軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

錬金術クラブの新メンバー

パーシバルは午後は学生会に行くと言うのに、錬金術クラブまで送ってくれた。

「ペイシェンス! 来てくれたんだな!」

あれ? カエサル部長とアーサーがホッとしている。

「実は、今日の放課後にエドの妹のクラリッサが来ると聞いて、ペイシェンスがいてくれた方が良いなと思っていたのだ」

「女子がいないと不安かもしれないからな」

えっ、今まで私は紅一点だったけど?

「ペイシェンスは……まぁな!」

カエサル部長、なんか酷い言い方だよ。

「そんな事より体験コーナー、このファイルに変えようかと思っているのだが……」

話題を変えたね! アーサーは、初耳だったみたい。

「魔導灯ではなかったのか? あれは女学生受けも良さそうだと思っていたのだが?」

カエサル部長がファイルを出して、アーサーはすぐに気づいた。

「これはエクセルシウス・ファブリカ案件じゃないか? 良いのか?」

「体験コーナーでは、色を変える所から始めるつもりだ。だから、何が成分かとかは分からないから、良いのだ!」

まぁ、これはかなり商品として出回っているから良いんじゃないのかな?

「なら、良いのだが……」

色とりどりのファイルを見本で作る。

「ううん、もっと可愛くできないかしら?」

女学生らしい色、男子学生らしい色、そうなると偏ってしまうんだよね。

「自分のファイルらしさを強調するのは良いかもしれない」

「シールとか貼るのは駄目でしょうか?」

シールはこの世界にもある。紙の値札もある意味でシールだし、お菓子の缶の上に貼ってある紙もシールの一種だよね。

「シールって安っぽくならないか? まぁ、実用的なのもあるが……」

アーサーは、ファイルの内容とかがわかる背表紙っぽいのを考えたみたい。

「今回は、学生が自分用のファイルを作るのだから、使って楽しくなるようなシールにしたいわ」

カエサル部長もアーサーも首を傾げている。この世界のノートとか本当にデザイン性無いもんね。

「こう言った花柄のシールや、剣とか槍とか……校章も良いかも?」

校章は、二人とも賛成してくれた。

「これは良いな! 王立学園らしくて!」

「そうだな!」

つまり、花や剣などは駄目って事?

「校章の図案を描いて、それを印刷すれば良い。後は、それを糊で貼るだけだ」

白黒の校章? あまりそそらないなぁ。

「せめてカラーにしたいな」

二人がカラーは高いと文句をつける。

「白黒印刷にして、カラーは自分で塗るとかが良いだろう」

「でも、せっかくファイルは、紙じゃないのに……」

シール、紙じゃなくても良いよね? キラキラのホログラムのとか……どうなっていたのか分からないよ。

でも、ナイロンシールっぽいのは作れるんじゃないかな?

ポスターを書いて、貼ってきて貰う間に、あれこれ試行錯誤する。

絵の具があるから色は付けやすい。カエサル部長やアーサーのおすすめの校章、これは金と黒かな? 金の地に黒の紋章でいいと思う。

「なかなかゴージャス! でもゴージャス過ぎるかも?」

大きさも、一面になる大きさから、ちょこっと角に貼る程度の小さな物。

「私なら、これより花柄かな?」

花はピンク、白、赤、黄色。そして、ハートマーク!

「男の子用って星? 剣? 盾? 馬? ドラゴンとか?」

絵の具を弾かないナイロンっぽいシートに絵を書いて、それをコーティングしていく。

「おい、おい、何をしているんだ?」

四時間目になり、ベンジャミンやブライスがやってきた。

「今度の体験コーナーはファイルになったの」

ベンジャミンもすぐにエクセルシウス・ファブリカ案件じゃないかって顔をする。

「材料は予め混ぜておいて、色を変えるだけなのよ。でも、それでは個性が出ないから、シールを貼れば良いかなと思ったの」

「ファイルは、文房具だろう? 個性が必要なのか?」

「ベンジャミン様は、わかってないわね! 文房具が可愛いと、勉強するのも楽しいと思うわ」

少なくとも前世では色々なデザインの文房具があったよ。

「ふむ、自分だけのファイルかぁ! なら、私は自分の家の紋章を付けたいな」

「それだ! それなら私も欲しいな!」

「でも、それは各自に対応できませんわ。カエサル部長達は校章はどうかと言われていたけど?」

私が書いた金地に黒の校章を見て、ううむと唸る。

「何だか金ピカだな」

ベンジャミン、酷いよ! 獅子丸め!

「各自、好きなのを書かせれば良いのでは? それをしない学生は、そのままのファイルか、用意したシールだ」

ブライスがまとめた所に、カエサル部長とアーサーが戻ってきた。

「遅かったですね」

ベンジャミンの言葉に、アーサーが溜息をつく。

「何かあったのですか?」

普段は穏やかなアーサーが苦い顔だ。

「私とカエサル部長で体験コーナーのポスターとファイルを展示していたら、魔法クラブのアホどもがいちゃもんをつけてきたのだ」

全員が「あああ〜!」と溜息をついた。

「学生会長のパーシバルが諌めてくれたが、あの調子だとファイルを持ち去られてしまうかもしれない。だから一応は鎖で繋いだりしていたのさ」

鎖なんか持っていたっけ?

