軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

久しぶりの王立学園

サーモグラフィースクリーン、エアカーテン、浄化ゲートを作った。

これで、検疫システムはできたと思う。後は、ゲイツ様にお任せしよう。

「王立学園に行かなくてはいけません」

王宮から帰る前にキチンと言っておく。

「私だけに、王都に掛けている防衛魔法の魔法陣の開発を押し付けるなんて!」

そうゲイツ様は文句を言っているけど、私は単なる女学生! そちらは王宮魔法師だから、立場が違うよ。

それに、ゲイツ様はもうわかっている気がするんだよね。

プリズムで虹を作って、紫外線に魔素がいっぱい含まれているのを見ていた時、ハッとした顔をしたんだ。

「ゲイツ様は、もう王都に掛ける防衛魔法の魔法陣は考えておられるのでしょう?」

サリンジャーさんは気づいていなかったみたい。びっくりして怒っている。

「ゲイツ様!」

ゲイツ様は、仕方ないなぁと肩を竦める。

「まぁ、ヒントは貰いましたからね。それに、太陽光から魔素を取り出す事も出来るかもしれません」

サリンジャーさんが驚いている。

「では、あの魔導船を飛ばせるのですか?」

ゲイツ様は肩を竦めた。少なくともグース教授に教える気は無さそう。

「あの魔導船は目立ちすぎます。それより、今回の王都の防衛魔法に活用した方が良さそうです。当面は魔石を使いますが、いずれは太陽光の魔素を使えば安上がりになりますね」

やはりゲイツ様は天才なんだね! これで任せても大丈夫だよ。

ああ、でもマスクと手洗いとうがいの徹底はして欲しい。

「発症している人と濃厚接触者を隔離した施設で働く人が感染しないように、マスクを常につけて、手洗いとうがいをするように徹底して下さい。勿論、浄化を掛けるのも忘れないように」

施設には浄化できる王宮魔法使いを派遣して欲しい。

門の検疫は楽になるから、そちらに回せるんじゃないかな?

ゲイツ様は、不機嫌に頷いている。私がいないとサリンジャーさんに見張られて、真面目に仕事をしないといけないからじゃないかな?

「それと一般の人達もマスクを付けたり、手洗いとうがいをした方が良いのです」

マスクの絵を見せると、サリンジャーさんも眉を顰める。

「医療機関で働く者は付けるでしょうが、他の人は付けないでしょうね。顔を隠すのは、後ろめたい事をすると思われますから」

サリンジャーさんがマスクは無理でしょうと説明する。

マスクは、前世でも嫌がる国が多かった。

「では、人が集まる場所にはエアカーテンと浄化門を設置しないといけませんね」

ゲイツ様が大袈裟に嘆く。

「各港や大都市にもサーモグラフィースクリーンやエアカーテンや浄化門を作らなくてはいけないのです。特にサーモグラフィースクリーンは普通に織らせたら半月は掛かります」

ああ、他のはほとんどゲイツ様が作ったけど、巨大毒蜘蛛の糸からスクリーンを織るのは時間がかかりそう。

「では、木曜の午後にスクリーンを作ります。材料を用意して下さい」

なんて、こちらが譲歩したら、ぐいぐい押してくる。

「どうせなら朝から来たら良いのでは?」

こんな風に、なし崩しにされるのは御免だよ。

「いえ、今夜には寮に行きます。昼からこちらに参りますわ」

やっとゲイツ様も諦めてくれた。やれやれ!

家に帰って、少しだけ弟達とブロックで遊ぶ。

ナシウスは小さなブロックを積み上げて、子供部屋の隅にかなり立派な城を建築中だ。

こういうブロック遊びでも性格が出るよね! ナシウスは基礎からきっちりと積み上げている。

「お姉様、もう少しブロックが欲しいです」

珍しいナシウスのおねだりだ。

「ええ、週末に作ってあげますよ」

ヘンリーのは……城と言うより、オブジェだね。

「上手く作れません!」

ヘンリーにブロックの使い方を説明しながら、城を作るのを手伝う。

「わぁ、お城ができました!」

旗を立てて、自分の人形を城の前に立たせて、ヘンリーは喜んでいるけど、城と言うよりは小屋だね。

楽しいけど、寮に行かなくては!

月、火、水と授業をサボってしまったし、マーガレット王女はどうしているのか気になる。

「ナシウス、ヘンリー、行ってきますね」

こんな時は、ナシウスもキスさせてくれる。

「お姉様、誕生日おめでとうございます」

二人が書いたメッセージカードを貰った。

「まぁ、とても素敵な誕生日プレゼントですわ! ありがとう」

ナシウスにも二度目のキスをする。本当に嬉しい!

