軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

教授会で役に立つ情報をゲットしたいな

春学期の終わりという微妙な時期に教授会なの? 私は不思議に思うけど、今回は伯母様方も領地に帰る準備で慌ただしいから、少人数にしたそうだ。

つまり、私がホステス役なのだけど「一度招待した教授や顔見知りの教授が多いから良いだろう」なんて、父親は言っていたけど、まだ招待していない教授が残っているのに大丈夫なのかな?

うちの父親は、陛下も認める非常識人間だからね。依怙贔屓しているとか教授達に不満を持たれて、クビとか嫌だよ。ワイヤットに、コソッと相談する。

「学長だからと教授会を屋敷で開かなくてもよろしいのです。この前みたいに大学の食事会で十分だと考える学長もおられました。屋敷の教授会に誰を招待するかは、学長が決めます。お気に入りの教授ばかり呼んでも問題はありません」

ふうむ、そんな感じなのかな? ついでに誰を招待しているのかリストを見せて貰う。

「えっ、この教授達は!」

私が指導教授になって貰いたいザッカーマン教授。それに、稲作や他にも役に立つ植物について相談したいリンネル教授。

それに、領地のライナ川の浚渫工事をしてくれたライトマン教授! この方には引き続き、夏休みに学生に治水工事を頼んでいるんだ。

「このサーシャ・ベッカム教授は……海洋生物学科なのね!」

これって、私の領地に関係する教授ばかりなのだけど、良いのかな? と戸惑いながらも喜んじゃう。

「ワイヤット、この教授達を招待する理由をお父様は何か言っておられなかったかしら?」

ワイヤットは、にっこりと笑って「子爵様がお決めになった事ですから」と答えを逃げた。

ふぅん、これは父親に直接訊かないと駄目だね。それと、本当に領地に役に立つ教授ばかり招待しても良いのか、ちゃんと話し合わなきゃいけない。前世なら、私的に利益がある教授を優遇するとか問題になったと思う。

父親が帰って来るのは、夕方なので、それまで弟達と温室でメロン狩りをしよう!

「お姉様! こちらのメロンはもう食べられるのでは?」

スイカと違ってメロンは叩いた音では熟しているかわからない。

「リンネル教授に手紙で質問したら、果実表面が黄色味を帯び、ヘタ周辺の表皮にヒビが目立ってくると熟してきたサインだと教えて下さったわ」

ナシウスとヘンリーが一生懸命に色を比べている。

「こちらの方が黄色っぽい!」

「いや、それはまだ緑が強いし、ヘタがしっかりしているよ」

真剣にメロンを比べている弟達を見ているだけで可愛くて、にこにこしちゃう。でも、数日後には領地に行くから、実の殆どは収穫したい。

「メロンよ、美味しくなあれ!」

魔法で後押ししたよ。教授会にもナシウスの誕生会にも使いたいからね。

それと、パーシバルと相談してからだけど、モラン伯爵夫人にお礼を言いに行く時に、何個か持って行きたい。

伯爵夫妻は、今年は領地に行く暇もないほど忙しいみたいだから、そのお見舞いだよ。

熟していそうなメロンを弟達と収穫した。

「良い香りです!」

ヘンリーがメロンの匂いにうっとりしている。うん、今夜のデザートに使って貰おう。

それと、親戚にも早く配らなきゃ! 領地に行っちゃうからね!

次は、スイカ狩りだ!

温室から屋敷に戻ると、マシューがナシウスに手紙を何通か渡していた。友だちや歴史研究クラブのメンバーからかな? 何かナシウスの様子がおかしいけど?

「お姉様、歴史研究クラブのフランシス・マックギャバン様から手紙が来たのですが……」

その方は知らないけど、同じ名字の人は知っているよ! ユーリ・マックギャバン、去年の夏休みにヴォルフガング教授の助手としてついて来ていたからね。

私は、何となく察した。ユーリ様が歴史研究クラブに属している弟から、グレンジャー館で合宿をすると聞いたのだ。

言い出し難そうなナシウス。お姉ちゃん、ヴォルフガング教授は苦手だけど、こんなナシウスを放置はできない。

「ロマノ大学の歴史学の合宿を頼まれたのではないかしら?」

ナシウスの灰色の目が揺らぐ。本当に、こんな子どもに何を頼むのだろう! 直接、私に頼むのが本筋だよ! ヴォルフガング教授に腹が立つ。

「お父様と相談して決めますわ。ナシウスは、そう私が言っていたとフランシス様に返事をすれば良いわ」

これは、父親と話し合わなくてはいけない。

私の出した手紙の返事が来たから、スケジュール帳に書き込んでいく。

明日は、朝からパーシバルが 馬の王(メアラス) の運動に来てくれる。普段は、サンダーや警備の人が運動させてくれているけど、やはりパーシバルや乗馬の上手な人の方が良いみたい。

