軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

秋の食事会は彩り豊か! 1

ゲイツ様が早く来るのはいつも通りだけど、サリンジャーさんも一緒だ。

サリンジャーさんは、手土産にワインを二本! ゲイツ様は、前に食材をたっぷり貰っているのに、ワインも箱で持って来た。

「これは、領地で作っているワインなのです」

それは嬉しい! うちに紹介してくれた葡萄畑の管理人サムの父親が作っているワインなんだもの。

こんな時、ペイシェンスが十三歳なのが悔しい! この世界では十五歳ならワインを飲んでも良いんだもん。飲み比べたいよね!

「ありがとうございます」と挨拶して、ワイヤットがワインを従僕に運ばせるのを見守る。

「ラドリーも楽しみにしているようです」

そんな事を言っていると、ラドリー様とパーシバルもやって来た。二人ともワインを手土産だ。

グレンジャー家が何年も極貧生活をしていたのを知っているから、ワインセラーが空っぽ状態なのを考えてくれたのかもね。

あっ、ラドリー様は、料理に合うワインを単純に楽しみたくて持参したのかも? ここは、執事のワイヤットに任せよう。

それぞれが挨拶しているうちに、教授夫妻も到着するし、ユージーヌ卿とサリエス卿も二人仲良くワイン手土産にやって来た。

教授達も今回は学長が開く教授会ではないので、それぞれ手土産持ちだ。やはり、専門分野が出ていて笑える。

海洋生物学科のベッカム教授は、スモークサーモン!

「鮭の養殖が軌道に乗るまで、学生達は研修所でお世話になります」

今は、卵から孵った稚魚を育てている最中。

「ええ、お願いしますわ」と頼んでおく。

魔法建築学科のライトマン教授は、今度開店する領地物産店の看板! これは、名前を描いたら建物に掲げてくれるそう。

「ペイシェンス、名前は決まったのですか?」

パーシバルに心配されたけど、メーガンと相談して決めたよ。

「ええ、H&G商会としましたの」

ハープシャー、グレンジャー商会って、そのまんまだけどね。

植物学科のリンネル教授からは、私が探し求めていた甜菜!

「まだ糖度が低いですが、領地の研修所で品種改良したいと思います」

「楽しみです」と頼む。

教授夫人方には、夏休みの夫の不在で寂しかったでしょうと詫びたが、平気だったみたい。亭主元気で留守が良いのかな?

「お食事が用意できました」とワイヤットが告げるので、食堂に移動する。

今回は、予め席を決めてある。教授夫妻は固めて、お父様にお相手してもらうつもり。だって、問題児のゲイツ様とグルメなラドリー様は、私が相手をしなきゃ駄目だから。パーシバルとサリンジャーさんは、こちら側。

テーブルの人数合わせ、凄く悩んだけど、教授組と夏休み合宿組に分けたんだ。

「弟のナシウスを教授組に入れるか? でも、ヘンリーと分けたくないのよ」

悩んでいた私に、ミッチャム夫人が内内の昼食会だから、分けなくても良いと言ってくれたんだ。

まぁ、正式な昼食会ならヘンリーは参加できないんだよね。

そう言うわけで、お父様のテーブルは教授夫妻三組とで七名。

こちらは、九名! でも、皆は私の弟愛を知っているから、誰も文句はつけない。

テーブルには低く花が飾ってある。お父様のテーブルからは、教授夫人達から褒める声が上がっているけど、こちらはねぇ。

パーシバルも花には興味ないからさぁ。

でも、薔薇も濃い色を選び、あしらいの木には色づき始めた楓、そしてイガグリやミニりんごなども飾っているんだけど、ゲイツ様なんか目にも止まってなさそう。

「おお、メニューですね!」と真剣に見ている。ラドリー様もメニューに夢中だ。

パーシバルがテーブルの上のちょっと変わった秋の彩りの花に気づいてくれた。

「秋らしい飾りですね」とやっと褒めてくれた。

「あっ、そうだ! 収穫祭までに特産品店をオープンする話ですが、何を売り出すのですか?」

ラドリー様には、店舗の改築工事をして貰った。

「先ずは、味噌、醤油、ソース類、後は魚介類を考えています」

ふむふむと頷いて聞いているラドリー様だけど、ゲイツ様は「料理は!」と煩い!

