軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

51.世界に魔法が戻るまで①

目を開けると、私は天蓋付きのベッドに寝かされていた。

ここはどこ。

歴史を感じさせる石造りの壁と、そこに不釣り合いなたくさんの布で隠されたベッド。内装や調度品の雰囲気から、ここが寮の部屋でないことだけはわかる。

私、何していたんだっけ。そうだ。使節団の皆さまについて、リトゥス王国へ行って……。空の上に不思議な国があって。“お母様”と“お父様”のお話を聞いて、それで……。

「あっ……レイナルド様!」

起きあがろうとしたのだけれど、そうはいかなかった。体がとんでもなく重い。まるでずっと寝たきりだったような感覚に、驚いてしまった。

「何……?」

「あんた、目が覚めたのね⁉︎」

首を傾げたところで、ちょうどこの部屋に入ってきたところだったらしいミア様が悲鳴をあげる。あまりにも大きな声だったので、自分は何かものすごい心配をかけたのではないかと思ってしまう。

「はい……あの」

「ここは国境の湖前にある砦よ。いますぐにお医者さんを呼んでくるから! あとあんたのポーションも持ってくるわ!」

ミア様がバタバタと出ていった数分後。同じようにバタバタと音を立ててたくさんの人がなだれ込んできた。

「フィーネ、気分はどう?」

「フィーネちゃんがいないと食事の時間のレイナルドが静かすぎて」

「自分、水龍の魔法に感動しました……!」

「問診の前にこのポーションを飲んでもらおうかな。君が自分で生成したものだけどね。効果が高くて、ずっと昏睡状態だった人にはぴったりだ」

レイナルド様。クライド様、なぜかマックス様、お医者様、後ろではミア様が目を潤ませている。使節団で顔見知りになったたくさんの騎士の皆さん。

こんなに一度に押し寄せてくるということは……。

「あの、私はどれぐらい眠っていたんですか……?」

恐る恐る問いかけるとレイナルド様がベッドサイドの椅子に腰を下ろし、手を握ってくる。まさかそんなことをされると思っていなかったので、心臓が跳ねた。

「フィーネは一週間、ずっと眠っていたんだ」

「一週間……って、レイナルド様は大丈夫ですか⁉︎ 大怪我を!」

一瞬で言葉の意味と、気を失う前に起きた出来事が頭の中を駆け巡った。あわててレイナルド様のお腹に目をやると、にっこり微笑んでくださる。

「特効薬を3本も飲んだから大丈夫だよ。フィーネがたくさん作り置きしておいてくれたから、命拾いした」

「レイナルド様……」

ほっとしたら、涙が溢れた。

よかった。よかった。私の特効薬、間に合ったんだ……。

お父様とお母様の事故のときには間に合わなかったけれど、今回は間に合って、レイナルド様は元気になった。安堵で息を吐くと、本音しか出ない。

「私……工房で働いていて、本当に良かったです」

「フィーネちゃん、レイナルドのことばかり心配してるけど、俺らもすごく心配したんだよ?」

「そ……それは申し訳」

「そうよ、あんた、いきなりあんな大きな魔法を使うってどういうことよ⁉︎」

見守ってくださっていたクライド様とミア様が口々に告げてくる。あの戦闘は本当に悪夢で現実とは思えないほどにこわかった。

けれど、もう過ぎ去ったことなのだと思って安心する。よかった。皆が無事で、そして無事にアルヴェール王国に戻ってこられて本当に良かった。