「ポケットにあった鉄の塊で鎖をその場で作ったのさ」

カエサル部長、ポケットに鉄の塊なんか普通は入っていませんよ! 全員が少し引いちゃった。

「カエサル様は、何故、そんな物を?」

ベンジャミンは、勇気があるね! そんな質問できないよ。

「えっ、誤解するな! いつも持ち歩いているわけではない。ペイシェンスがクラブハウスに来る前に、鉄の塊で錬金しようと思ったのを偶々ポケットに入れていただけだ」

そうかな? 普通はポケットに入れたりしないよね?

「次の部長は、大馬鹿のアンドリューだし、魔法クラブは困ったものだ!」

ベンジャミンとブライスは眉を顰めている。

「この前の討伐で女学生とは仲良くなれたのだけど、男子学生はアンドリュー様の言いなりだわ」

アンドリューは、問題行動が多いね。

「ペイシェンス! 魔法クラブに入部して、新部長に立候補しないか?」

ベンジャミンの意見に、全員が驚く。

「嫌です!」即、断ったけどね。

「そう言うお前が新部長に立候補しろよ!」

ブライスも怒っている。

「だって、私は錬金術クラブの新部長に立候補するつもりだから駄目だ」

確かに、そうなんだよね。私は、領地の件もあるから、錬金術クラブもこれまでみたいには参加できそうにない。

「ブライス、お前は?」

ブライスも即「嫌だ!」と断る。

「それに、私だとアンドリューに投票で負けそうだ。前に魔法クラブにいたけど、騎士クラブとのごたごたで退部したからな。確かにペイシェンスなら、実力で捩じ伏せられるだろう」

いやいや、それは無いよ!

「絶対に、お断りです!」

ハッキリ断らないと駄目なのは、分かってきたからね。

放課後になって、エドが妹のクラリッサを連れて来た。ナシウスも一緒だよ!

「わぁ、本当に似ているな!」

クラリッサは、金髪を伸ばした美少女だった。エドは、やっと髪の毛を切って、男の子らしく……いや、やはり可愛いままだけど、髪型は男の子らしくなっている。

「クラリッサ・バリーです。入部したいです」

カエサル部長は、大歓迎だ!

「嬉しいよ! 私は部長のカエサルだ」

そして、ナシウスもね!

「ナシウス・グレンジャーです。入部したいです」

ナシウスは、かなりのメンバーが夏休みで知っているから、大歓迎された。

「入学式の日から、二人も増えて嬉しいよ!」

他の錬金術クラブのメンバーも来て、自己紹介をしたり、ファイルの作り方の説明や、シール作りをして過ごす。

「ペイシェンス様は、私の憧れなのです」

クラリッサのキラキラした眼に困惑する。

「えっ、私がですか?」

エドが横で「不躾だよ!」と諌めてくれる。

「ペイシェンスは、自己評価が低いな。自力で 女子爵(ヴァイカウンテス) になったのだ。もっと誇って良いし、女の子が憧れるのは当たり前だ」

ベンジャミンに言われて、そうなんだと驚いた。

「お姉様は、とても賢くて優しいのです」

ナシウス、そんな事を言っていたらシスコン疑惑になっちゃうよ。

「ナシウス様、もっとペイシェンス様について教えて下さい」

あらら、クラリッサはドン引きしないんだね。まぁ、恥ずかしいから、少しだけにしてね。

「ペイシェンス様、終わりましたか?」

パーシバルが迎えに来てくれた。

「ええ、今日は魔法クラブとのいざこざを諌めて下さり、ありがとうございます」

お礼を言ったけど、パーシバルは笑った。

「魔法クラブは、少し気をつけておきます。他所のクラブの脚を引っ張るより、自分のクラブを高める方に目を向けて欲しいです」

ここに学生会長が来たのは、私のお出迎えだけではないみたい。

「今度の部長会議で、取り上げたい事案があって、カエサル部長には先に話しておきたかったのです。学園生活を有意義に送るのに、クラブに入るのは良いと思うのです。でも、どのクラブが合うのか分からない学生も多くて。だから、今度、各クラブ紹介を催そうと考えています」

私的には当たり前だと思う。前世の入学の時期は、勧誘合戦が激しかったからね。

「それは良い考えだと思いますよ」

カエサルも錬金術クラブの廃部危機には苦労したからね。

「錬金術クラブの体験コーナーに被せる事になるかもしれません。その日は、午後からの授業を休講にしてもらう予定です」

それなら、被っても良いかも? 放課後だけより、人数が増えても大丈夫そう。

「細かいことは、部長会議で話し合いましょう」

パーシバルと一緒に寮まで帰る。

「実は、母からコーラスクラブを廃部しないようにと頼まれたのです。まぁ五人に足りなかったら、仕方ないのだけど……」

自分の所属していたクラブが廃部になるのは悲しいよね。

「まぁ、残ったメンバーが勧誘できるかに掛かっているが……難しいかな?」

「どうでしょう?」

コーラスクラブには関わっていなかったから、誰が残っているかも知らないよ。

「まぁ、機会だけは与えたから、母にもそう伝えておこう」

パーシバルもお母様には弱いみたいだね。