軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

昼食会準備

手紙でアマリア伯母様に金曜の午後から打ち合わせに来てもらう事になっている。

メニューは考えているけど、それで良いかチェックして欲しいからね。

それと、席順とかも、父親が決めたみたいだけど、チェックして欲しい。実は仲が悪いとか嫌だもの。

ホッとしたのは、グース教授は今回は招待してない事だ。何回かに分けて昼食会をするみたいだから、いずれは顔を合わせなきゃいけないけどね。

ヴォルフガング教授は、来るんだよね! 今回は文化系、それと芸術系の教授だ。今年から芸術科ができたから、そちらから招く事にしたみたい。

魔法学科や錬金術学科や戦術学科とかは別の日だよ。やれやれ!

メアリーが迎えに来たので屋敷に帰るけど、土曜の昼はパーシバルと会えない。私が社交界デビューしていたら、婚約者として一緒に昼食会に出られるのにね。

本来なら、社交界デビューしていない私も教授達を招いた昼食会に出席しなくても良いのかもしれないけど、母親が亡くなっているから代理だよ。まぁ、ホステス役はアマリア伯母様に任せるけどね。

屋敷には、モンテラシード伯爵家の馬車が止まっていた。

「もう、いらしたのね?」

私が帰ってくる時間に約束していた筈だけど?

応接室には、アマリア伯母様がサリエス卿と座っていた。うん? サリエス卿?

「お待たせして、申し訳ありません」

まずは謝って、様子見だよ。

「サリエスから聞いたけど、冬の魔物討伐に参加するなんて、ウィリアムは何を考えて許可したのかしら?」

ああ、それか! 伯母様としては、弟が何も考えてないと叱りに来たのだ。

「伯母様、心配して頂いて、ありがとうございます。でも、ゲイツ様の側を離れませんから、大丈夫ですわ」

アマリア伯母様の顔が百面相になった。

「ええっ? ゲイツ様とは王宮魔法師のゲイツ様ですよね? でも、貴女はパーシバル様と婚約したのに?」

いや、ゲイツ様とは……何になるのかな?

「陛下に命じられて、ゲイツ様に防衛魔法を習っているのです。それで、現地で訓練した方が良いと言う事になって……」

眉が凄く寄って、皺が凄いよ。

「それは……もしかして、ペイシェンスが次の王宮魔法師になるということですか?」

ああ、皆、そう思うのだ!

「いえ、私があまりに不甲斐ないから、自分の身を護れるようにと……」

話が長くなりそう! アマリア伯母様の横のサリエス卿が目で謝っている。言葉が滑って、冬の魔物討伐に参加するのを話したのだ。

「女の子なのに危険ですわ!」

ここから、ゲイツ様と陛下が参加するようにと言われて、初めは嫌だったけど、精神的に強くなる必要を自分も感じたから参加を決めたと納得して貰えるまで、かなり時間が掛かった。

「本来なら、令嬢のペイシェンスが身を護らなくても、婚約者のパーシバル様に護って貰えば良いだけですけどね。でも、内密にですが女男爵に叙されたと聞きました。領地を管理するなら、少しは精神的に強くならなくてはいけないのかも?」

えっ、女男爵になったの知っているの?

「ふふふ……、こう言う話は何処からでも漏れるものなのよ。今頃は、モラン伯爵家は上手いことをやったと嫉妬している貴族も多いでしょう」

まるで、それでは私の領地目当てみたいじゃん!

「それは、違いますわ! パーシバル様は、そんな事は知らなかったもの。それに、外交官になれない、外国にもついていけないのにプロポーズして下さったのよ!」

きゃんきゃん、伯母様に文句を言っちゃったけど、笑って許してくれた。

「まぁ、パーシバル様と仲が良いのは嬉しいわ。とてもお似合いのカップルですもの」

はぁ、良かったよ! まさか、それで 恋人の隠家(アマレット・エルミタージュ) に呼び出したりしたのかな? 持参金目当て? 嫌だ!

私の内心のもやもやは、気をつけるしかないのかな? パーシバルは、調査してみると言っていたけど?

