいる公王の所へ、アナスタシア女王の手紙が届いたのはほんの少し前の事。

内容は、『これから私の力を見せる』というシンプル過ぎるものだった。そして手紙を受け取ってすぐ、その意味を知る。

●Q&A

Q.どうしてモルステッド王国は、帝都に進軍してフリッツ皇子を邪魔したの?

A.あの国、根本的にフリッツ皇子を信用していないので。普通の貴族の価値観として、『妻も子もまた作れる』と彼が考え、帝国を掌握したらモルステッド王国も裏切ると予測していたからです。

Q.クロノの装備壊れちゃったけど、どうするの?

A.代金はクリス殿下もちで、作り直すしかないですね。

Q.クロノ女装の知識有り過ぎだろ。さては経験者だな?

A.いえ、未経験です。きっと女装の才能があります。

Q.フリッツ皇子って皇族として失格では?

A.はい。本人も向いていないを自覚していたので、皇帝の座につく気はゼロでした。父親が粛清祭りするまでは。

Q.これだけ好き勝手できるって、皇帝どれだけ力もっていたの?

A.まず、逆らう実力がつきそうな者は、力をつける前に叩き潰すか取り込んでいたので。まあ実力者だったのは事実ですが。年取って耄碌はしていましたが。

Q.フリッツ皇子の家族はどうなるの?

A.まだ不明ですね。神輿として使い潰されるか、交渉材料として切られるか、教会送りになるか。どの可能性もあります。

Q.そう言えば、皇太子殿下って婚約者とかいないの?

A.います。女の子です。たぶん三章に出ます。

Q.フリッツ皇子に、モルステッド王国と手を結ぶ以外の選択肢はなかったの?

A.ないですね。彼にノリス国王並みの能力があれば別だったでしょうが。

Q.クリス殿下は向いている職業として学者やモデルが出ているけど、フリッツ皇子は?

A.街のパン屋さんですね。もしくは定食屋さん。真面目なので、田舎で地方公務員とかも有りかも?たぶん、平和な時代の平和な国で平民として生まれていたら、ただの家族思いなパパだったと思います。

