軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

夢の国

少女歌劇団、夢の国にいるみたいで、素敵だった。

カルメン・シータは、劇の中でも 歌姫(ディーバ) で、恋人の兵士との仲を、貴族に引き裂かれそうになる役を上手く演じていた。

そして、その恋人役の兵士、これ絶対にユージーヌ卿をモデルにしているよね! 格好良いんだ。

劇って、悪役が上手くないと駄目だよね。今回の悪役貴族、顔がめちゃくちゃクールビューティ! 意地悪な台詞すら口説き文句に聞こえるほど!

兵士に恋する娘役も、可愛くて、私ならカルメンよりこちらを選ぶと思っちゃった! 可憐な花みたいな娘役だったんだ。

悪役貴族に騙されて、兵士と歌姫の仲を裂こうとしたりするのに、憎めない。それどころか、悪役貴族に惚れるのではとヒヤヒヤしながら観ていた。

最後は、ハッピーエンドで、歌姫と兵士が結婚して終わる。悪役貴族は、婚約者が来てかなり慌ててご機嫌を取っていたね。コミカルな演技も笑えて良かったよ。

娘役は、他の兵士と良い感じになり、花嫁のブーケを受け取っていた。次の結婚式も近そう!

夢中で観劇して、フィナーレではペンライトを振っていた。

「これは人気が出そうだな」

国王陛下の言葉に、王妃様も満足そうだ。

「私は恋人役よりも悪役貴族の方が気に入りましたわ」

マーガレット王女は、見る目があると思う。私も同感だよ!

「あら、私は恋人役の方が素敵だと思いましたわ」

リュミエラ王女の目がハートだよ。横のリチャード王子が少し呆れているかも?

「これは大流行しそうですね! ソフィアにも巡業に来て欲しいです」

パリス王子は、自国こそ文化の都だと自負しているみたい。

お茶会の間も、少女歌劇団の話題が絶えなかった。

アルバートも好評だったので、機嫌がよさそうだ。近づかないようにしていたけどさ。

私は、アルーシュ王子が本当に領地に来るのか聞きたいけど、藪を突きそうで、怖くて聞けない。

「ペイシェンス、尋ねなくて良いのですか?」

コソッとパーシバルに注意された。

「ええ、来られるか聞かなくてはいけませんね」

ミッチャム夫人に告げて、準備して貰わないといけないからね。

パーシバルがアルーシュ王子をテラスに誘い出してくれたので、私は後から行く。

「アルーシュ様、本当に魔法合宿に参加されるのですか? 今、来ている女学生達は、午前中は学習、昼から領地の開発をお手伝いして貰っているレベルなのですが」

つまり、竜を討伐するレベルの合宿ではないと告げる。

「それは、ゲイツ様が参加されていないからでしょう。一旦、王都に戻り、ゲイツ様と共にお邪魔させていただきます」

うっ、王族の接待なんて、できるかな? うちの使用人、まだ修業中なんだ。

「それと、ザッシュも同行したいのです。私を王族扱いしてくれなくても結構ですが、彼もレベルアップさせたいので、是非ともお願いします」

そんな風に言われると断れない。ペイシェンスのマナーが染み付いているからね。

「ええ、行き届かないことが多いとは思いますが、お待ちしております」

うう、自分の口から出た言葉が憎い! パーシバルや弟達との夏休みが、どんどん無くなっていく!

お茶会が終わったら、夏の離宮からお暇する。

馬車の中で、アンジェラはまだ夢の国にいた。

「ああ、とても素敵で、ファンになりましたわ! なんて素敵な恋人役なのでしょう! ああ、ペイシェンス様、お母様が行くなと言われたらどうしましょう?」

これは、難しいね! ラシーヌは、ファッションとかは進歩的だけど、教育熱心だからさ。少女歌劇団をどう考えるかは、わからない。

「ラシーヌ様が反対されたら、行くのは無理ですわ。でも、私やリリアナ伯母様が誘えば、多分、許可して下さると思うの。だから、あまり騒ぎ立てないで『流石、王妃様がパトロンされているだけあって、素敵でしたわ』ぐらいの反応で留めておいた方が良いわよ」

あまりにもアンジェラが夢中になりすぎていると、ラシーヌが判断したら、禁止するかもしれないからね。

「そうかも知れませんわ。ペイシェンス様、ありがとうございます!」

馬車がサティスフォードに着くまでに、浮かれていたアンジェラも冷静さを取り戻した。

「弟達も、少女歌劇団を観に行きたいと言っていますから、アンジェラも誘いますわ」

パーシバルも母上がパトロンをしているから、チケットを手配すると約束したので、アンジェラは大人しく待っていると笑った。

「お帰りなさい!」

ラシーヌは、心配していたみたいだけど、アンジェラは失敗なんかしなかったよ。

まぁ、少女歌劇団に夢中になっていたけどね。

ちょっとだけ、サティスフォード子爵館で休憩して、領地に帰る。

「パーシー様、やはりゲイツ様は魔法合宿をされるつもりなのですね」

何となく、このままの夏休みを過ごせる気分になっていたんだ。

ルーシーの数学も、カミュ先生のお陰で、ギリギリ合格できそうなレベルになった。アイラは、苦手な風魔法を頑張っているし、生活魔法は二人とも使えるようになったんだ。やはり、魔法関係は飲み込みが早い。

騎士クラブの二人も、順調に体力をつけて、生活魔法でなんとか清潔にできるようになった。

「初めから、その予定でしたからね。国王陛下は、明日には王都に戻られるでしょう。他国の王族達も一緒でしょうね」

警備的に、纏まった方が楽なのか、大変なのかはわからないけどね。

「ああ、明後日には引き継ぎをして、明々後日には来られるのかしら?」

自由時間が無くなる気がする。

「パーシー様、デートしましょう!」

「パティ、良いですね!」

二人でいちゃいちゃモードだけど、メアリーの監視が厳しい。

それに、寂れた領地が待っているのだ。問題は山積みだし、やりたい事もいっぱいだ。