「この前みたいに、料理のデリバリーをしたら良いと思います。そうすれば、いつでもペイシェンス様の料理が味わえるのですから」

あっ、ラドリー様が初耳だと怒っている。

丁度良いタイミングで、ワインと前菜が運ばれた。

今回は、教授夫人も色々と食べたいだろうから、キュージーヌ風だよ。

少しずつ、綺麗に盛り付けてある前菜が三皿。

一皿目は、美味しくなってきた牡蠣をパン粉を付けて香草焼きにしている。その付け合わせに、人参のラペと茄子のヨーグルト和え、それに蟹の内子を混ぜたポテトサラダ。

人参のラペには、胡桃の砕いたのを混ぜてあって、凄く美味しい!

私やご婦人方のは一口ずつだけど、お父様やパーシバルやサリンジャーさん、教授達は、二口ずつかな?

ゲイツ様、ラドリー様、騎士のサリエス卿とユージーヌ卿、弟達は三口ずつ。

「ペイシェンス様、少なすぎます!」

約一名が文句を言っているけど、今回は皿数が多いんだ。

「ゲイツ様、お代わりは自由ですが、最後まで食べられなくても知りませんわよ」

メニューと睨めっこして、お代わりはやめたみたい。

二皿目の前菜は、ゲイツ様が持って来たきのこと魔物の肉を中心に盛り付けてある。

ビッグボアを一晩マリネして、それをローストしたのを薄く切ってあるんだけど、間にトリュフを挟んで綺麗に盛り付けてある。

付け合わせは、きのこのマリネ! 秋らしくパプリカのピクルスをイチョウや楓の形に抜いたのが飾ってある。

ソースは、バルサミコ酢を使ってコクがあるのにさっぱりしている。

「このソースは!」

グルメのラドリー様が騒いでいる。

「これは、領地の葡萄で作ったバルサミコ酢を使ったソースですわ」

ユージーヌ卿とサリエス卿は黙って完食して、すかさずお代わりしている。この二人は、考えて食べるだろうし、お腹がいっぱいになっても、騒がないだろうから放置。

「どうしましょう? ペイシェンス様、このバルサミコ酢のソースの販売はしないのですか?」

ゲイツ様が煩い! と思っていたけど、ラドリー様からも強い圧を感じる。

「まだ少ししか作っていませんが……小瓶でお分けしますわ」

そう言わないと、食事会が平和に終わりそうにないからね。

三皿目は、私が前世で大好きだったパスタ! ゲイツ様がトリュフを持って来てくれたから、作って貰ったんだ。

お皿の真ん中にチョコンとカルボナーラ、そしてその上にトリュフが薄く削って飾ってある。周りにはチコリの緑が飾ってあり、黄色いパスタと良い取り合わせだよね。

卵は、まだ発売していないから浄化器は使えないので、ミミに部屋にバスケットに入れて持って来て貰ったよ。

「綺麗になれ!」と掛けて、すぐに台所に持っていって貰ったんだ。キャリーもだけど、ミミも調理助手として成長してて、凄く楽しみ!

「ううう、美味しすぎます! これはお代わりしなくては!」

ゲイツ様、馬車の浮遊の魔法陣は隠蔽したのだから、卵の方も早く隠蔽して欲しいな。

「ペイシェンス、まだ前菜なのに、大丈夫ですか?」

パーシバルが二人の大騒ぎを心配してくれた。サリンジャーさんが、ゲイツ様とラドリー様を連れて帰ってくれるのを期待しよう。

それに、騎士が二人いるから、なんとかなるでしょう!

はぁ、確かにパーシバルの言う通りだよ。まだ前菜! これから、スープ、魚料理、シャーベット、肉料理、デザート! それも、スープとシャーベット以外は二皿ずつ! 疲れるかも。