軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

醤油を作ろう

パトロールに参加しないのなら、私は、私のするべき事をしよう。

「クラリッサ、醤油蔵に行きましょう」

パトロールは、騎士達に任せて、醤油蔵に行こうとしたら、メーガンも一緒に行きたいと言い出した。

「私は、馬にも乗れません。バーンズ公爵から美味しい調味料の話を伺っています。とても興味があるのです!」

メーガンの目がキラキラだ。

「あの昼食でいただいた、雲丹と蟹のジュレ。あれにも新しい調味料と柑橘類が使われていました。凄く美味しかったです」

クールビューティのメーガン。食いしん坊さんなのかな?

「ええ、ここに勤めるなら、味噌と醤油、そしてそれを使ったソース作りを任せるわ」

パッと笑顔になったメーガン!

「嬉しいです! 新しい調味料の製造、やってみたいと思っていました」

あら、後ろにベリンダがいるのに気づいた。あんなに艶やかな容姿なのに、気配があまりしなかったのだ。

「ベリンダ様は、パトロールに参加されても良いのですよ」

旦那様のローラン卿と一緒の方が良いのではと思ったんだ。

「いえ、私は子爵様の護衛ですから。お側にいます。それと、様付けは要りません」

ふぅ、護衛って付いた事が無いから、よくわからない。でも、メアリーは満足そうに頷いている。

「では、ベリンダ。子爵様ではなく、ペイシェンスと呼んで欲しいわ。ここの領地の人が子爵と呼ぶのは仕方ないけど、私の個人的な護衛ならペイシェンスと呼んでね」

ベリンダは少し考えて頷いた。

「ペイシェンス様とお呼びさせて頂きます」

まぁ、様付けは仕方ないよね。

醤油蔵は、味噌蔵と別にして貰っている。塩水を入れて、醤油諸味にするから、味噌樽よりも背を高くする必要があるし、それを撹拌する為の足場も作らなきゃいけなかったからだ。

入る前に全員に「綺麗になれ!」と浄化して、白の上着を着せる。

「今日は、醤油諸味を作ります。醤油麹は、昨日のうちに樽に入れてあるから、そこに塩と水を加えます」

作業工程を男の人達に説明する。この人達もシャワーを浴びさせて、白の上着を着せている。

初めて作るから、樽は小さ目だ。と言っても、凄く大きいけどね。三千リットルの醤油を作る樽が何個もあるけど、まずは三樽作る。

醤油として販売するだけじゃなく、ソースの材料にもなるからだ。醤油は一リットルぐらいで売ろうと考えている。

それだと、三千本になる? 違うんだよね。絞ったら二千本と少しだと思う。

それに、絞った後も沈澱した澱は捨てなきゃいけない。その上に火入れで、少し蒸発する。

とにかく、やってみよう!

大豆三百キロ、小麦三百キロ、塩を五百キロに水を注いで三千リットルにする。

塩は、海塩だよ! 目の前に海があるんだもん。領地に来る度に、少しずつ作っていたけど、足りないのは海水浴の時に作っておいた。

塩を秤で量るのは任せる。重たいからね。水は、バーミリオン爺ちゃんのポンプで、樽に入れるつもり。

でも、先ずは井戸で水を汲まないといけないんだ。

台所やお風呂の水は魔道具でスイッチを押すと出てくるけど、蔵はまだそこまでは作り込めていない。

外のポンプでガッシャンガッシャン、大きな水樽に水を汲んで、それをホースで醤油樽に注いでいく。

塩水が入ると、醤油諸味っぽくなった。

「この木の櫂で撹拌して下さい」

樽の周りに撹拌する足場は作ってあるけど、落ちないでね!

「この撹拌を毎日しなくてはいけません」

誰を雇ったのかな? と顔を見回していたら、一人の若者が手を挙げた。

「貴方の名前は?」

メーガンが尋ねてくれた。モンテス氏に聞き忘れていたね。

「ジョスです。モンテス様に下働きに雇われました」

そうか、醤油樽の撹拌だけじゃ無いんだね。

「では、ジョスに撹拌は任せます」

三ヶ月、毎日、撹拌しなくちゃいけないなんて、醤油作りは大変だね。

味噌は仕込んだら、勝手に熟成してくれる。こちらの方が作りやすいけど、ソースには醤油も必要なんだ。

午前中いっぱい、醤油蔵で過ごした。

昼からも撹拌作業は続くけど、ジョスに任せよう。

丁度、昼食時間なのでパトロールしていたパーシバルと騎士達、そしてモンテス氏とアランと後から合流したライトマン教授や助手達がハープシャー館に戻ってきた。

「ご一緒に昼食を」と誘ったが、騎士達やモンテス氏や助手達は兵舎で食べると遠慮した。

ライトマン教授は、エバの料理に気持ちがぐらついたみたい。

「今日はやめておきます。昼からも視察したいですから」

嵐が来る前に水門の調整もしたいそうだ。

パーシバルは、一緒に食べるよ。でも、昼からもパトロールに参加するんだって。ずっと別々なのは寂しいけど、仕方ないね。

お昼は、エバに簡単に食べられるようにとミッチャム夫人が伝えていたから、海の幸カレーとサラダだ。

「やはり、エバの料理は美味しいです!」

パーシバルは、カレーが好物になったみたい。グレンジャー館にも料理人はいるし、あちらで食べた時も美味しかったけど、エバほどでは無いのかも。

やはり、交代しながら修業してもらおう。ああ、ゲイツ家の調理人が多いのだ。

「領地の料理人を育てないといけませんわ」

特に、リンネル教授には米作りの調査を依頼している。夏休み中には終わらないのは確定だ。

教授は、授業が始まったら王都に戻るけど、学生は残るのかも?

これは、聞いておかなきゃいけないね。何人の使用人をグレンジャー館に配置しないといけないか、わからないと困るから。

こう言った細々とした事は、ミッチャム夫人とリラに任せよう。これも、言っておかなきゃいけないね。

パーシバルは、パトロールと一緒に出かけたので、昼からはミッチャム夫人とリラにグレンジャー館の使用人について考えてもらう。

パトロールしていた領兵達が、バラバラと戻ってきては、荷馬車に木材を積んで出ていく。

気になって、それを監督しているアランに声を掛けた。

「ハープシャーやグレンジャーにはガラスが入った窓があります。雨戸を閉めた上から、板で補強させます」

ふぅ、ハープシャー館とグレンジャー館もバタバタと鎧戸を閉めている。嵐が来るのだ!

前世では、台風が来たりしたけど、雨戸を閉め、植木鉢を中に入れる程度だった。

「あっ、鶏や牛は?」

馬房は立派なのをラドリー様が建ててくれたけど、鶏小屋や牛舎は、急いで用意した物だ。

「鶏は、雨が降り始めたら、洗濯場を仕切って、そこに入れます。牛は、馬房に避難させます」

私が心配しなくても、モンテス氏が手配済みだ。この点は、紹介してくれたゲイツ様に感謝しよう。