この時に、パーシバルとモラン伯爵夫人をいつ訪問すれば良いか相談しよう。その為にも、私のスケジュールを手帳に付けて確認しなきゃ。

午前中に、エリザベスとアビゲイルにドレスを渡して、その後はハンナ達の仮縫いだ。

この日が、ロマノ大学の終業日みたいだから、少し遅い昼に教授会。

ライトマン教授は、前から夏休みは学生達に水路の整備をさせると言って下さっていたが、ラドリー様が滞在すると聞いて、本人も来たいと手紙が届いた。

これは、大歓迎! ハープシャーの寂れた商店街、もう少し整備したいし、今ある宿屋も要改築なんだ。

それに、教会の屋根は雨漏りしないように修繕済みだけど、他にも修繕しなきゃいけなさそう。

リンネル教授も、学生のフィールドワークで、水田での稲作をさせたいと好反応だ。

まだ甜菜は、見つかっていないけど、麦芽糖の作り方を教えたら、是非、色々な穀物で作れるか実験してみたいとも言われている。

ザッカーマン教授には、領地の寂れた商店をどうしたら良いのか、古着の販売、それに教育について相談したい。

海洋生物学のベッカム教授には、養殖の可能性と問題について相談したいし、王都に運んで利益が出る魚介類についても教えて欲しい。

父親が帰ってきたけど、夕食の前に私は着替えなくてはいけないから、すぐには話し合えなかった。

夕食後、父親の書斎にナシウスの後で呼び出された。ナシウスは、とても良い成績だったし、学年末の飛び級について話し合ったみたい。

「ペイシェンス、春学期も優秀な成績で、素晴らしい。秋学期が終わったら卒業だが、ロマノ大学の入試や面接もあるから、社交界デビューもあるけど、気を引き締めるように」

「わかりました」とこの件は終了だ。私は、ナシウスに届いた手紙について相談する。

父親も、助手の弟から絡め手でやってきたのかと苦笑した。少しコホンと咳払いして、ヴォルフガング教授関係について話し始めた。

「えっ! ゲイツ様がヴォルフガング教授に口止めしたのですか?」

「お前の特殊な生活魔法は、ゲイツ様も認めておられるし、陛下が直接、ヴォルフガング教授に古文書を修復して、複写した件は口にしてはいけないと禁じられたのだ」

ふうん、それは少し安心したよ。あれは、今から思うと迂闊だったと反省しているんだ。聖皇国に目をつけられたくないからね。

「彼は、同じ調査隊を命じられたグース教授は、飛行艇の製造をしているのに、自分達は古文書も取り上げられ、調査も不十分のままだと私に噛みついて、煩いのだ」

やはり、ロマノ大学の食事会で、父親を疲れさせたのは、ヴォルフガング教授だったみたいだね。

「なら、夏休みに遺跡の調査をしたら……ああ、泊まる場所が無いのですね」

前は、国の遺跡調査団だったから、ノースコート伯爵館に宿泊できた。今回は、上級貴族が次々と宿泊するから、無理だろう。

「ノースコートの新ホテルどころか、港の宿も満室だそうだよ。私は、それなら諦めるしか無いと言ったのだが、不満そうに騒いでいた」

うっ、嫌な予感がする。NOと言える女にならなきゃね。

「お父様、グレンジャー館を考えておられるなら困りますわ! それに、ヴォルフガング教授は、助手のユーリ様の弟、フランシス・マックギャバン様からナシウスに手紙を書かせているのです」

父親もヴォルフガング教授の強引な遣り方に眉を顰める。

「フランシス君は、歴史研究クラブの先輩なのか……」

王立学園のクラブメンバーは、卒業しても縁が切れない。助手のユーリも歴史研究クラブのOBなのだろう。

「うっ、もしかしてヴォルフガング教授も歴史研究クラブのOBなのかしら?」

「そんな昔のOBの面倒まで押し付けられたら困る! よし、ヴォルフガング教授には、私が断りの手紙を書こう」

おお、それは嬉しいけど、ユーリはどうなるのかな?

「学生や助手は、できたら手助けしてやりたいのだが……」

さっきの断りの手紙を書く! と言った勢いがない。父親もナシウスを利用しようとしたのに腹を立てたのだろうが、基本的に学生が夏休みに遺跡調査をするのに協力したいのが本音なのだろう。

「歴史研究クラブの合宿に、ユーリ様が参加するぐらいなら良いですわ。ただし、一週間だけですからね!」

長引いたら、遺跡愛の強いフィリップスも居残りそう。つまり、ナシウスと一緒にハープシャーで夏休みを過ごせなくなるのは嫌だからね!