作品タイトル不明
王都ソフィアに到着
国境の辺境伯の歓迎式典から、何とはなくソニア王国って大袈裟だなぁと感じていたけど、そこから王都ソフィアまでの旅でうんざりした。
「もうご馳走は食べられないわ」
馬車の中は、私とシャーロット女官とメアリーだけなので、マーガレット王女もつい愚痴が出る。
「皆様、歓迎して下さっているのでしょう」としか応えようがない。
私は、本当にエバの料理が恋しい! だって、ソニア王国の料理は、ソースが凝っていて美味しいのだけど……胃が重たいんだ。
スイーツは、前のローレンス王国の砂糖ジャリジャリではないけど、割と同じ感じ。プチケーキ、バラエティは色々だけど、エバみたいにはいかない。
贅沢に慣れるのって早いね。薄いハムに薄いスープ、色がついただけのお茶。スイーツなんて、とんでもない! 食べ物に苦労するほど貧乏だったのに。
「明日には、王都ソフィアに着きます。大使館では、ローレンス王国の料理が提供されるでしょう」
シャーロット女官が、旅のスケジュールをマーガレット王女に伝える。
大使館には、エバが指導した王宮料理人が既に派遣されている。私的には、お粥が食べたい気分だ。
これまでの歓迎の昼食会、晩餐会で、重いソースに胃がまいっているんだよね。
それは、ゲイツ様も同じなのか、真剣に 天狼星(シリウス) に餌を分けて欲しいと交渉して、ベネッセ侯爵夫人に叱られていた。
「こちらで狩りに行くのだから、新鮮な肉が手に入りますよ」とか 天狼星(シリウス) に余計な事を言わないで欲しい。
「ワン! ワンワンワン!」『狩りか! ワイバーンが美味しい!』
ソニア王国にワイバーンを連れて来たりしたら、絶対に駄目だ!
「 天狼星(シリウス) 、魔物と遊んでは絶対に駄目よ!」
馬車で言い聞かせたけど、どこまで理解してくれているのか不安。
王都の手前からは、そこの接待してくれた貴族達も連なって馬車で向かう。
つまり、ぞろぞろと馬車が連なっているし、護衛の騎士達もいっぱい。
本当に行列がゆっくりと進んでいる。
「 馬の王(メアラス) や 金の鬣(グルファクシ) が我慢できるかしら?」
馬車の中でも、のろのろと進むのにイラッとしちゃうぐらいなのに、爆走するのが好きな 馬の王(メアラス) は大丈夫かな?
「もうすぐソフィアが見えて来ます。大使館で、少し休憩したら王宮へ行かないといけません」
シャルル陛下に謁見して、歓迎のお食事会だ。
のろのろの旅だったけど、新年会の五日前に到着できたのは良かった。
「それにしても、 天狼星(シリウス) を連れて行って宜しいのでしょうか?」
この一行に 天狼星(シリウス) がいるのは、報告されている。シャルル陛下がフェンリルを見てみたいと言われたとか……。
「 天狼星(シリウス) が大人しくしていたら、問題はないのでは?」
マーガレット王女は、足元で眠っている 天狼星(シリウス) に慣れている。足を乗せても怒らないし、ぬくぬくだからね。
「そろそろ、ソフィアですね」
シャーロット女官の言葉で、マーガレット王女と共に窓から外を見ると、王都を護る壁の外にも街並みが続いていた。
「ソフィアは大きな首都なのね」
それに、外の建物なのに街並みが綺麗に整っている。
「全部、同じ建物に思えるほど統一されているのですね!」
高さ、窓の形が統一されているから、洗練されて見える。
まぁ、ここは防衛壁の外、王都の郊外だから、表通りだけみたいだけどさ。
つまり、王都には部屋を持たない人がここで暮らしているのか? それか、生産拠点なのか?
王都の西門から入る。サリエス卿が一旦、行列を止めた。
ここでも、歓迎式典みたい。格式張るのが好きみたいだね。
でも、馬車から降りる事まではなく、ソフィアの中に入った。
「大使館に着けば、少し休憩できます」
行儀が悪いから、窓に張り付いたりしないけど、ソフィアは花の都と呼ばれているだけあって、街並みは整っている。
「素敵な王都だわ」
確かに、ロマノより整っている感じだ。それは、歴史が長いからかも。
馬車は、西門から入り、中央の大通りを越してから、北へと曲がった。
「彼方が王宮ですわ」
大きな広場から、王宮がチラリと見えた。ローレンス王国の王宮の倍はありそう。
広場でパリス王子達の馬車とはお別れだ。彼方は、王宮へと向かう。
私達は、ローレンス王国の大使館へ! やっと、息がつける気がする。ずっと緊張していたのだ。