アマリア伯母様は、やっと教授会の話をし始めた。

「招待するのは、文化系の教授なのね。なら、私にも理解できる話題でしょうし、ペイシェンスは大人しくしていたら良いわ」

そう、普通なら若い令嬢はそれで十分なのだ。

「歴史学科のヴォルフガング教授は、夏休みにノースコートの遺跡調査でお目に掛かったことがあります。そこで、ロマノ大学では歴史学科を取るようにと勧誘されたのですが……」

困っていると、言葉を濁す。

「まぁ、強引な方なのですね。席を離すようにしましょう」

そう、そうなると良いな。

「この席の芸術学科の教授は、私はあまり知らないのよ。この度、エステナ聖皇国から帰国されたそうだけど……まぁ、音楽関係はペイシェンスに任せるわ。音楽クラブに入っているぐらいですもの」

それは、遠慮したいけど、ヴォルフガング教授よりはマシだから、仕方ないかも。

メニューは、伯母様が知らない料理もあったけど、付き添いのサリエス卿が私の料理を絶賛するので、了承された。

ワインとかは、私は分からないからワイヤット任せだよ。

「晩餐会なら、紳士方は食堂に残って葉巻と強いお酒を楽しまれるけど、昼食会だから一緒に応接室に移動します。椅子は少し増やさないといけないわ」

屋根裏部屋の壊れた家具を補修しよう!

「わかりました。ワイヤットに言っておきます」

教授5人だから、夫人と共に10人、そしてモンテラシード伯爵夫妻、父親と私。14人!

やはり、新居見学の一軒目の食堂は狭かったのかもね。

ナシウスは、今回は参加しない。私も参加しなくて良いならなぁ。

応接室では、軽いお菓子とお茶を出して、少し会話して解散だ。

なるべく、アマリア伯母様の近くにいよう!

父親が帰ってくるまで、アマリア伯母様は残っていたので、少しガッカリした顔をしたのを叱られていたよ。

「貴方は、身内だからと礼儀を守らなくても良いと考えているのですか?」

お説教モードになったけど、サリエス卿が話を逸らしてくれた。

「母上、ルシウス兄上の結婚式の件を話し忘れていますよ」

こほん、と咳払いして、父親に招待状を渡す。

「おめでとうございます」

ここは、マナー通りに祝福して受け取る。

「実は、ペイシェンスにブライズメイドをして貰いたいの。サマンサ様の友達は全員結婚してしまったし、親戚の女の子も既婚者ばかりなのよ」

えっ、ユージーヌ卿はブライズメイドにならなくて良いの?

私の疑問に、アマリア伯母様の横のサリエス卿が気づいてウインクをパチパチする。それは、触れてはいけない話題なのだ。

「サマンサ様には、こちらの都合で待たせてしまったから、ブライズメイドもこちらで用意すると受け合ってしまったの。それと、フラワーガールはアンジェラにお願いしたのよ」

えっ、フラワーガールはもっと幼い子のイメージだけど?

「それは宜しいですが、ドレスは何を着たら良いのでしょう?」

こちらのウェディングの常識は知らないからね。

「フラワーガールは白だけど、ブライズメイドは白は駄目よ。それと、心配しなくてもこちらで用意します」

そうなんだね。ああ、ユージーヌ卿は、ブライズメイドのドレスなんか絶対に着たくないのだ。

花嫁の引き立て役だから、何故かダサいドレスなんだよね。

「パーシバル様も招待しますから、変な殿方に目をつけられる心配もありませんわ。ブライズメイドを狙う殿方も多いですからね」

討伐が終わったら、ルシウスの結婚式だ。

伯母様が帰ったので、ワイヤットが屋根裏から椅子やソファーをジョージ達に運び込ませる。

埃は払ってあるけど、かなり古びているね。

「綺麗になれ!」

ついでに応接室にも掛けておく。いつも、メアリーとキャリーが掃除しているから綺麗だけど、やはりキラキラ度が違う気がする。

後は、召使い達に任せて、私は 弟達(エンジェル) と遊ぼう。

子供部屋では、ブロックで魔物を作っていたから、一緒に作る。

「茶色のブロックを増やした方が良いみたいね」

灰色が多いからね。

「いえ、灰色でも良いですよ。バケツに入らなくなるから」

ナシウスは灰色の鯨を作っていた。サティスフォードで見た魔物だ。

ヘンリーのは……何だろう? お姉ちゃん、全力で感じ取ろうとするけどわからないよ。

「お姉様、よくできたでしょう」

こんな危機、なかなか無い。間違え無いように答えたい。

ナシウスがヘンリーの後ろで指を2本下に向けて動かしている。ヒントだ!

「ええ、マロンでしょう! よくできているわ」

ドキドキ、間違いじゃ無いよね?

「ええ、マロンを作ったのです!」

嬉しそうなヘンリーだけど、とても馬には見えなかったよ。ホッ!

誕生日プレゼントの栗毛の馬は『マロン』青毛の馬は『シャドー』と名付けられたのだ。

マロンは、その毛色のままだけど、ヘンリーが決めたのだから、それで良いよ。

「茶色のブロックを作りましょう!」

灰色の塊をマロンと言い当てるのは難しいからね。