軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

思いがけない手紙

パーシバルと少女歌劇団について話し合う。

「貴女は、領地の管理もしなくてはいけないのだから、少女歌劇団のアイデアは良いけど、アルバートに任せた方が良いですよ。王妃様や他の貴婦人へ話をするのはペイシェンスの方が適任ですが、程々にしないと時間と体力が不足してしまいます」

パーシバルは、私があれこれ思いつくまま行動するのを心配してくれる。

「そうですね! カルメンを連れて、お茶会に行ったりはしますが、少女歌劇団の創立はアルバート様に任せますわ」

宣伝やアイデアは出すけど、直接は関わらない様にしよう。

「マーガレット王女にお手伝いを頼むと良いです。あの方は音楽の庇護者として申し分ありませんから」

だよね! リリーナを勉強会に参加させるなら、その見返りじゃないけど協力して貰おう。

「母もコーラスクラブに属していただけあって、音楽は好きなのです。他の貴婦人にも声を掛けて貰いましょう。寄付は少額でも、パトロンが増えるのは良い事だと思います」

やはり、パーシバルは賢いな。私だったら、自分で抱え込んでしまうところだった。

メインは、アルバート、そして王族としてマーガレット王女、それを金銭面で支えるのはラフォーレ公爵で、パトロンの筆頭に王妃様、モラン伯爵夫人などになってもらって、他にもパトロンを増やす。

なかなか良い感じになりそう。

「歌劇団はカルメンだけではできませんけど?」

それは、アルバートに任せる様にと忠告された。

「ペイシェンスは、領地管理とドレスだけでも手一杯でしょう」

だよね! でも、アイデアは出したいな。

「男装の麗人って女子に人気があるんですよね!」

パーシバルが笑っている。

「ユージーヌ卿はとても人気ですからね」

ユージーヌ卿は、素敵すぎるから当然だよ。

「少女歌劇団は、男役と娘役でやりたいのです。これは、アルバート様に提案しても宜しいでしょうか?」

男装の麗人とのラブシーンとか公序良俗に反するとか言われたら困るから、パーシバルに聞いてみる。

「それは構いませんが……男装の麗人なんて集まるでしょうか?」

それは、アルバートに任せるよ!

「お嬢様、ただいま帰りました」

メアリーがお土産と手紙の返信を配り終わって戻ってきた。

「ナシウス、ヘンリー、子供部屋に行っても良いわよ。ありがとう」

ずっと応接室で本を読んでいる振りをしていたけど、私とパーシバルの話に聞き耳を立てていたのは分かっている。

「いえ、もっと居ても良いでしょうか?」

あれ? ヘンリーは子供部屋か、庭で遊びたいと思うのに?

「ヘンリー! お邪魔だよ」

ナシウス? やはりパーシバルとの甘い雰囲気が分かったのかしら?

「でも、色々と面白いお話が多くて、聞きたいです」

パーシバルがくすくす笑う。

「ヘンリーも少女歌劇団に興味がありますか?」

ヘンリーが頷く。

「歌姫のカルメン様って、前の教授会にいらした人でしょう? 私も2階で歌を聴きました。とてもお上手でした」

うっ、歌は上手いけど、近寄らせたくないよ。

「ええ、とても歌が上手い方ですわ」

ヘンリーも頷いている。

「歌の上手い女の子を集めて歌劇団を作るだなんて、わくわくしますね」

その通りだけど、その前のカルメンがアルバートに手を出そうとして、チャールズ様を怒らせてた事も聞いていたのかな? しまった! 教育的に良くないね。

いつもはメアリーが付き添いで、話の内容などに口を出したりしないけど、弟達の前でしなきゃよかった内容もある。

ナシウスも少し何か言いたそうだ。

「ナシウス?」と尋ねる。この子は、ヘンリーと違ってすぐには口に出さないから、気をつけてあげなきゃいけない。

「アンジェラは、ジェーン王女の側仕えになると聞きましたが、カレン王女のお世話もしないといけないのでしょうか?」

それを心配していたんだね。

「カレン王女がどの程度自立されているか、まだ分からないわ。リュミエラ王女は、ほぼ自分の事は自分でできるの。それに、ジェーン王女もかなり厳しく鍛えられていると思うわ」

それでも髪を整えるとかは、手伝いが必要かもね? カレン王女は、全く分からない。

「ははは、それは私達も同じでしたよ。寮に入った当時は、制服をハンガーに掛けるのを忘れて、しわくちゃにしたりしました。カレン王女も寮生活の初めは苦労されるでしょうが、慣れると思います」

えっ、パーシバル! そんな失敗をしていたの? 驚くけど、そうかぁ、伯爵家のお坊っちゃまなんだもんね。

「パーシバル様も失敗されるのですね!」

ナシウスも笑っている。

丁度、良いタイミングでワイヤットがお茶を運んで来たので、弟達とティーブレイクだ。

「お嬢様、お手紙の返事と別の手紙も届いています」

あらら、また手紙? お礼の手紙が殆どみたいだけど……これは、見慣れない封筒だわ?

