軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

さて、バシバシいきますよ!

ナシウスがいなくなったけど、ヘンリーは一緒だし、ゲイツ様が来られるまで自由時間を有意義に使いたい。

次の日から、午前中はヘンリー達と一緒に勉強。昼からは領地の仕事! パーシバルと一緒に頑張ろう! そう、パーシバルとのデートも忘れていないよ。

朝はオルゴール体操で始め、朝食後はモンテス氏と話し合ってから、勉強会だ。

「今日は、グレンジャー館に海洋生物学科のベッカム教授と植物学科のリンネル教授が到着されます。ベッカム教授には、海老や魚の養殖の可能性について調査して頂く約束です。それに、リンネル教授には稲作のフィールドワークと共に海風に強い植物を調査して貰う予定です」

それは、前からモンテス氏にも説明していた。

「ええ、今日は着いたばかりでお疲れでしょう。明日、子爵様と教授達との面会する手筈をつけておきます」

今日の午後からは、騎士クラブの二人は、領兵とのパトロール。そして、魔法クラブの二人は、私と一緒にライトマン教授と助手達と水路の整備だ。

少し遅れて、勉強部屋に向かった。

「君達、初等科の数学からやり直したまえ!」

おお、パーシバルの珍しく荒い声だ。その前には、ジェニーとリンダ。ノートを見て、雷が落ちたのも仕方ないかなと思っちゃった。

「お二人とも、分数がちゃんと理解できていませんね。そうだわ、ヘンリー! あのおもちゃをお貸ししてあげて」

ルーシーとアイラは、カミュ先生とクラリッサが数学を教えていたけど、そちらからも声が掛かる。

「こちらの二人も分数がいい加減ですわ」

「一緒に分数から勉強しなおした方が良いと思います」

あちゃ! それって大問題だよ。中等科の数学も、前世の数Ⅰ程度だけど、分数がちゃんと理解できていないと関数も無理じゃないかな。

騎士って、兵站の管理や、自分の部隊の位置などを確認しないといけないから、三角関数も必要だと思う。

ヘンリーも一緒に、分数のお勉強だ。

「ええっと、これと、これとで三分の二ですね!」

子どもの遊びだと馬鹿にしていたけど、皆でやっていたら、分数に対しての苦手意識が無くなったみたい。

「ペイシェンス、これは良いですね!」

パーシバルも雷を落としたけど、どう勉強させるか困っていたようだ。

「パーシー様は、分数はすぐに理解できたのですね」

「ええ、だから分からないと言われても説明するだけで……ペイシェンスは、やはり教師に向いています」

まだまだ先は長いけど、分数を理解できたのは良かったよ。

「ルーシー様、アイラ様は、昼からは私と一緒にライトマン教授と水路の整備を手伝って頂きます」

二人は、勉強以外なら大歓迎みたいだ。

「ジェニーとリンダは、昼からは領兵と共にパトロールだ。私も同行するが、途中で魔物を討伐するかもしれない。用意しておくように」

二人も、パトロールの方が勉強よりは嬉しそうだ。

「皆様、明日もバシバシ指導致しますよ。ゲイツ様やサリエス卿やユージーヌ卿が来られるまでに、勉強は終えておきたいですから」

四人から悲鳴が上がったけど、そのくらい言わないとね。

お昼は、ゆっくりと食べる。エバに新しい料理のレシピと平たい鍋を作って渡したんだ。

「これは、新作のパエリアです」

平たい鍋ごと、ハーパーが食堂に運んできて、其々の皿に取り分けていく。

「こんな料理は初めて見たよ」

父親が驚いている。今は、短粒種の米より、長粒種の米の方が手に入りやすいから、思いついたんだ。

「この黄色い色は、サフランで付けていますの」

後は、オリーブオイルと魚介類とパプリカ! エバにレシピを渡したけど、上手くできている。

「お姉様、美味しいです!」

ヘンリーがお代わりしている。

「これなら、何杯でも食べられそうだ」

父親も気に入ったみたい。米をもっと活用したいな。

「ペイシェンス? こんな料理を何処で知ったのですか?」

パーシバルが首を傾げている。

「これは、庭のサフランを見て、考えついたのです。美味しくできて、嬉しいですわ」

もしかしたら、何処かでパエリアに似た料理はあるかもね。でも、本で知ったと言うのも限界がある。

昼食後、魔法クラブ組と騎士クラブ組は二手に別れる。パーシバルと別行動は、少し寂しいけど、ライトマン教授と助手達が来ているからね。

モンテス氏と一緒に、今日の作業場所の確認をして、移動する。

「あのう、ペイシェンス様。私は土や水の魔法は使えないのですが……」

アイラが困惑している。

「ええ、私も生活魔法しか使えませんわ」

ルーシーとアイラが驚いている。

「嘘でしょう! だって、魔物の討伐の時に首チョッパーされていましたわ」

「そうです! あれは……あれって風魔法ですかね? えっ、金属魔法ってありましたっけ?」

二人が首を捻っている。

「私は教会の能力判定で、生活魔法しか賜っていないとされましたわ。ところで、生活魔法は何魔法なのでしょう?」

ルーシーが「生活魔法は、生活魔法ですわ!」と決めつける。

「そうですわ! 魔法学で、そう習いました」

「ふふふ、では、ゲイツ様が来られるまでに、生活魔法について考え、それを身につけて頂きます」

そこから、ルーシーは土魔法を使って助手と一緒に水路の整備を手伝って貰い、アイラには生活魔法を覚えて貰うことにした。

「先ず、そこの土を耕してみましょう」

水路は、正確に造らなきゃいけないから、多少の失敗も大丈夫な休耕畑を耕さす。

「だから、私は土の魔法は使えないのです」

「私も土の魔法は使っていないわ。よく見ていて!」

アイラの目の前で「土を耕せ!」と一応は詠唱してやる。

ズズズズズン! と土が一列耕された。

「さぁ、アイラ様! やってみましょう」

戸惑うアイラを後ろから抱き留めて、一緒に生活魔法の練習をする。

「えええ、これって! 私がやっているんじゃないですわ!」

「ええ、初めは一緒にして、そのうちに自分だけでできるようになりますわ」

少なくともナシウスとヘンリーは、この方法で生活魔法を覚えたのだ。アイラは、魔法クラブに入るだけあって、才能はある。

「ううん、こんな感じかしら?」

自信無さげだけど、少しだけ畑を耕せた。

「そう! その調子ですわ! アイラ様は、やはり魔法の才能豊かね!」

褒めて、自信を持たせるのが私の遣り方だよ。

「ふふふ、生活魔法ぐらい使えるようになりますわ!」

おお、頑張って欲しい。

「ペイシェンス様! アイラだけ狡いです。私も生活魔法を習いたいですわ」

助手達と水路を整えていたルーシーが、アイラが生活魔法を少し覚えたのを見て、文句を言ってきた。

「ええ、勿論! バシバシいきますわよ!」

二人に何とか生活魔法の『生』の字ぐらいまで教えて、今日はお終い。

「あのう、私達も教えて頂けませんか?」

えっ、助手だけじゃなく、ライトマン教授も?

「ええ、勿論! その方が、色々と便利ですもの」

はぁ、早くゲイツ様に来て頂かないと! 魔法を教えるのは大変だよ。いや、来られる前にするべき事も多いんだよね。