軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

マッドクラブは、やはり美味しい!

マッドクラブ一匹、グレンジャー海老二十匹、鮑と雲丹をいっぱい! それと、漁師から魚も数匹買って、ハープシャーに戻る。

「これらをエバに渡してね」

父親以外は、海風にあたったので、お風呂に入る。

「お嬢様、ミッチャム夫人が夜のメニューの確認に来られました」

着いた日も魚介類がたっぷりのメニューだったけど、今夜はマッドクラブがあるからね。それにグレンジャー海老もある。

「このグレンジャー海老のテルミドールは、頂いたレシピで宜しいのでしょうか? それと、肉料理はお出ししなくても良いのか、エバが尋ねて欲しいと言っていました」

前世の伊勢海老のテルミドール、大好きだったんだ。

「ええ、今夜は肉料理はないけど、テルミドールはコクがあるから大丈夫だと思うわ」

それに、マッドクラブは、新鮮だから焼いただけでも美味しい。これは、エバに任せる。

「ミッチャム夫人も、エバが料理する新鮮なマッドクラブを食べてね」

その後は、これから来る客の事を話し合う。

「明日には、グレンジャー館にライトマン教授と助手の学生四人が到着されます。明後日は、歴史研究クラブの六人。その次の日に、リンネル教授と学生三人、ベッカム教授と学生二人が到着されます」

この全員をハープシャーに泊めるのは無理だった。グレンジャーと分けて、正解なのだけど……ナシウスと一週間離れるのが辛い。

「ラドリー様はゲイツ様と一緒にいらっしゃるのですか?」

あの二人、仲が良いのか、悪いのか、よくわからない。

「ええ、初めはラドリー様はもっと早く来られる予定でしたが、ゲイツ様に引き留められたみたいですね」

もしかしたら、王宮や王都の建物の防衛強化かな? それなら、ハープシャーに来るどころじゃないかも? ラドリー氏には、館の防衛力について質問したかったから、来て欲しいのだけどね。

私は、少し実験をしてみる気になった。

「パーシー様にも相談しよう」

まだ夕食用のドレスには着替えていない。だから、良いんじゃないかな? と私は判断して、メアリーにパーシバルを庭に呼んでもらう。

「ペイシェンス! メアリーが至急、庭に来て下さいと言ったけど?」

何で呼ばれたのか、パーシバルはわからなかったみたい。

「気持ちの良い夕暮れだから、散歩をしたくなったのです」

夏の夕暮れと呼ぶには、まだ明るい。

「何か企んでいますね」

えっ、バレている。

「ラドリー様は夏休みになったらすぐにいらっしゃると思っていたのに、ゲイツ様と一緒に来られるのです」

パーシバルがクスッと笑う。

「きっとゲイツ様がラドリー様だけ美味しい物を先に食べるのが嫌で引き留めたのでしょう」

「ええ、多分ね。でも、もしかしたら王宮の建物の防衛強化かしらと思ったのです」

パーシバルも、何故私が夕食前に呼び出したのか察した。

「今なら、皆は夕食の服に着替えようとしているから、庭には出てきませんね」

表側は、壊れたら嫌だから、裏側に周る。

「カエサル様は、ラドリー様なら防衛面も考えて改修されている筈だと言われたけど、やはり試してみないとね」

「ドラゴン・ブレスみたいのは駄目ですよ」

パーシバル、私を何だとおもっているのかな? そんな魔法は使えないよ。

「小さな火の玉で試してみます」

パーシバルに慌てて止められた。

「火は拙いです。水とか風が良いのでは?」

「そうですわね! 私は、守護マントの時も、耐久テストは任せっきりでしたから」

最初は、緩い水攻撃にしよう!

「ウォーターボール!」

小さな水の塊は、壁に当たって消えた。

「この程度は大丈夫ですね」

「普通の雨でも、大丈夫にはできているでしょう」

少し弱すぎたから、もっと大きな水の塊にしよう。

「ウォーターボール!」

嵐なら、このくらいかな?

「ペイシェンス! 少し大き過ぎるのでは?」

パーシバルが心配そうに声を掛けた。

「そうかしら? でも、ダメージを受けても困るから、ラドリー様が来られてからにしますわ」

改修したばかりの白い壁を汚すのも嫌なので、テストは後にする。

「最初から、ラドリー様が来られるのを待てば良かったのね」

パーシバルも笑っている。

「でも、ペイシェンスは気になったらやってみたいのですね」

そう、それにバリアは、ちょっと考えている事があるんだよね。これは、パーシバルにも教えないよ!

「お嬢様、そろそろお着替えにならないと」

「そうね! 今夜は、グレンジャー海老のテルミドールとマッドクラブですもの」

「やはり海がある領地は良いですね」

今夜の食事は、皆に好評だった。エバの料理は、常に好評なんだけどね。

「この海老のテルミドールとやらは、美味しいな」

父親も珍しくコメントしている。それに、これは前世で結婚式の定番みたいな料理だった。つまり見栄えも良い。

「これなら冷凍でもできそうです。秋の教授会でお出ししても良さそうですね」

ただ海老が虫に似ていると嫌うご婦人もいるかも?

「皆様は、見た目は大丈夫でしたか?」

ここのメンバーは、何を聞かれているのか意味不明みたい。唯一、カミュ先生が微笑んでいる。

「教授会にお出しする時は、ヒゲと脚は取り除いておいた方が良いかもしれませんね」

ルーシーやアイラは、その脚も分解して食べようとしているけどね。

今夜のメインは、マッドクラブだ。焼いただけでも、茹でただけでも美味しいけど、エバは雲丹をプラスしてきた。

蟹を焼いて、身にしたのを綺麗に四角に並べた上に、雲丹を置いて、少し焼いてある。

「贅沢な料理ですね!」

パーシバルは、一口食べて唸っている。

「ええ、でも材料は海でとったものですから」

ナシウスや女学生達は、黙って完食だよ。

「これをゲイツ様に出したら、大騒ぎされるでしょうね」

食べ終わったナシウスがポツンと一言呟いた。

今のうちの平和を味わっておこう。