軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

面接!

先ずは一番年長のローラン卿に志望動機を訊く。

「バーンズ公爵領は、北部にあります。実は寒いのが苦手でして……」

えっ、驚くよ! そんな柔な人に見えない。ジェラルディン卿がプッと噴き出している。

「寒いのが苦手なのは確かですが、私は馬に目がないのです! 子爵様は八本脚のスレイプニル、 馬の王(メアラス) の主と聞いて、一目でも見られたらと思ったのです」

えええ、デーン王国人に似ているのはジェラルディン卿なのに、馬馬鹿なのはローラン卿なの?

「それと、新しく領地を開発するのは面白そうだと思ったのです」

ふぅ、やっと普通の志望動機だね。

「子爵様、ローランは私がこちらに来たいと言ったから、付いて来てくれたのです。実は、冬の魔物討伐に参加していて、子爵様の勇姿に惚れ込んだのは私なのです」

勇姿? 私が? 驚いちゃうよ。

「まぁ、それもありますね! 私は、人生で馬、ベリンダ、剣を大切にしています」

奥様が二番目で良いのだろうか? ベリンダは、横で笑っているから良いのかも?

「ジェラルディン卿は、どうしてハープシャー領に?」

ローラン卿がベリンダに付いて来たのか、本当に 馬の王(メアラス) 目当てなのかは分からないけど、一応は志望動機を聞いたからね。

「私は、ローラン卿のお目付け役ですね。何故か、いつも組まされていて、彼がハープシャー領に行くと聞いた時、行くしかないと感じたのです」

それ、意味が分からない。パーシバルも首を傾げている。

「ジェラルディン卿、それはハープシャー領に来たかったからではなく、ローラン卿と離れたくなかったから、ここに来たと言う意味に聞こえますが?」

パーシバルが、私の代わりに質問してくれた。

「ああ、そうとられても仕方ないですね。ローラン卿と常にバディを組んでいたので、片方がいないのが不自然に感じたのです。ただ、新しく領地を拝領された子爵様に真面目にお仕えする気持ちに嘘はありません」

少し癖のあるジェラルディン卿だけど、ローラン卿と良いコンビなのだろう。

「騎士としての技術テストを受ける心づもりはあります」

見た目が細いジェラルディン卿は、実力不足に思われる事が多いのかも。

「ジェラルディン卿が優れた騎士なのは、私が知っています。騎士クラブの後輩のエルビス・ラメインです」

ジェラルディン卿が、エルビス卿を見て「ああっ」って顔になった。

「ユージーヌ卿と同級生のエルビス卿か。子爵様にお仕えしているのか?」

エルビス卿は「はい!」と元気よく答える。かなり、ジェラルディン卿を尊敬しているようだ。

「技術テストなど必要ありませんわ。バーンズ公爵が推薦して下さったのですから」

これは本音だよ。それに、変わった志望動機もあったけど、私を軽んじる気持ちは感じなかった。

「未熟な私に仕えて下さる気持ちが嬉しいです」

ベリンダが「未熟だなんて!」と抗議して、何故か夫のローラン卿ではなく、ジェラルディン卿に目で叱られていた。

「去年の冬の討伐の時に、ベリンダ様は参加されていたと言われましたが、バーンズ公爵領もトレントがいっぱい来て大変だったのでは?」

パーシバルが質問する。それ、私も不思議に思っていたのだ。

「あの時は、まだローランと結婚していませんでしたから。王都で冒険者ギルドに入って活動していました。私の故郷は、バーンズ公爵領なので、領地に帰られる時は、公爵夫人の護衛を時々勤めていたのです。その時に、ローランと知り合って結婚しました」

なるほどね! それにしても、知り合って、結婚まで早くない? 新婚じゃない!

「ローラン卿の一目惚れ、即プロポーズして、結婚しました。今回も、即決でハープシャー領に行くと決めたのです」

やれやれって感じで、ジェラルディン卿は苦笑している。

「ジェラルディン卿は、私の従兄のサリエス卿と仲が良いと、エルビス卿から聞きましたが……」

ハッとした顔になるジェラルディン卿。

「子爵様は、サリエス卿の従妹なのですか! それは、縁が切れたと思った方と、また縁ができたのかもしれませんね」

ジェラルディン卿は、男性が好きな方なのかしら?

「ジェラルディン卿! そんな言い方をしたら、誤解されるぞ!」

ローラン卿の言葉に「何を誤解されるのか?」とジェラルディン卿が首を傾げている。怜悧な印象を受けるジェラルディン卿だけど、意外と天然さんなのかも。

「騎士の方々、そしてベリンダ様は、少しの仮採用期間を設けたいと思います。その間は、グレンジャー館に逗留してください」

大きな公爵領と違い寂れたハープシャー領にだからね。これは、モンテス氏、パーシバルに予め教えて貰っていた。エルビス卿は、隣だからよく事情は知っているから、仮は無しだったけどね。

さて、これからは管理人助手の二人だ。モンテス氏も真剣な顔になる。

「私は、バーンズ公爵領で生まれ、王立学園を卒業したら、バーンズ商会で働くものだと考えていました。そして、働いていたのですが、何か違うと感じるようになったのです」

あっ、それは前世でもよくあったよ。前から、この職業に就くと目標を持って勉強して、働きだしたら、考えていたのと違うと思うパターンだよね。

「私も同じです。公爵様は、王都のバーンズ商会で働けば良いのではと仰って下さったのですが、それとも違う感じがしていた時に、このお話を聞いて、ピンときました」

また勘違いじゃないと良いけど、やってみないと分からないよね。

「お二人とも、仮採用にしますわ。グレンジャー館に逗留しながら、モンテス氏の指示に従って下さい」

ここも違うと思うかもしれないけど、試してみよう!

「お茶もお勧めしないで、申し訳ありませんわ」

銀の鈴を鳴らしたら、ハーパーがお茶を運んできた。