軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

雑事がいっぱい!

パーシバルに屋敷に送って貰い、父親と少し話をする。

「そうか、エドワード様が新婚時代に住んでおられた屋敷なら、家から近いと思ったのだが、荒れているなら、違う屋敷の方が良いだろう」

えっ、知っていたの?

「招待されたことがあるが、少し狭いと伯爵夫人はこぼしておられた」

やはり、父親も狭く感じたのかな?

「母は狭いと思ったみたいですが、ペイシェンス様は気に入っておられるのです」

パーシバルの言葉に、父親は苦笑する。

「グレンジャー家は、社交的な一家ではないからね。でも、モラン伯爵家は、外交官一家だから、ペイシェンスは其方に合わせた方が良いだろう」

まぁ、ど貧乏で客など来ないのを体裁よく言えば社交的でないとなるかな?

やはり二軒目になりそうだ。大きな工房と温室が作れるのは嬉しいかも。

「ペイシェンス様、他のも見てみますか? ロマノの貴族街には、空き屋敷はあまり無いのですが……」

そうだろうね。仲介人もあの草が生い茂った屋敷を案内するぐらいだもの。売り手が強気だよ!

「そうですわね。私はモラン伯爵家に嫁ぐのですもの。パーシバル様が狭いと感じられるのなら、二軒目が良いと思います」

良いのですか? とパーシバルがこちらに確認するので、頷く。

「父に押さえて貰うように言っておきます」

ああ、婚約したのだから当たり前なのだけど、結婚するのだと実感して、ドキドキしちゃう。

「ええ、お願いします」

後は、グレンジャーの土地について話したけど、父親は少し難しそうな顔をした。

「ペイシェンスに法衣貴族になった経緯を聞かれたから、過去の記録を調べてみたのだ。港が土砂で使えなくなって、王家に返上して法衣貴族になったと書いてあった。かなり資金投資して、港の整備をしようとはしたみたいだが、川が運んでくる土砂に負けたようだな。だから、あまりお勧めはしない。名前が残っていても、縁は切れているのだから」

少し言葉に苦い口調があったのは、その資金投資が多額で、全て失ってしまったからかも。

「冬休みに、領地から近いので、一度、見に行こうと言っているのですが……」

パーシバルの言葉に、父親は許可を与える。

「大学生の頃、友だちの屋敷に招待された時に、近くを通った事がある。夏でも、人気のない海岸だった。景色は良いが、活気はなかったな」

冬なら、余計に物悲しいかもね。

「私は、王都の近くの方が管理しやすいのではと思うのですが、他の方も同じ考えみたいですね」

父親も「そうだろうな」と同意する。

王都の近くの領地が無いなら、モラン伯爵領の近くの方が良いのかも? 父親の許可が出たので、冬休みはモラン伯爵領にパーシバルと一緒に行くことになった。

婚約してから、初めての旅行だよ! 嬉しい!

そろそろ寮に行く時間だ。パーシバルも一旦は家に帰ってから寮に行く。お見送りに出る。

「ペイシェンス様、サンドイッチの件ではご迷惑を掛けてしまいました」

いや、エバをソニア王国の大使館に派遣するよりは、サンドイッチを作って持っていく方が気が楽だから良いんだよ。

「いえ、それに皆様と食べるのが楽しみですわ」

ただ、まだキース王子の件が少し気になっている。

「ペイシェンス様?」

ああ、顔に不安が出ていたみたい。

「キース王子とは、これまで昼食を共にしていましたし、昨年は夏の離宮で夏休みを過ごしましたから、やはり気になります。ちゃんと授業を受けないといけませんわ」

パーシバルに肩を抱かれて、約束させられた。

「ペイシェンス様は、キース王子を弟の様に感じておられるのでしょうが、違いますからね。それに私の婚約者なのですから、他の男の人の心配をし過ぎないで下さい」

ええっ? もしかして嫉妬?

「パーシバル様がそんなことを言われるなんて、思ってもみませんでしたわ」

くすくす笑うと、パーシバルが苦笑した。

「王妃様にも言われましたが、ペイシェンス様は無自覚でしょうが、かなりモテているのですよ。それに、本人だけでなく家族にも望まれるタイプだから、私だって気が揉めます」

ふふふ……、私も女学生の嫉妬視線に耐えているからおあいこだよ。

「パーシバル様の手を取ったのだから、嫉妬されても仕方ないとは覚悟していました。それに精神攻撃の防衛魔法の練習になっていますのよ。かなり腕が上がった気がします」

パーシバルに爆笑されちゃった。

「やはり、私の想像以上の答えが返ってきますね。そうか、私も覚悟を決めるだけでなく、鉄仮面を被る修行だと思えば良いのですね」

鉄仮面はやめて欲しいな!