メアリーと寮に行く。まだクラブ活動の時間だから、マーガレット王女とリュミエラ王女はグリークラブだ。

メアリーは、素早く服をしまうと家に帰る。父親の帰る時間までに馬車を回さないといけないからね。

金曜から留守にしていたけど、寮の部屋はいつも通りだ。

でも、サッと「綺麗になれ!」と生活魔法を掛けておく。

「料理クラブは4時間目からだから、途中になるわね。錬金術クラブに顔を出しましょう」

金曜は第一回目の体験コーナーだから、準備もしなくてはいけない。

「ご機嫌よう」と言うと、ベンジャミンとブライスが作業していた手を止めて、私の側まで来た。

「ペイシェンス、長いこと休んでいたから心配していたのだ!」

「病気だったのか? ラッセルやフィリップスに訊いても、言葉をはぐらかしてばかりで……」

ええ、そうか! 目立っては駄目だから内緒なんだ。

「いえ、旅の疲れを癒やして、弟達と誕生日のお祝いをしてから学園に行こうと思ったの」

全員から非難の目が向けられた。

「この忙しい時期に!」

ベンジャミンが病気じゃなかったと知って、吠えている。

でも、カエサル部長とアーサーは何か気づいたみたい。

「何を手伝いましょう?」なんて言ったけど、第一回目の収穫祭の飾りのセットはほとんど出来ているみたい。

「こちらの綿菓子機、できるにはできるが、ペイシェンスは色を付けたいと言っていただろう?」

白い綿菓子も良いけど、それでは作る方も楽しくないよね。

「ええ、初めから砂糖に食紅で色を付けておくのです。食紅は用意してありますよね?」

料理のスペンサー先生に聞いて、赤、黄色、青、緑、紫の食紅をバーンズ商会に注文していた。

「ああ、だが……どうすれば砂糖に色をつけられるのか分からないのだ」

カエサル部長は、錬金術のプロなのに、料理系だからと手を出していないみたい。

「食紅を濃く水に溶かして、ザラメ砂糖に掛けて混ぜ、乾燥させるだけですわ。かなり濃い色にしないと、綿菓子にしたら色が薄くなりそうです」

食紅をビーカーに入れて水を混ぜる。

「ペイシェンスなら、砂糖と食紅でできるのかと思っていた」

ベンジャミンの言葉で、そうかも? と思ったけど、ムラなく色付けするには溶いた方が良い気がする。

「では、混ぜるのと乾燥は、生活魔法でしますわ」

5色のザラメ砂糖ができた!

「おお、綺麗だな!」

かなり濃い色にしたけど、これで色が出るかはわからない。

「作ってみましょう!」

全員が綿菓子機の周りに集まって、試作する。

「では、私から!」

カエサルは青のザラメを1匙入れる。

「おお、薄いブルーになるんだな!」

皆も、それぞれ違う色を試して、甘い綿菓子を食べている。

「ペイシェンスは何色にするのだ?」

ベンジャミンが黄色の綿菓子を食べながら尋く。

「へへへ……ちょっと大きめの綿菓子にするつもりなのです」

前世で流行していた多色綿菓子を作ろう!

先ずは、黄色、そして緑、最後は青!

「ずるいぞ! そんな事ができるなんて教えてくれなかったじゃないか!」

ベンジャミンの抗議など知らないよ! 私は綿菓子を食べるのに忙しいからね。

「ううん? 少し香料を変えたら味も変わるのかしら?」

カキ氷のシロップは色が違うだけだってメーカーの人は言ったけど、香料が違うと味も違う気がしていたんだ。

「それは、今回は無理だ。次回までの課題にしよう!」

カエサル部長は肩を竦めている。

「これなら作るのも食べるのも楽しいから、参加のご褒美として十分だな」

それに砂糖は高価だとはいえ、スプーン1杯で作れるからね。

少し、休んだお詫びを兼ねて、マーガレット王女とリュミエラ王女の綿菓子を作って持って行こう!

透明なビニール紛いの袋を、スライム粉多めと珪砂少しとネバネバで作った。

「これは、良いな! 食物を売る場所で使えそうだ」

そうか、この前作ったタッパーと透明な袋、それとサンドイッチの箱も売れるかも!

「ペイシェンス、父が一度来て欲しいと言っている。チョコレートの評判が高くなりすぎて、母も困っているのだ。なんとかカカオ豆を細かく滑らかにできないだろうか?」

それは難しいけど、何か考えなきゃエバの負担が増えそう! ああ、当座凌ぎなら何とかなるよ。

「カカオ豆の殻を剥く所まではできているのですよね? それを滑らかにする所をお手伝いしますわ。当分の間だけですが……」

カエサル部長は、ホッとしたみたい。

「いずれは滑らかにする機械を作るが、それまでは錬金術クラブに週に1回運び込ませる。やって貰えると助かる!」

チョコレートを欲しがる貴族を捌くのは、バーンズ公爵夫人にも大変だったみたい。

「火曜は一日中錬金術クラブだろう? その日にお願いしたい」

まぁ、これでエバの負担も減るから良いかも?

「いや、ペイシェンスには悪いが、当分はチョコレートを作って欲しい。これからバーンズ商会で売り出すのは、基本的なチョコレートにすると父が言っていた。そのうち、チョコレート専門店を作る予定みたいだ」

わっ、それは楽しみだよ! それに、元々はチョコレートを現品支給してもらう予定だったからね!

「早く滑らかにする機械を作らなくてはね! 石のローラーで細かくしたら熱が籠り難いかもしれませんわ」

もっと真面目に社会見学で説明を聞いておけば良かったけど、このくらいしか思い出せなかったんだ。

「石のローラーか! それは良いかも知れない」

ヒントを貰ったカエサル部長が、良い機械を作ってくれるのを待つよ。