●おまけ

『もしも、フリッツ皇子の所にクロノが生まれていたら』

……やってしまった。

雷鳴が轟く、嵐の夜。窓を風が揺らし雨粒が弾ける。

燭台の火がふっと消えるも、稲光が室内を照らし出した。

豪奢な調度品。壁に飾られた絵画等の美術品。

そして、後頭部から血を流し、首が良くない角度に曲がった皇帝陛下の亡骸。

『……やってしまった』

思わず日本語で内心をそのまま零し、天を仰ぐ。

しかし、そこにあるのは帝城の天井であった。

* * *

コーネリアス・フォン・クロステルマン皇帝、不慮の事故により死亡。

そんな訃報が帝国中に広がる中、2人の男性が薄暗い部屋で向かい合っている。

「……本当にやっちゃったの?」

片や、くすんだ金髪をした恰幅の良い中年男性。フリッツ・フォン・クロステルマン。

「……はい」

片や、自分こと、クロノ・フォン・クロステルマン。13歳。母親似で髪の色は黒である。

嵐の夜に起きた真実を知る、たった2人の人間であった。

『息子』の言葉に、父上は『そっかー』と言った後。

「どぉぉぉぉしよおおおおおおお!!??」

「本っっ当にすみませんでしたぁああああ!!」

2人揃ってパニックであった。皇帝をその場の勢いで暗殺しちゃったのだから、当然である。

「なんでぇ!?なんでやっちゃったのぉ!?」

「いや……生理的に無理過ぎて」

「生理的に無理って理由で人殺しちゃ駄目でしょ!?」

「返す言葉もございません!」

ごもっとも過ぎる。そんな、生理的に無理だからって人を殺すだなんて……いやこの大陸ではありふれているけども。

それで皇帝陛下をやっちゃったのは、たぶん自分が史上初だ。

「普段そんな子じゃないじゃない!?どうしたの?なにがあったの?」

「……ちょっと、『真実の愛』を迫られまして」

「 」

唖然とする父上。いや、うん。わかるよ。いくら『真実の愛』が流行っている帝都でも、肉親相手にやるとか不道徳だし。

でもやろうとしたんですよ、あのクソ爺。孫である自分を他の小姓達と同じように。

「それは……うん。まあ……うん。正当防衛だな……」

「いや、そこは正当防衛扱いしちゃ駄目では?相手皇帝陛下ですよ?」

「実際にやっちゃった子がそれ言う?」

「すみませんでした」

どうにか脳みそを再起動させた父上が、額に手を当ててため息をついた。

「うん。やっちゃったものは仕方がないし、陛下がやろうとした事は絶対に許せないから……とにかく、その、切り替えよう。がんばって」

「で、ですね」

大事なのは過去ではない。未来である。

我ながら、腐っても肉親を殺めたわりに罪悪感がわかない。普段から家族として接する事のない祖父な上に、会話する事があってもセクハラとモラハラしかしてこない相手だからというのが大きかった。

そもそも、人を殺めた経験はこの世界の13歳の中で大陸1位だと思うし。父上と一緒に戦場へ度々行くので。

あげく、あのクソ爺は父上の事を『なにも出来ない男』だとバカにしたのである。じゃあもう……無理矢理寝所に呼び出された事も含めて、後頭部に全力の跳び膝蹴りかますぐらい良いかなと。

