軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

淑女教育?

パーシバルとオルゴール体操をして、朝食を一緒に取って、応接室でちょこっと話す。

時間割を決めたいけど、来年度のスケジュールは決まっていない。

「新年になれば、決まっているでしょうから貰って来ますよ」

マメなパーシバルが嬉しい。

「マーガレット王女との授業はありませんから、パーシー様とだけ同じ授業にするだけですわね」

パーシバルも私と合わせて、できるだけ金曜と月曜は空けたいと笑う。

「青葉祭前は忙しいかもしれませんね」

本当にね! 学生会長は大変そうだよ。リチャード王子もピリピリしていた。

「ああ、それとカレン王女が留学されるかもしれません。リュミエラ王女は、もう慣れたからパリス王子の留学理由もなくなるかもと思っていたのですが……来学期も続きそうですね」

うっ、前ほどはパリス王子は嫌だとは思わなくなったけど、ソニア王国の国王夫妻はちょっとね。

「ふぅ、マーガレット王女はかなり家政コースの単位を取られています。つまり、来学期からは文官コースの勉強をして、パリス王子の立場を考えるおつもりですわ」

パーシバルと2人で溜息をついた。

「外交官的に考えたら、悪い話ではないのが困るのです。マーガレット王女の個人的な幸せを考えると、国内の貴族と結婚された方が良いとは思うのですが……」

だよね! チャールズ様とかなら、気楽に音楽会を開いたりして暮らせそう。

「ジェーン王女も入学され、オーディン王子との縁談が進むと思います」

ああ、デーン王国とは関わりたくないんだよね。スレイプニル愛が強すぎるから。

「ペイシェンス、そんなに嫌な顔をされないで下さい」と言いつつも、パーシバルも苦笑いだ。

ジェーン王女とオーディン王子との縁談、どうなるのかな? キース王子とカレン王女も縁談があるから、留学するのだろうし……来学期も何となく気忙しい感じがする。

「ペイシェンスは、私が 馬の王(メアラス) と出掛けている間、何をしていたのですか? ナシウスやヘンリーも一緒だったみたいだけど」

あっ、パーシバルに何もかも相談する約束だったね。

「ナシウスが錬金術クラブに入ってくれると言ったのです」

パーシバルは、それは楽しそうだと笑う。

「それで、何をしていたのかな?」

そう、それを訊かれていたんだ。

「錆びにくい金属を作っていたのよ。まだナシウスは難しそうなの」

パーシバルが頭を抱えている。

「少し目を離したら……それを見せてくれるかな?」

工房に行って、ステンレスと保温瓶の設計図を見せる。

「この金属を使えば、錆びにくいのですか? なら、庶民が使っているナイフやフォークやスプーンにも使えますね」

そうかも? グレンジャー家、あの貧乏な時ですら銀食器だったんだよね。使用人達は違うかもしれないけど。

「田舎では木のスプーンで食べると聞きましたよ」

へぇ、知らなかった。

「それに他にも色々と使えると思います」

だよね!

「冷凍庫にしても良いかなぁと思っているのです。荷馬車に乗せて、冷凍車にしたいなぁと」

パーシバルの顔が険しい。

「それって、流通革命になりませんか?」

そうかな?

「もし、グレンジャーを領地にしたとして、マッドクラブを王都に運べたら良いなと前に話していたでしょう」

話したよね? 覚えていないかな? あれこれ、話したから。

「それは覚えていますが、こんなにすぐの話とは思っていませんでした」

「明日、バーンズ公爵と面会するから、一緒に行って欲しいですわ」

いきなりは失礼だから、今度からにするとパーシバルは断る。

「でも、何を提案されるのかは気になります」

それから、パーシバルと何を持って行くのか話し合った。

「このホカホカクッションとステンレスと保温瓶と麦芽糖かしら? これは必要ないかしら?」

麦芽糖は、パーシバルに話していなかったかも?

「麦芽糖? 甘いのですよね?」

そこから説明していなかった?

「この麦の芽を砕いて、お粥に撒いて発酵させると、麦芽糖になるのです。これなら、庶民でも楽しめるかなと思って……駄目かしら?」

パーシバルは、クスクスと笑う。

「経済学で食品の輸入超過について学びましたからね」

そうなんだよ! カカオは、まだ金持ちだけだけど、砂糖はね。

「お米も長粒種なら、南部で栽培している所もあると聞いたから、良いかなぁと思ったのです」

「素晴らしいですよ! 米ならグレンジャーでも作れるかもしれません!」

そうだよね! 大豆も作りたいけどさ。

「えっ、何か他にも考えているのですか?」

白味噌と味噌と醤油を考えていると話したら、とても呆れられた。

「うちの管理人では手に余るかも知れません。誰か専任の管理人を置かなくてはいけませんね。私も父に頼んでみますが、ペイシェンスも親戚に頼んだ方が良いですよ」

それ、本当だよね。

「家政婦も2人必要ですから」

パーシバルと結婚準備について話し合うの、楽しい!

パーシバルは、今日は伯母様方が来られるから、早めに帰った。

伯母様方の淑女教育、何かな? 貴族について、あまり知らないから教えて欲しい。それと、結婚準備もね!

