軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ストレスの多い旅

行く前から、ソニア王国は貴族主義が多いと聞いていた。それに恋愛が激しいとも……。

「ペイシェンス、気をつけなさい」とマーガレット王女から忠告される程、パーシバルの周りに貴婦人と令嬢が集まっている。

「私は、パーシバルを信頼していますから!」と強気の返事をしたけど、本当は気にしている。

パリス王子も令嬢達に囲まれてはいるけど、マーガレット王女との婚約は知られているからか、アタックは今のうちは激しくない。

ゲイツ様は、傲慢な態度全開で、貴婦人や令嬢を寄せ付けない。

辺境伯の館での昼食会の後、懇親会とやらになし崩しになったけど、もう部屋に籠もりたいよ。

「晩餐会の後もこの調子なのかしら?」

マーガレット王女もパリス王子と同じ部屋なのに話す事もできないので、イライラが溜まっている。

でも、王妃様に厳しく教育しなおされたから、にこやかな表情をキープしているけどね。

ゲイツ様が、こちらに来られる。何か問題が発生したのかしら?

「ペイシェンス様、 天狼星(シリウス) の餌ですが、大使館に着くまでは、ドラゴンの肉は与えない方が良いでしょう。馬鹿な奴が欲しがるかもしれませんから」

天狼星(シリウス) の餌を横取りされるのは困る。

「ええ、他の魔物の肉もいっぱい持って来ていますから」

これで、この話は終わりだと思ったのに、何を持って来たのかとか、質問が続く。

「プリームス、 天狼星(シリウス) の餌を欲しがるだなんて、非常識ですわよ」

本当にベネッセ侯爵夫人がいてくれて、良かった。ゲイツ様を躾け直してくれている。

「そろそろ、お部屋に上がっても良いでしょう。マーガレット王女、そう辺境伯に伝えますわ」

綺麗なマーガレット王女に秋波を送る紳士もいるけど、相手には勿論しない。

ベネッセ侯爵夫人が、長旅の途中ですのでと、強気に懇親会から退出すると言ってくれた。

マーガレット王女の部屋にベネッセ侯爵夫人と私も一緒に行って、晩餐会のドレスのチェックをしたよ。

「晩餐会では、席順も決まっています。マーガレット王女の横は、辺境伯とパリス王子になりますわ」

パリス王子の横! パッとマーガレット王女の顔が輝く。

ベネッセ侯爵夫人も私も、長旅で疲れているけど、少し癒されたよ。

私も、パーシバルにエスコートしてもらえると聞いて、にっこりしちゃった。

ベネッセ侯爵夫人は、ゲイツ様がエスコートするから、お行儀は良くしていると思う。

「少しでも良いから、身体を休めておいて下さい」

ここまでも疲れたけど、国内だったから、大袈裟な昼食会や晩餐会は控えて貰っていた。

ソニア王国に入ってからは、ずっとこの調子なのかも。

私も、部屋に行ってベッドで身体を休める。 天狼星(シリウス) が扉の前で寝ているのが、可愛くて癒される。

この 天狼星(シリウス) を館に入れる件も辺境伯が文句をつけたけど、不満に思った 天狼星(シリウス) が大きくなったらビビって許可を出してくれた。

「支度の時まで寝ます」とメアリーに言っておけば大丈夫。

初めての外国旅行だけど、貴族の社交ばかりになりそう。それに、冬だから見るものは全て雪に覆われている。

「ローレンス王国より寒い気がするわ」

布団に潜って眠ってしまった。

夢で、ナシウスとヘンリーが一緒に温室でいちごを育てていた。

「ヘンリー、六個までだよ」とナシウスが注意している。

ふふふ、もうヘンリーも大きくなったから、八個食べても良いのに……お兄ちゃんは、厳しいね!

籠に入ったいちごは、夕食のデザートかしら? 前ほど貧乏ではなくなったので、市場でこっそり売る必要はなくなった。

「いちごのデザートなら……」と考えていたら、メアリーに起こされた。

「お嬢様、そろそろお支度を始めませんと」

うっ、いちごのデザートを考えていただけで、意地汚く食べたいと夢見ていた訳じゃないよ。

今夜は、先発で送ったドレス程ではないけど、持って来たドレスの中では一番の薄いブルーのドレス。それにサファイヤのティアラ、ネックレス、ピアスの三点セット。

マーガレット王女も正式な王女のティアラは送っておられるけど、きっとサブのティアラをつけられる。

ドレスも正式な白を着られるから、私は側仕えとして一歩控えた薄いブルーで良い。

手早くメアリーに着せて貰って、髪の毛も結いあげる。

私は、マーガレット王女の側仕えでもあるので、部屋に急ぐ。

「ああ、やっぱり!」

辺境伯は、マーガレット王女の部屋にはお風呂を用意させたのだ。

それはありがたいけど、昼食会の後の懇親会が長引いたから、ちょっと迷惑。

「髪の毛は私がやりますわ!」

ゾフィーも上手いけど、コテを温めている場合じゃない。

「ティアラは、ルビーのですわね」

確認して、髪の毛をアップにしていく。

「お化粧は、ゾフィーの方が慣れているでしょう」

ここで、やっとスツールに座る。

「ペイシェンス様が側仕えで良かったです」

シャーロット女官も手伝っていたが、髪の毛をコテで形にするのは、慣れてないと無理だからね。

「お風呂は……諦めた方が良さそうですね」

「ええ、用意してくださるにしても……時間が少ないですから」

シャーロット女官は、文句は言わなかったけど、懇親会をもっと早くお開きにしてくれたらと、辺境伯の段取りの悪さにモヤモヤしているみたい。

ゾフィーにお化粧して貰ったマーガレット王女は、とっても綺麗!

「素敵ですわ!」と褒めると、嬉しそうに微笑む。

この先、ソフィアまでこの調子だとしたら、私は自分の支度は素早く済ませて、マーガレット王女が輝くように頑張らなきゃね! それが側仕えの仕事だと思う。

晩餐会、マーガレット王女は煌めいていて、パリス王子の婚約者としての存在をソニア王国の人に知らしめた。

「ペイシェンス、お疲れさまです」

隣の席のパーシバルに、こっそりと労われた。

「いえ、マーガレット王女の素晴らしさを宣伝しなくてはいけませんもの」

そう、ローレンス王国の中は、宣伝の必要が無かったから、旅を急いだのだ。

ここからは、パリス王子とマーガレット王女の婚約を披露しながらの旅になる。

「パーシバル様、早くソフィアに着きたいですわ」

「ははは、そこからが本戦ですよ」

その通りなのだ! まだ、まだ気は抜けない!

「でも、一度ぐらいはデートしたいですわ」

「勿論、考えておきます」

ふふふ、色々ストレスの多い旅だけど、ご褒美デートが待っているなら頑張ろう!