軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

少女歌劇団、鑑賞

厄介な教授会を終えて、晴れ晴れとした気分で日曜の少女歌劇団を観に行く。

パーシバルとサミュエルとアンジェラも弟達も一緒だ!

応援グッズ、作れるけど、これは推し文化の為だから、劇場で購入する予定!

「ペイシェンス様! 楽しみで早く来てしまいましたわ」

アンジェラは、教育熱心なラシーヌが浮ついていると禁止するのでは? と心配だったみたい。

パーシバルとサミュエルも来たので、劇場に出発だ。

「母が桟敷席を予約してくれました。だから、大丈夫ですよ」

こちらでは、十歳以下の子には本当に厳しい。でも、ヘンリーはお行儀も良いし、桟敷席なら他の人の目も無いから、より安心だね。

劇場は、大きな王立のオペラハウスを筆頭に、小規模な物も多いみたい。

社交界デビュー前のペイシェンスは、オペラやコンサートに行ったことが無いんだ。

それに、数年前までそんな余裕はなかったからね。

「この通りは、劇場が多いのです」

パーシバルに説明して貰う。この馬車には、パーシバルと私とアンジェラ、それとメアリーだ。ミアは、今日はお留守番。私がアンジェラの保護者代わりだからね。

弟達は、サミュエルと一緒だよ! 少女歌劇団の劇場、大きくはないけど、白壁が綺麗。

それに、エントランスに入った途端、夢の国に来た感じがするんだ。

赤い絨毯に、煌めくシャンデリア! これ、きっと王妃様がラドリー様に改修を依頼したんだと思う。

甘いけど、甘すぎず、センスよく纏めてある。これなら、紳士方も劇場に来やすいよね。

「ペイシェンス、あそこが売店ですよ」

パーシバルにエスコートしてもらって、売店に向かう。

「パンフレットと、赤と紫のペンライトを頂きますわ」

アンジェラは、主役の青のペンライト!

お金は、メアリーが支払う。アンジェラのは、ミアから預かっているみたい。

弟達には、ちょこっとお小遣いをあげている。それで、パンフレットを買っているけど、ペンライトは悩み中だ。

「パーシー様は、ペンライトは買われないのですか?」

男の子は、少し、恥ずかしいのかな?

「誰を応援するべきなのか、決められなくて……母には、買うように言われているのですが……」

ああ、モラン伯爵夫人はパトロンをされているからね。

弟達とわいわいとペンライトを選んで桟敷席へ。

前世では、アリーナ席が人気だったけど、こちらでは貴族は桟敷席みたい。

椅子は二列になっているから、アンジェラ、サミュエル、ヘンリーを前列に座らせる。私とパーシバルとナシウスは、後ろの席だよ。

その後ろに、侍女や従僕の座る椅子がある。

「ペイシェンス様、前の席でなくて良いのですか?」

アンジェラとサミュエルが気にしているけど、パーシバルと一緒の方が良いと伝えたら、くすくす笑われた。

席を詰めれば、四人前でも良いけど、ナシウスは背がかなり高くなっている。年上のサミュエルよりもね。

「満席みたいですわね!」

今日は日曜だから、下の席は若い女の子が多い。母親と一緒に観劇に来たのだろう。

「ええ、母も大好評で喜んでいます」

そんな話をしているうちに、幕が上がった。夢の世界だ!

「ふぅ、素敵でしたわ!」

アンジェラは、男装の麗人に夢中だ。幕間前には、青のペンライトが多く振られていた。人気みたいだね!

ヘンリー、ナシウス、サミュエルは、初めて見たので、ぼぉっとしている。

「私は、やはりピンクのペンライトを買おう!」

カルメン・シータが屋敷に来たことがあるとナシウスから聞いて、応援しようと、赤のペンライトを買っていたサミュエルだけど、娘役の可憐さに落ちたようだ。

夜公演(ソワレ) の幕間は、大人はシャンパンとか飲むのだろうが、 昼公演(マチネ) だから女の子向けにアイスクリームがサロンで食べられるようになっている。

パーシバルと一緒にアイスクリームを食べながら、少女歌劇の内容について話すのも楽しい! 私やパーシバルやアンジェラは、夏の離宮で観ているから、結末はわかっているけど、歌姫を心配しているヘンリーには内緒だよ。

舞台は、衣装もゴージャスだし、歌や演技やダンスも夏休みより上手くなっていた。

「ただ、ドレスは昔風なのですね。フリルや舞台映えは良いのでしょうが、少し……」

まぁ、時代劇っぽい設定だから仕方ないかもね。

「でも、男性の服装は古典的ではありませんわ」

うん、半ズボンに白い靴下は格好悪いからね。アンジェラも頷いている。

「今風のドレスは、レースが多いし、ストンと落ちているデザインより、スカートが広がっている方が大きく見えて良いのかしら?」

アンジェラと二人で舞台衣装について話す。それと、今季のドレスについてもね!

「お母様からマグノリアを雇ったと聞きましたわ」

そう、まだプレタポルテを作るには時期尚早だと話し合った。当分は、屋敷に住み込みで、私や友達のドレスを作って貰う。

マグノリアがお針子のチーフになった感じなんだ。マリーは、自己流で型紙を描いていたけど、マグノリアに習っている。モリーもだけど……こちらは、縫う方が好きみたい。

「秋と冬のドレスを何着か作って貰いたいのです」

アンジェラは、良い顧客だよ。それに、アンジェラの服を見て、ジェーン王女の学友のケイトリンとキャサリンも作りたいと言っている。

もう少し、顧客が増えたら、メゾンをアップタウンに作っても良いと思う。

横で話を聞いていたパーシバルがくすくす笑っている。

「今年は、特産品店だけにした方が良いですよ。受験を忘れないように」

そうなんだよね! 受験、忘れていないよ。

少女歌劇は、ハッピーエンドで、皆がそれぞれ応援するスターのペンライトを振り、盛り上がって幕を閉じた。

「お姉様、とても面白かったです!」

ヘンリーも満足そうだし、アンジェラはうっとりと主役を思い浮かべているみたい。

サボンホテルでのお茶は、とても格式があって優雅だったけど、ヘンリーはエバのスイーツを食べ慣れているから、少し残念そうだった。