「これは? 開けてみますわ」

紙もローレンス王国の物ではないし、差出人は美麗様だ。

「まぁ、きっとパーシバル様の所にも届いていますわ。お読みになりますか?」

パーシバルに手紙を渡す。カルディナ街の領事館で王さんに会った時に言われていた屋敷に招待するって内容だった。

「あのう、美麗様について父に聞いたのですが……少し事情が複雑なのです」

つまり弟達の前で話すのはちょっとって話題なんだね。

「ええ、後で話しましょう」

この話は、今はしない事で決まった。ナシウスは、何か気づいたみたいだけど、ヘンリーはクッキーに齧り付いていたから、気が付かなかったみたい。

「そうだわ! 忘れていたけど、サリエス卿とユージーヌ卿に新居の見学をさせて頂かなくては!」

すっかり忘れていたよ。

「ああ、インテリアデザイナーの腕前を見ないと依頼できませんね」

それもあるけど、少しパーシバルに話さないといけない事もあるんだ。

「ハープシャー館ですが、風呂の設備がなっていませんわ。それの補修工事はしないといけませんが、古びた内装とかは、生活魔法で綺麗にできるのです。ただ、好みじゃないので、壁紙やカーテンは変えたいですが……」

パーシバルは、うん? って少し考えていたが、ハッとしたみたい。

「つまり、ペイシェンスは古い館の補修工事ができると言うのですね」

まぁ、そうなんだよ。

「ただ、無いものは作れません。だから、グレンジャー館は配管工事からやり直さないといけませんわ」

ははは……とパーシバルが笑い出した。

「ペイシェンスのことは色々と知っているつもりでしたが、知らない事も多いのですね」

そうなんだよね。一番の秘密もまだパーシバルに話していないんだよ。

お茶を飲んだら、弟達は2階に上がったので、美麗様の話をする。

「父に調べて貰ったのです。美麗様は、皇帝陛下の妹君。つまり先代の皇帝の公主になります」

まぁ、離宮に住んでいたと聞いた時から、高貴な姫だろうとは推測していたよ。

「先帝が亡くなる前に、後ろ盾をなくす美麗様を思って、王将軍に嫁がされたそうですが……王将軍が亡くなられて、離宮に住まわれていたそうです」

ふうん? 未亡人になって、兄皇帝の離宮に住む。悲劇だけど、問題なさそう。カルディナ帝国に居られなくなる理由は何だろう?

「その若き未亡人に皇太子が恋をしたのが、問題になりました」

美麗様は、とても美しいからね。

「えっ、甥になりませんか?」

この世界ではどうなんだろう?

「皇帝陛下と美麗様の母親は別人ですし、叔母といっても皇太子より若いので、未亡人でなければそう問題にならないのですが……王将軍は、カルディナ帝国の英雄でしたから……」

ふぅ、英雄の未亡人だから、駄目なの? それより叔母と甥の方が私的には無理だけど。

「問題視する声が上がり、それに反発した皇太子が押さえ込もうとして、大問題になったそうです。廃嫡しろとまでの声も……まぁ、だから美麗様は国を離れる事になったのでしょう」

それって、大迷惑だよね?

「美麗様は、皇太子がお好きだったのですか?」

パーシバルが首を横に振る。

「美麗様がお好きなら、皇帝陛下が何とかされるでしょう。美麗様の心が無いから、外国に逃がしたのでは無いでしょうか? 離れていたら、皇太子の気持ちも冷めるでしょうし、妃達もいっぱいいるから」

あっ、後宮とかあるんだ。やれやれ! そこの妃達と仲良くしときゃ良いじゃん!

つまり、美麗様は故国に帰れないんだ。

「皇太子が皇帝になったら、もっと危険なのでは?」

パーシバルが少し考えて首を横に振る。

「まだ皇帝は40代ですし、当分は大丈夫でしょう。それに、他にも美人は多いでしょうから」

それなら良いけどさ。

「カルディナ帝国では、未亡人は再婚できないのですか?」

「いや、それは無いですが、多分、美麗様の相手は見つからないと思いますね」

まだ若い美麗様が未亡人として暮らすのは寂しいと思うけど、それは本人にしか決められないね。

「招待に応じたいと思います」

袖触れ合うも多生の縁! それに、カルディナ帝国の風習とかも聞きたいからね。