軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

サティスフォードのバザールで課題調査?

昼食のスパイシーチキン乗せサラダはとても好評だった。

「前からスパイシーチキンは出していたけど、この様にサラダの上に乗せてはいなかった。これなら、スパイスが苦手な方でも食べやすいだろう」

サティスフォード子爵が喜んでいるし、初めて食べたラッセルとフィリップスもパクパク完食だ。

「今夜のペイシェンス様が教えて下さったレシピも楽しみです。もし、皆様に好評なら、漁村の新たな産業になるかもしれません」

違う馬車でサティスフォードまで来たラッセルとフィリップスは、私がサラサラと乾物のレシピを書いて渡していたのは知っていたが、それが領地の産物になるとまでは考えていなかった。

「なるほど! わざわざサティスフォードまで来るには理由があったのだな」

えっ、だから来たんじゃない! ラッセルは意味がわかっていなかったの?

「ああ、グレンジャー家は法衣貴族で領地を持っていないのですね。だから、こうしてサティスフォードに来られたのか。バザールだけでも十分勉強になりそうですけどね」

二人とも、もしかしてパーシバルと二人っきりで行かしてはいけないから付き添いでついて来たのかな?

「いや、バザールを見学したいですよ」

「ペイシェンス嬢、私もバザールは初めてなので、楽しみにしているのです」

ラッセルとフィリップスが口を揃えて言うけど、怪しいよ。

親に言い含められているんじゃないの?

「そうですね! 午後はバザールの見学に行きましょう」

えええ、サティスフォード子爵が一緒だと、また前みたいにお行儀の良い見学になっちゃうよ。

大きな商店だけじゃなくて、露天商とかも見学したいのに!

「サティスフォード子爵はお忙しいのでは?」

パーシバルが私を代弁してくれたよ。

「いえ、私が領地に帰ってきたのも、港とバザールの管理の為だからです」

まぁ、まだ農作物の収穫には少し早い時期だから、領地管理としては港とバザールしか用は無さそうだよね。

パーシバルとラッセルとフィリップスとの自由時間があると期待したい。

馬車でバザールに行く。今回は、サティスフォード子爵、パーシバルとラッセルとフィリップスと私が同じ馬車だ。

メアリーと従僕達は後ろの馬車だよ。少し窮屈だけど、近いからね。

「ああ、スパイスの香りですね!」

フィリップスが楽しそうだ。ラッセルも鼻をクンクンしている。

私は、メアリーが居なくても、鼻をクンクンなんかしないよ。

「ここで馬車を降りましょう」

やはりバザールの中は馬車では無理だ。手前で降りる。

こんな時もパーシバルが素早くエスコートしてくれる。

馬車の折りたたみ階段を馬丁が引き出してくれるけど、小さいステップだからエスコートは嬉しい。

まぁ、家に戻った時は、早く弟達に会いたくて、飛び降りたりした事もあるけどね。

後ろの馬車からメアリーがグレアムにエスコートされて降りているよ。

あの二人、付き合ってはいないけど、お互いに好意を持っているのは明らかなんだよね。

グレアムが普通にグレンジャー家の使用人なら話は簡単なんだけど……なんて、メアリーとグレアムに気を取られていたら、男子達は木刀の露店に捕まっていた。

「へぇ、変わった木刀だな!」

ラッセル、貴方は乗馬クラブでしょう。

「これは南の大陸の半月刀の模造品ですね」

フィリップス、手に持っているけど、買う気なの? 歴史研究クラブだよね?

「良い木刀だ!」

ああ、パーシバルは振っているよ! 普段は私のエスコートを放り出したりしないのにね。

まぁ、パーシバルは騎士志望だったし、子どもっぽいのも可愛いかも。

他の二人も木刀を振って試している。長くなりそうだよ。

「ペイシェンス様は退屈でしょう。何処か案内しましょう」

子供に戻っている3人は可愛いけど、木刀には興味がない。

「それなら、この前半貴石を購入した店で待ちますわ」

サティスフォード子爵は、領の護衛に一言告げると、前に行った店へと案内してくれた。

「お嬢様、また半貴石をお買いになるのですね!」

メアリーは髪飾りやドレスやダンスシューズに付けたら素敵だと喜んでいる。

「ええ、それにバーンズ商会で売り出したいと言われているの」

あの加工は、今は難しくて私しかできないから、高額な手間賃をくれるみたい。パウエルさんからの手紙にも書いてあった。

新たな内職になるのなら、その前にどの程度の時間と魔力が必要なのか試しておきたかったのと、自分用の補充だよ。

そう言う事で、半貴石のクズ石は全部買ったよ!