先ずは、リリアナ伯母様が着いた。家が近いからね。

「サミュエルがお邪魔して悪いわね」

そう、サミュエルは朝から来ているんだ。

今日のお昼は豪華だから、呼んだんだよ。ヘンリーも親戚だけだから、一緒で良いしね。

「サミュエルは、本当に真面目に勉強しています。これは、ナシウスの影響で、感謝していますのよ」

父親は、書斎から出て、応接室に座っているけど、早く3人が揃って、淑女教育とかが始まれば良いと思っているみたい。

「サミュエルは、ロマノ大学で何を専攻するのかしら?」

このところ興味があるんだよね。

「多分、経営学部だと思うわ。エリオット様は、軍事学部を専攻して欲しいみたいですけど……ああ、そうだわ! 伝えようと思っていたのに忘れていたわ。カザリア帝国の遺跡、王宮の新年会で発表されるのよ」

へぇ、やっとなのか、早いのかわからないよ。

「それで、エリオット様が一度ペイシェンスと話したいと言っているの。旅行から帰ってからで良いから時間を取って欲しいわ」

それは、良いけど?

「まさか、扉の開閉係では?」

リリアナ伯母様がプッと笑う。

「ペイシェンスは 女子爵(ヴァイカウンテス) なのよ。そんなわけはないでしょう」

良かった! 本当に、それはいやだからね。

「お父様、私はロマノ大学で薬学と魔物の素材や植物について学びたいのですが、何学部になるのでしょう?」

父親は、考えて口を開く。

「魔法学部の薬学科か植物科だろうが……どちらを主体にするかで、指導教授が変わるから、よく考えなさい。教授会で話を聞いても良い」

そうか、教授会もあったね。でも、やはり魔法学部になるんだね。

シャーロッテ伯母様が次に着いたので、ジョージに運び込んで貰って、ミシンを見せる。

「まぁ、これは良いわね!」

それと布の見本台を見て、喜んでくれた。

「これ、真似しても良いかしら?」

「良いですよ!」

それと、機械織布についても話したいな。まぁ、これは作るのに時間が掛かりそうだから、もっと後でも良い。

「それと、伯母様方の馬車のクッションを暖かくしますわ」

それは、各自の馬丁に運び込んで貰い、マリーとモリーにジッパーをつけて貰う。

組み立ては、簡単だからね。

「皆、もう来ていたのですね」

アマリア伯母様が来て、3人が揃ったので、父親は挨拶して書斎に籠る。

「相変わらずウィリアムは再婚するつもりはなさそうなのね」

アマリア伯母様は、再婚しなくては駄目だと思っているみたいだけど、それはちょっと。

「まぁ、仕方ないですわ。ユリアンヌ様と熱愛だったから」

リリアナ伯母様は、再婚しなくても良いって感じみたい。

「ウィリアムは、本があれば良いのでは?」

シャーロッテ伯母様が、一番厳しいかもね。

私は、パーシバルと結婚するから、父親に再婚して欲しい気もするけど、弟達は残るから、微妙なんだ。

淑女教育って、貴族の常識だと思っていたけど……雑談から始まった。

それと、どうやら母親を亡くした私に性教育をしなくては! と伯母様方は考えたみたい。

「育児学で赤ちゃんの作り方は習いましたわ」

育児学、私は取っていないけど、本は読んだから、嘘じゃない。かなり、良い加減な知識と育児方法だけどね。

まぁ! と伯母様方は、目を合わせたけど、ホッとした様だ。私もね!

「グレンジャー家には家政婦がいません。それに新居にも必要なのです。あと、領地の管理人も信頼できる方を紹介して頂きたいです」

アマリア伯母様は、あまり領地の管理は知らないけど、伯父様とルシウスに訊いてみてあげると言ってくれた。

「そうね、ペイシェンスは 女子爵(ヴァイカウンテス) になったのだから、領地を管理しないといけないのね。兵をある程度は雇わないといけないし、それを率いる騎士を見つけないといけないわ」

やはり、リリアナ伯母様は、防衛拠点のノースコート伯爵を見ているから、軍事面を指摘された。

「あら、サリエスに言わせたら、ペイシェンスが一番強そうだわ」

うっ、魔物ならどうにかなりそうな自信はついたけど、対人はまだ……。

「そうね! それぞれの騎士爵の次男以下で信頼できる人を探してみるわ」

シャーロッテ伯母様、頼りになるよ。

「子爵家なら、何人ぐらいの騎士を雇うのでしょう?」

それは、領地次第だと言われた。

「我が家は、5人騎士がいるけど、多い方だと思うわ。港には面していないけど、織物業が盛んで、それを運搬する事も多いから」

田舎で、農業だけだと2人も雇わないと首を竦める。

「ペイシェンス、騎士爵には2通りあるのよ。先ずは、俸給を与えて兵の指揮を執らす場合。後は、信頼できる騎士に土地を与えて、領地に尽くさせる場合とね」

夏休み、何人もの騎士爵の夫妻がノースコートに訪れていた。その人達の事だね。

これは、後でパーシバルと相談しよう。

「ヘンリーは騎士団に入りたいと言っています」

これは、アマリア伯母様が詳しく説明してくれた。

「第一騎士団に入るには、3人の騎士の推薦がいるわ。ヘンリーなら、サリエス、ユージーヌ卿、ガブリエル騎士団長が推薦してくれるでしょう」

それは嬉しいね! 訊きにくいけど、訊いておきたい。

「あのう、サリエス卿はなぜロマノ大学に進学されなかったのでしょうか?」

アマリア伯母様が大きな溜息をついた。

「どれほど、私と夫が進学するように言った事か! あの子は、頑固で見習い騎士からやりたいと聞かなかったの。でも、ユージーヌ卿との事を聞いて、何となく分かったの。彼女が見習いから騎士になると決めていたからかもと」

えっ、恋愛でロマノ大学に行かずに見習い騎士からスタートすることにしたの? 驚いちゃった!