……まさか、クリティカルするとは。やっぱり、咄嗟に追撃で倒れている所に首へ踵をいれたのがまずかったかもしれない。

え?殺意に溢れてんじゃんって?あの時はね、そうだったのよ。

「それで……どうしよっか?」

「いや……どうしよっかと言われましても。僕13歳ですので」

「転生者でしょぉ!?どうにかしてよぉ!?」

「無理です!すみません無理です!これは無理!」

「もうね、元老院も大騒ぎだよ連日!というか、あれ、次の皇帝ってやっぱりクリス?あの子がやるの?」

「……遺言状の内容次第ですが、恐らく」

「やっぱりぃ?」

親子2人揃って、難しい顔をせざるを得ない。

クリス皇太子殿下とは、あまり会った事がなかった。偶に顔を合わせるのだが、忙しくてろくに喋った事もないのである。

「たぶん、良い人ではあると思いますよ。優しい感じでしたし」

「本当ぅ?猫被ってない?」

「いやぁ、皇族なんだし、むしろ仮面の1枚や2枚は当然かと……」

「……私らも、皇族なんだけどね」

「それは本当にそう」

2人して苦笑した後、再び頭を抱えた。

「……どうしよう。あの子まで粛清祭りしたら」

「そうなったら、最悪力づくでも止めますけど……それより、まだ13歳ですよ?皇太子殿下も。しかも、政務も軍務も未経験」

「だよねー」

9歳で労働力にカウントされるこの世界だが、一人前とされるのは15歳から。

まだ13歳である彼が皇帝となるのなら、当然摂政……後見人が必要である。その地位に最も相応しいのは、勿論。

「頑張ってくださいね、父上!」

「他人事ぉ!?」

フリッツ第四皇子に他ならない。

なんせ生き残っている皇子の中では最年長かつ、宰相補佐として30年近く政治に関わってきたのだ。これ以上の適任はいない。

「ほら、こう……普段みたいに『俺は威厳ある宰相補佐だが?』って顔で。お願いします」

「無理無理無理無理!無理だよぉ!?私、そういうの無理だよ!?戦場で息子の影に隠れている男にそんな大役できるわけないじゃん!?」

「父上ならいけますって!たぶん!」

「たぶんって言っちゃってるし!?」

首をぶんぶんと横に振りながら、涙を流す43歳。

「はっ!そうだ、クロノに今家督を継がせれば……」

「そうだじゃありませんが!?僕も13歳ですよ!?」

「……実はもう2年早く生まれていたって事で!」

「なるかぁ!?」

「元はと言えばクロノの飛び蹴りが原因なんだから責任とってよぉおおおお!?」

「それは本当に申し訳ないと思っていますけども!それでも無理なんですってばあああ!」

「ついで!今!家督!」

「嫌です!無理です!頑張れ家長!」

親子で家督争いをしていると、扉が何者かにノックされた。

「ひゃばぁ!?」

「うべぇぁ!?」

ひしと抱き合いながら扉から離れ、どうにか喉を整える。

「何用か」

「今は重要な会議中であるぞ」

ガタガタと震えながら精一杯威厳のある声を扉に投げかければ、落ち着いた声が返ってきた。

「申し訳ありません。クリス皇太子殿下が、フリッツ様とお会いしたいと」

「 」

「 」

白目で向かい合う親子。互いに相手の背中を押して扉に向かわせようとするが、腕力により自分が勝利した。

格好良い所見せてくれ……父上!がんば!

「おっほん!……よかろう。それで、皇太子殿下は今どこに?」

「ここです、兄上」

「……そうか」

頑張った!父上頑張った!頑張って白目剥くのは耐えた!

というか、なんでもうクリス殿下がこんな所に……。そう思い執事の方に視線を向ければ、彼は冷や汗を流しながら口をもごもごとさせる。

「そ、その……」

「ボクが無理矢理押しかけたのです。彼を叱らないであげてください」

クリス殿下が執事の前に出て、柔らかく微笑む。

うーん、これは絵に描いた様な王子様。自分が乙女だったら惚れていたかもしれない。

「よろしい。今は帝国の今後を左右する大事な時期だ。さ、中へ」

「感謝します、兄上。クロノ殿」

「いえ。余程の急用であるとお見受けします。護衛もなしで、皇太子殿下がいらっしゃるとは……」

──まあ、この後乙女はあっちだったと聞かされるんですけどね!

「 」

「 」

再び親子揃って白目を剥く自分達に、対面に座るクリス殿下が真剣な顔で喋る。

「兄上。そしてクロノ殿。今言った通り、本来ならボクは皇帝に相応しくない」

凛とした顔で、しかしその碧眼に憂いを帯びさせて彼……いいや、彼女は続ける。

「この真実を知ったうえで……共に、帝国の為に働いてくれるか?」

一瞬だけ、父上と視線でやり取りをする。

──どうしよう。

──ここで頷かないと、父上が皇帝やる事になりますよ?

「任せてくれ、クリス!いいや、お任せくださいクリス皇帝陛下!!」

「父上と共に、全力で貴女様をお支えします!皇帝陛下万歳!!」

ジャンピング土下座をかます自分達に、クリス陛下が慌てて立ち上がる。

「いや、ちょ、まだ戴冠式もまだだよ!?あ、頭を上げてください!兄上!クロノ殿!それに、ボクはまだ何の実績も……」

「へへ……いやいや。貴女様ほど皇帝に相応しいお方はおりませんぞ。自信をもってくだされ」

「兄上口調そんなんでしたっけ!?」

「へへ……僕は御身と違ってただのガキですので。どうぞこき使ってくだせぇ。あ、足でもお舐めしますか?」

「いや、クロノ殿は戦場で華々しい実績があるだろう!?それに、この前もホーロスやモルステッドからきた間諜を捕らえたじゃないか!?」

「私共なんて貴女様と比べればただの庶民ですので……」

「どうぞ、何なりとお申し付けください。あ、お菓子でも買ってきますか?」

「いや本当にどうしたの2人とも!?」

──この後。

数日前捕まえてどうにかうちで働く様に説得したシスター服の『シス』さんと、父上や自分、そして母上や兄弟達と共に幾つもの苦難に遭遇するのだが。

それはまた、別のお話である。