このところお金を使い過ぎているけど、チョコレートの加工代金が臨時収入になっているからね。プチバブルなんだ。

チョコレートは原材料を貰う代わりに、半分を貰っているから加工代なんて良いのにね。高額な加工代金が貯金通帳に入ってて驚いたよ。

パウエルさんの手紙によると、チョコレート1箱の加工賃が金貨1枚だってさ! 高すぎない?

エバにボーナスをあげるべきかも? これはワイヤットと要相談だ!

クズの半貴石、箱にいっぱいで金貨1枚だ。まあ大きさもバラバラだし、加工前は輝いてもいないからね。

「そんなのどうされるのですか?」

サティスフォード子爵が首を捻っている。

ラシーヌはアクセサリーは大量に購入していたけど、こんなクズ石には目もくれていなかったからね。

「今度、アンジェラにもプレゼントしますわ」

アンジェラなら、可愛いピンク色とか良さそうだよね。

「それはありがとうございます。どの様な物になるのかとても興味があります」

サティスフォード子爵は、本当に商売に熱心だ。他の領地持ちの貴族もそうなのかな?

「バーンズ商会がクズ半貴石を欲しがるかもしれませんよ」

事前情報だけど、教えておこう。目がキラリと光ったよ。商機を見い出したみたい。

やっとパーシバル達が木刀を腰に下げて合流した。男子の木刀好きには敵わないよ。

「ペイシェンス様、申し訳ありませんでした」

パーシバルが謝るけど、それは良いんだよ。こちらも買い物を済ませていたからね。

「なるほど、この商店を見るだけでも来た価値があるな!」

ラッセルとフィリップスは、店頭に並べてあるローレンス王国の農作物と、店の中に置いてある輸入品のチェックをしている。

「今回は、食料品の輸出入の調査と、その問題点、そして解決策でしたけど……」

穀物や芋類や豆類が輸出される食料品で、輸入されるのはスパイス、南国の果物などだ。

どう見ても、輸入品の方が高価だ。

「穀物や芋類や豆類は、コルドバ王国からの方が南の大陸に近いでしょう。帰りの船荷が空は嫌だから購入するのでしょうか?」

パーシバルも問題点に気づいたみたい。農産物はコルドバ王国からの方が運送代も安くなりそうだ。

「そこら辺の事情が知りたいなら、ヨハンに尋ねましょう」

ヨハン店主は、領主のサティスフォード子爵のご要望には笑顔で応える。

やはり領主って権力を持っているのを感じるよ。

この前、通してもらった応接室で香りの良いお茶と果物の接待を受ける。これって、バナナだよね?

