軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

あれこれバレた!

ゲイツ様の姿を見ると、ソファーに不貞腐れた態度で沈んでいる。

「ペイシェンス様、夏休みの間に何を作られたのでしょう? ゲイツ様は、協力的でないのです」

ああ、ゲイツ様も残り少ない夏休みを満喫しようと抵抗したんだね。私も、できたら王都に戻ってからにしたい。

だって、明日はパーシバルの誕生日パーティ、本当は今日の夜にグレンジャーでロマンチックデートをする予定だったんだ。

「ゲイツ様、如何したら宜しいのでしょう?」

サリンジャーさんは、ゲイツ様の副官だし、そちらの判断に任せるよ。

「もう全てを話すしかないと思います。こうなったサリンジャーは追及をやめませんから」

上司がそう言うなら、そうなんだろう。でも、一言だけ言っておかなきゃ!

「明日はパーシバル様の誕生日パーティです。これだけは、絶対に譲れません」

本当は九月がパーシバルの誕生日だけど、こちらで予定しているんだ。

「ペイシェンス様、もしかして別の誕生日プレゼントを用意しているのですか?」

ゲイツ様がソファーから立ち上がる。

「ええ、でもゲイツ様もご存知だし、大丈夫だと思いますわ」

それに、守護魔法陣のマントは、サリンジャーさんにもあげたから、大丈夫だよね?

「ああ、サリンジャー、私は巻き込まれただけだからね。全て、ペイシェンス様が今聞いた通りに気軽にあれこれ作られたのだ」

「えっ、私のせいですか? 確かに、あの盾は私が作りましたが、空飛ぶスケボーの魔法陣はゲイツ様のお祖父様が何処かで調べて本に載せていたのですよね!」

サリンジャーさんが頭を抱えている。

「ペイシェンス様、やはり貴女は外務省には向いていません。魔法省で、一緒に働きましょう」

えええ! もしかして、サリンジャーさんは盾とか知らなかったの? でも、ゲイツ様の口振では……。だまっておこう! 雄弁は銀、沈黙は金! 思い出すのが遅かったみたいだけどね。

「兎に角、全て見せて頂きます。対応が必要そうですから」

サリンジャーさん、夏休みだよ!

「それは、王都に戻ってからでも宜しいのでは? サリンジャー様も休まなくてはいけませんわ」

うん、そうだよね! でも、ゲイツ様にも止められる。

「ペイシェンス様、もう諦めた方が良いですよ」

錬金術部屋にパーシバルにあげた盾を持ってきてもらう。そこには、私が作った守護魔法を刻んだ指輪、ペンダント、空を飛ぶスケボー。

そして、太陽光蓄電器の作りかけ。

「パーシー様、これを明日渡す予定でしたの」

きちんとラッピングしたパーシバルのベストを渡す。開けるのは、パーシバルにして欲しいからね。

「もう誕生日プレゼントは頂いていますよ」

でも、その誕生日プレゼントは人前で使えない物だったから……。サリンジャーさんの視線が厳しい。

パーシバルも何かは、ほぼわかっている。だって、ベストを私に渡したんだから。

「ペイシェンス、これは凄いですね!」

そう、マントは守護魔法陣だけを刺繍したけど、ベストには修飾刺繍も加えているんだ。

「ええ、これなら普段でも着用できるでしょう?」

何故か、三人が大きな溜息をついた。

「こんな見事な刺繍を施したベストを普段使いにはできませんよ」

そうなの? とパーシバルを見つめると苦笑している。

「社交界デビューの時に着させていただきますよ」

まぁ、他所行きでも良い。

「これは、守護魔法のマントの魔法陣の応用なのですね」

サリンジャーさんは、ホッとしている。そう、これは問題ないよね!

「ただ、これこそ国王陛下に献上すべき物なのではないでしょうか?」

ああ、そうかも?

「それは、王都に帰ってから王妃様にお伺いを立てておく」

王妃様はゲイツ様の伯母上だから、そこら辺は任せておこう。刺繍は得意だから、負担は少ない。

「それは、ゲイツ様に任せますが、この指輪やペンダントも同じですか? いや、マントの守護魔法陣とは違いますね!」

そろそろ非常識な盾を見せなきゃいけないかも?

「これは、ペイシェンス様が考えた反射する魔法陣を極小化した物です。あの盾と同じですね」

サラリと言っても、内容は衝撃的だったみたい。サリンジャーさんが床に座り込んでしまった。

「この盾は、守護魔法陣だけでなく、反射する魔法陣なのですか!」

ああ、サリンジャーさんの詰問タイムになった。

「これは、ペイシェンス様が考えられたのです。パーシバルへの誕生日プレゼントを作ろうとされたのですが、もう少し問題にならない物の方が良いですよね」

またゲイツ様に誕生日プレゼントの非常識さを言われたけど、私にくれた超高級なミスリル製の剣とかも非常識だと思うよ。

「ミスリル製の剣の方が高価ですわ! あの盾は、安い材料だけで作っていますもの。第一、ミスリルなんてゲイツ様以外はもっていないのでは?」

「あのミスリルは、子どもの頃、竜を倒して得たのですよ。私の祖父は、子どもを竜討伐に連れて行くような非常識な人でしたから」

えっ、だからゲイツ様は竜を討伐できると言い切っていたのだ。ふぅん、少し安心したよ。

「そう、そのお祖父様の発見していた魔法陣で、空飛ぶスケボーを作ったのですわ」

どうせバレるなら、お祖父様に責任をなすりつけよう!

「空飛ぶスケボー?」

えっ、サリンジャーさんは、それに気づいていなかったの? 私は、それがバレたと思っていたんだけど。

ヘンリーには禁止にしたけど、割と見られていたからね。

今夜は、グレンジャー館でのロマンチックデートはキャンセルになりそうな予感。

「あっ、太陽光蓄魔器をかなり作りましたよ」

ゲイツ様は、より重大な発明品で、サリンジャーさんの気を逸らそうとしたけど、より時間が長くなりそうな予感しかしないよ。