軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

これからのスケジュール

「それより、寮はどうしようかしら?」

ゲイツ様が横で肩を竦める。

「どうせ、後一月もしないで卒業でしょう。退寮しても良いのでは?」

うっ、乙女心を理解していないね!

「ペイシェンス、それは 天狼星(シリウス) が屋敷に馴染んでから考えたら良いと思います。それに、本当に 天狼星(シリウス) がゲイツ様と南の大陸に行くのなら、退寮しないで良いかもしれない」

あっ、その問題もあったんだ! 確かに、 天狼星(シリウス) が南の大陸に行くなら、その間は寮で最後の日々を過ごせるかも。

「これからのスケジュール調整をしなくてはいけませんね」

お偉いさんのテントにパーシバルと一緒に連れて行かれた。そこには、サリンジャーさんも呼ばれていた。リチャード王子は、サリンジャーさんを味方にして、ゲイツ様を抑えるつもりかな?

「いつから、ソニア王国に行くのでしょう? 私的には行きたくはないのですが、マーガレット王女とペイシェンス様と母の護衛なので仕方ないですねぇ」

それ? それが一番最初に決めなきゃいけない事なの?

パーシバルが笑って説明してくれた。

「ソニア王国にマーガレット王女が訪問するのは、公式行事になりますからね。事前に、ドレスや宝飾品も運んでおかなくてはいけませんし、彼方の大使館の補強も必要です」

ふぅ、私もメアリーが「ドレスを作らなくては!」と騒いでいるから、少しは準備が大変なのは察している。

「それは、王立学園が冬休みになってからになるだろう」

リチャード王子の言葉にゲイツ様が頷く。

「彼方でも、新年には王宮でパーティが開かれるでしょうから、それまでにソフィアに到着するべきですね」

そこで、マーガレット王女とパリス王子の婚約が披露されるって感じなんだね。

「それまでには、馬車に暖房の魔導具を設置しなくてはいけませんね。冬の馬車の旅なんてウンザリです」

本当に、私とゲイツ様以外は、あまり寒さに文句を言う人がいないんだけど、平気なのかしら?

リチャード王子の微笑みが深くなる。

「あの非常識な馬車を、より非常識に改造するのですか?」

ああ、ちょっと浮かんでいるのに気付いたんだね。

「ソニア王国の道がちゃんと舗装されていると良いのですが、ガタガタ揺られるのは嫌なんですよ」

あっ、リチャード王子の微笑みがより深くなった。怒っているみたい。

「あんな最高機密満載の馬車をソニア王国に持ちこむのですか?」

ゲイツ様が得々と反論する。

「ああ、ちゃんと魔法陣は隠蔽しています。それに分解しようなんて考えたら、黒焦げになるようにしていますから、機密は護られます」

それは聞いていた。サリンジャーさんも横で頷いている。

「それは、そうとしても……快適な馬車にロマノ王国側だけが乗っているのは問題になります」

うん、それは私もそう思うよ。途中で休憩をしながらソニア王国に行くにしても、舗装してある道でもガタガタしちゃうから疲れるよね。

「マーガレット王女の馬車にパリス王子とカレン王女を乗せたら良いのでは?」

それは……駄目では? と私も思ったぐらいだから、リチャード王子が却下する。

「これから正式にソニア王国で婚約の披露をする二人を同じ馬車に長時間乗せるのは、評判が良くないでしょう。パリス王子はゲイツ様の馬車に乗せたらどうでしょう」

「冗談じゃない! 冬の長旅だけでも嫌なのに、肩の凝る他国の王子と一緒なんて嫌です!」

二人の睨み合いは放置して、私とパーシバルは、お互いのスケジュール調整をしよう! 多分、マーガレット王女の馬車にカレン王女と私が乗って、私の馬車にパーシバルとパリス王子って事になるんじゃないかな?

侍女とかもいるから、ちょっとわからないけどね。

「ペイシェンスは、本当に下級官吏の試験を受けないのですか?」

「ええ、領地改革に専念したいので、官吏にはならないと思いますから」

そんな事を話していたら、リチャード王子からは「女官の試験は受けないのか?」ゲイツ様からは「下級魔法使いの試験を受けなさい!」と横から口出しされる。

「お父様と相談して決めます」

これ、断りの言葉として便利だよね。領主だけで大変だもの。女官はリュミエラ王女の側仕えに指名されそうだから、できたら避けたいからね。

私の思惑なんか御見通しって顔のゲイツ様とサリンジャーさん、思いっきり斜め上の提示をする。

「そうですね。今更、下級魔法使いの試験なんか受ける必要はありません」

「ですね! ペイシェンス様は、上級王宮魔法使いの実力がありますから」

油断すると、この二人は魔法省に引き摺り込もうとする。それに、何故かリチャード王子も止めようとしないんだよね。

「それも、お父様に相談いたしますわ」

ゲイツ様は、お父様が意外と頑固なのを知っているので、一瞬、銀色の目を光らせた。でも、ただで転ぶゲイツ様ではない。

「あっ、ペイシェンス様! 今回の魔物討伐の慰労会、ワイバーンを提供しますから、豪華にお願いします。 天狼星(シリウス) の餌も提供するので、コミュニケーションの仕方も教えて下さいね」

うっ、慰労会……今年も私がするんだね。学生は良いんだよ。それに女子テントのメンバーもね。

だけど、ゲイツ様がそんな事をここで言うから、リチャード王子や第一騎士団長も呼んで欲しそうな顔になっているじゃん。

「ペイシェンス、二回に分けてすれば良いのでは?」

「パーシー様、二回?」

ううん、そっちの方が良いかも。

「それなら、パリス王子、アルーシュ王子も招待したら良いのですよ」

ゲイツ様、自分は二回来るつもりですね!

天狼星(シリウス) の件は、やはり国王陛下への拝謁になった。王都にフェンリルがいるんだから、許可を取らなきゃいけないんだってさ。