「この果物は南の大陸ではこうして衣をつけてあげて食べるのが人気みたいですが……あまりローレンス王国ではねぇ」

バナナのフリッターっぽいお菓子をゆっくりと味わう。

前世でもあったけど、私的にはスライスして乾かしたのか、やはり生バナナの方が好きだな。

「美味しくないわけではないが、油っぽいのがイマイチだな」

サティスフォード子爵も、あまり手が伸びていない。他のメンバーもだよ。

「あのう、この果物はどの様な状態で輸入されているのでしょう? もし、宜しければ見せていただきたいのです」

ヨハンは、手を叩いて綺麗なメイドさんを呼ぶと「バナナを持ってきなさい」と命じた。

やっぱりバナナなんだ! 野生のバナナは種がいっぱいあるとか聞いたけど、さっき食べたのには種は感じなかった。

「これですよ。この黒い斑点が汚いと不評なのですが、緑のは不味いのです」

目の前には緑が多いバナナと黒いシュガースポットがいっぱいすぎるバナナだ。

「一度、生で頂いても宜しいでしょうか?」

隣に座っているサティスフォード子爵が止める。

「ペイシェンス様、火を通して現地の民が食べている物を生でなど!」

大丈夫と微笑んで、一応は浄化する事にする。

「綺麗になれ!」と唱えると、あらら緑色のバナナが黄色いバナナになったよ。シュガースポットのバナナはそのままだ。

私的には手で皮を剥いて、パクリと食べたいのだけど、それは令嬢としては駄目みたい。

メイドが持ってきてくれたナイフとフォークで皮を剥いて、中身を取り出したのを小さく切ってから口に入れる。

「少し甘みがあって、美味しいですわ」

私の言葉で、他の人も食べてみる。

「ああ、揚げたのより、こちらの方が好みですね」

サティスフォード子爵の言葉に他の人も同意する。

「うん、なかなか美味しい! 見た目は黒い斑点があって少し汚いが、食べ慣れたら気にならないだろう」

ラッセルは完食だよ。

「ペイシェンス様、何か考えておられるのですね」

パーシバルには読まれているよ。

「ええ、これはとても使い方が多い果物だと思いますわ」

青いバナナとシュガースポットがあるバナナの両方を買おうとしたら、サティスフォード子爵が買ってくれた。

「ペイシェンス様には沢山のレシピを頂きましたからね」

まぁ、バナナチップのレシピも教えてあげよう。加工したらロマノでも売れそうだからね。

ついバナナで脱線してしまったけど、本当の目的である食物の輸出入についてヨハンに訊ねる。

「皆様が仰る通り、小麦や芋類や豆類はコルドバ王国の方が輸送費が安いのです。しかし、ローレンス王国からは高価な魔道具やガラスやワインなどが輸出されますが、それで船荷を満杯にはできないので、この店でも何かを買ってくれるのですよ」

なるほどね! 食料品では赤字でも、魔道具やガラスでは黒字なのかな? あれっ、魔石を買ったらプラマイ0か赤字?

「魔石はコルドバ王国から輸入していると思っていたのですが?」

パーシバルの質問にヨハンは肩を竦める。

「コルドバ王国が大量に購入していますが、あまりにローレンス王国に輸出する際に高価になっているので、こちらに直接売る船も出ているのです。まぁ、そこは価格が高い方に売りたいのが船長達の本音ですからね」

なるほどね! でも、やはりローレンス王国は南の大陸からは遠いから、コルドバ王国に魔石を売る船の方が多いみたいだ。

「それは魔道具も同じなのでしょうか?」

ラッセルの質問にヨハンは笑う。

「そうですね。コルドバ王国から高い魔道具を買うよりは、ローレンス王国まで来て買った方が安いから航海して来ているのでしょう」

つまり、ローレンス王国の強みは錬金術だって事だね。その割には、錬金術クラブは変人扱いされているし、廃部寸前なんだけど?

ああ、また私の考えが皆にわかったみたい。不満顔だったからね。

「ペイシェンス嬢、私は夏休みを錬金術クラブのメンバーと過ごして、素晴らしい才能集団だと評価していますよ」

フィリップス、ありがとう!

「私も錬金術クラブメンバーは天才だと認めている。ただ、変わっているとも感じるのだ」

二人は体験コーナーにも申し込んでくれている。錬金術の楽しさを学んで欲しい。

「ローレンス王国の錬金術は、基幹産業になっているのに、錬金術クラブの評価は低すぎますね。ペイシェンス様、体験コーナーで皆の目を覚まさせて下さい」

パーシバルは、学生会長なので体験コーナーには不参加なのだ。残念だけど、一つのクラブを優位にさせない為だってさ。仕方ないね。騎士クラブも退部したぐらいだから。

「と言うことは、魔道具やガラスを売っている店もあるんだな!」

あっ、ラッセルは良い事に気づいたね!

「勿論、次はそこに行きましょう!」

食物の輸出入の調査が課題だけど、赤字解消の輸出品は関係あると思うんだ! それに、何が売れ筋なのか知りたいしね。