「これ以上、無表情になられると困りますわ。それに氷の美青年と呼ばれますよ」

パーシバルが笑い過ぎて苦しそうだ。

「それは……私も遠慮したいです。そんな恥ずかしい呼び名は御免ですよ!」

また、寮で会おうと、頬にキスをしてパーシバルは帰った。

ああ、パーシバルとはまだまだ話し合う事がいっぱいあるよ。

恋愛期間無しで、いきなり婚約したからね。

なんて、浮かれている場合では無い。

「エバに用意ができているか聞いてこなくては!」

勿論、エバはちゃんとサンドイッチとデザートまで作ってくれていたよ。

私は、制服に着替えて、メアリーは大きな籠を持って寮に向かう。

「メアリー、キャリーはどう?」

かなり慣れてきた様だとは思うけどね。

「キャリーは、良い子ですわ。それに学習意欲もあるので、ミミと一緒に文字や計算の勉強もしています」

えええ、孤児院では勉強しなかったの?

「お嬢様、庶民は少し字が読めて、簡単な計算程度しか習わないのが普通ですよ。私が奥様の侍女見習いにして頂いたのも、文字が他のメイドより読めるのと裁縫の腕が良かったからです」

そうか、知らなかったよ。

「マシューとルーツはどうなのかしら?」

従僕や従者も文字や計算ができないと困るよね?

「あの2人は、キャリー達よりはマシですよ。王都には庶民が通う学校もありますからね。でも、ルーツはもう少し勉強しなくてはいけないかも?」

そうか、マシューは13歳まで家にいたけど、ルーツは11歳で働き出したんだものね。

「これから、ルーツは乗馬や剣術の稽古もしなくてはいけないの。マシューも参加したいと言っているけど、大丈夫かしら?」

メアリーは、それは大丈夫だろうと頷く。

「それより、下女を増やして教育していかないと、結婚されたら半分は連れて行かれるのですから」

うん? 下男は良いの?

「執事や従僕は、モラン伯爵家が雇用されるのではないでしょうか? お嬢様のお世話は、私が致しますが、メイドと下女が必要ですわ」

ハッとした。

「エバはどうするのかしら?」

できたら一緒に来て欲しいけど……甥のマシューやルーツはグレンジャー家に残るのだ。

「エバは、先代の奥様に御恩を感じていたので、他の奉公人が辞めた時も残りました。でも、お嬢様のレシピを料理するのが、とても楽しいみたいですから、ついて来ると思いますわ」

それは嬉しいけど、グレンジャー家にも料理人が必要だ!

「だから、今から調理助手も育てなくてはいけないのです。これもモラン伯爵家と相談されても良いのかもしれませんよ。領民の働き手がいるかもしれませんから」

ああ、そうかも? えええっ、もしかして私が貰う領地の領民の働き場所にもなるのかも?

「パーシバル様やモラン伯爵夫妻と話し合う事がいっぱいあるのね」

なんて言っていたら、ドレスもいっぱい作らないといけないとメアリーに言われたよ。

「社交界デビューもですが、ペイシェンス様はドレスが少な過ぎます」

でも、今のドレスメーカーは高すぎる。

「来週末は、教授をお招きしての食事会ですが、アマリア伯母様がホステス役なのね……シャーロッテ伯母様かリリアナ伯母様なら、相談できたのに」

父親は、どの姉上も苦手みたいだけど、私は考え方が古いアマリア伯母様が少し苦手だ。

シャーロッテ伯母様は、初めは目つきが厳しくて苦手意識を持ったけど、あれは近眼だっただけみたい。

異世界でも眼鏡はあるけど、女の人は掛けないか、家でだけ掛けるみたいなんだよ。

「ラシーヌ様も、そろそろ王都に帰られるのでは?」

メアリーは、一番若いラシーヌ推しだね! リリアナ伯母様もセンス良いけど、年齢が離れているし、豪華路線だからドレスメーカーも高そう。

「 美麗(メイリン) 様の体調も良くなられたでしょうし、王都に来られるのかもね? それに、流行病もローレンス王国は上手く押さえ込んだから、サティスフォード子爵もラシーヌ様と一緒に来られたら良いな」

港の検疫は続けるだろうが、子爵がずっと滞在する必要はなさそう。

アンジェラほど少女趣味のドレスは着たくはないが、ペイシェンスは似合いそうなんだよね。私的には、もう少しすっきりさせたい。

なんて事を話しているうちに、馬車は学園に着いた。