軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スライム狩り

ローラン卿が先頭で、森に向かう。

「私が乗れる程度のスピードで走ってね」

馬の王(メアラス) に言い聞かせて、後ろについていく。

横にはパーシバル、後ろにはベリンダ。弟達やサミュエルには、騎士クラブの二人が付き添ってくれている。

「スライムの素材をよく使うけど、見た事がなかったから楽しみです」

「楽しみ?」

パーシバルが微妙な顔だ。どうやら、前世のゲームのような水滴型の可愛い姿ではなさそう。

「まぁ、一度ぐらいは見ても良いのかもしれませんね」

ローラン卿とベリンダは、スライムを見た事がないと知って驚いている。

「王都育ちなのです」

近頃は、領地との行き来も多いけど、夏の離宮に招待されるまで、王都の外に出た事がなかったよ。

「あの森なら、スライムがいそうです。ついでに魔物がいたら、討伐しましょう」

領兵達は遅れてやってきたが、ローラン卿の指示で私たちの周りに配置された。

「お姉様、あそこにいるのがスライムですか?」

ヘンリーが言う方向を見ると、べらんべらんとした生き物がいた。

「可愛くないのね……どうやって魔石を取るのかしら?」

ローラン卿とベリンダとパーシバルが森の細い枝を剣で切ってくれた。

「これでスライムの魔石を取るのだ」

サミュエルは経験者だから、貰った枝をスライムに突き刺して、魔石を穿り出す。

魔石を取られたスライムは、ぐしゅしゅしゅと平たくなった。

「ナシウスとヘンリーもやってみたら良い」

ナシウスは、慎重にしすぎて、上手く魔石を穿り出せなかった。その上、べらんべらんと意外に早く逃げていく。

「まて!」追いかけていくけど、待ってはくれないよね。森の下草の中に潜って消えた。

「失敗しました」がっかりするナシウスに、サミュエルが笑いかける。

「皆、子どもの時に何回も逃げられているさ。見つけたら、ズボッと枝を刺して、魔石を思いっきり抉り取るのがコツだ!」

ナシウスとヘンリーのスライム狩りの指導は、サミュエルに任せよう。

「ペイシェンスもやってみますか?」

パーシバルと一緒にスライムを枝で突いて、魔石を取り出す。

「ペイシェンス、上手ですね!」

パーシバルに感心されたよ。これ、思いっきりが大切だね。

透明なスライムは、背景に同化しているけど、核があるから、発見しやすい。

「なるほど! 子どものお小遣い稼ぎになるのもわかるわ!」

簡単だし、楽しい、それにお金になるのだ。ただ、森にはスライムだけがいるのではない。

「ビッグボアです!」

弟達が楽しくスライム狩りをしているのに、領兵がビッグボアを見つけたみたい。

「ナシウス、ヘンリー、サミュエルはこちらにいらっしゃい」

三人を呼び寄せて、私は討伐されるまで待機しようと思っていた。

ヘンリーは、ぴょんぴょん跳ねながら私の側に来て、手のひらの魔石を見せる。

「お姉様、この魔石は私が取ったのですよ!」

「ヘンリー、偉いね!」

今日はナシウスはついていない日みたい。

スライムには逃げられるし、森の奥からビッグボアが何を思ったのか、私たちの側に来ようとしているナシウス目掛けて突進して来る。

「私の可愛い弟のスライム狩りの邪魔はさせないわ! 首チョッパー!」

ビッグボアの首がポンと飛んで行った。

「お姉様、すごい!」ヘンリーははしゃいでる。

「ペイシェンス、凄いぞ!」

サミュエルにも褒めて貰ったよ。

「子爵様、素晴らしいです!」

ローラン卿の獲物を横取りしたのかも?

「いえ、ナシウスに向かってきたから」

パーシバルが横で呆れているよ。

「まだナシウスには遠かったでしょう。でも、やはりペイシェンスの魔法の腕は確かですね」

えっ、そんなに遠かったかな?

「子爵様は、すげーな」

「あんなに遠くのビッグボアを一撃だ!」

騒いでいる領兵をローラン卿が指揮して、解体させる。

「さっさと解体して、館に運ぶのだ!」

領兵達がビッグボアを解体し始めたので、少し離れた場所でスライム狩りをする。

「おっ、ナシウス! やったな!」

枝を思いっきり突き刺すのがスライム狩りのポイントだね。

「でも、あのように魔物が現れるなら、子どもだけでは危険だわ」

冒険者なら、何とかできそうだけど、子どもには無理じゃない?

「森には子どもは来ませんよ。家の周りの水場や、木陰で見つけるのでしょう。今回は、スライムがいっぱいいそうな森に来ただけです」

「そうなのですね」と答えたのに、パーシバルに噴き出された。

「ペイシェンスは、冬の討伐でゲイツ様の影響を凄く受けたのですね。遠くの魔物を一撃で倒す。これができるのは、一流の狩人ですよ」

「パーシー様の意地悪! 私がゲイツ様に似ていると言われるのが嫌なのをご存知なのに。今夜は、ビッグボアカレーにしようかと思いましたが、芋とシチューにしようかしら?」

領兵達が『カレー』と耳をそば立てている。エバがいるから、よく似たメニューが兵舎でも出るんだ。ただし、少しだけ材料のグレードダウンがあるけどね。量はマシマシだよ。

それでも、兵舎の食事は、これまで食べた事がないほど美味しいと、ハープシャーやグレンジャーで噂になっているみたい。

領兵の濃紺の制服、かっちりしているのに動きやすい。それに、ジッパーで開け閉めできるから、着るのも早い。

ボタンも付いていて、デザイン性も良い。早く、この見た目に似合う腕前になって欲しい。

領民の女の子にモテモテだと噂があるけど、これからローラン卿達が厳しく鍛えるから、デートする暇が無いかもね。

「あのう、私は何も知らないからお聞きするのですが、騎士の制服を作らなくてはいけないのかしら?」

今は、ローラン卿、ジェラルディン卿は、バーンズ公爵家の制服に革や金属の軽量鎧を着ている。

エルビス卿は、ノースコート伯爵家の明るい青の制服だ。

「ああ、そうですね! 鎧や胸当ては、各自で好きな物を選びますが、制服、礼服は必要でしょう。それと、ペイシェンスのブーツは支給してあげた方が良いですよ」

「領兵には支給したのに、騎士を忘れていましたわ」

ジッパー付きのブーツ、皆に好評です。これまで、従者に引っ張ってもらって脱いでいたなんてね。大変だったよ。

それに、履く時も楽なんだよね。