軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ルクシオンレポート その6

「壮観じゃないか!」

ルクシオン本体の上に立つリオンは、目の前の光景を前に笑っていた。

ルクシオン本体を囲うのは、さび付き、壊れかけた旧人類の兵器たちだ。

そこからルクシオンとは微妙に差異のある球体子機たちが出てくると、リオンを囲んでいた。

一番大きな球体は、直径が一メートルもあった。

『移民船が無事であるとは予想外だった』

でかい球体【ファクト】は、壊れかけの錆び付いた空母の管理人工知能だ。

集まった中で、一番指揮能力が高く代表をしていた。

「はじめまして。リオン・フォウ・バルトファルトだ。転生者でね。旧人類の遺伝子が濃いらしいよ」

軽いノリを見せるリオンに、周囲の球体たちがスキャンを開始する。

それがルクシオンには苛々した。

『前もってデータは渡したはずです』

ファクトは譲らない。

『我々はアルカディア破壊のためにまとまる必要がある。そのためには、その象徴となるリオンにはマスターになってもらう必要があるのだ。旧人類の遺伝子を持っているのか、調べる必要がある』

ルクシオンが本体の武器を動かすと、周囲の宇宙船や兵器たちも武器を動かしていた。

リオンがルクシオンに手を置く。

「止めろ」

『マスター?』

「さて、諸君。結果はどうかな?」

集まった球体たちが、それぞれ肯定すると述べるのだった。

『――認める』

『肯定』

『賛成する』

散発的な抵抗を見せていた人工知能たちだが、指揮系統が既に死んでいる。

協力するよりも、アルカディア破壊を優先してまとまれなかった。

正確に言えば、他がどうなっているのか分からないのだ。

そこに、クレアーレが『旧人類のマスターが生きているわよ』と説得を開始した。

彼らは、勝率を少しでも上げるために、リオンのもとに集まってきたのだ。

『――拒否する』

だが、ファクトだけは認めなかった。

「おや、どうしてだ?」

『エリカ嬢がいる。旧人類に最も近い彼女こそが、我々のマスターに相応しい』

『エリカは戦闘に不慣れです。マスターにしたところで――』

「俺が話す」

ルクシオンが言い返そうとすれば、リオンが手を前に出して止めた。

「悪いが、姪っ子は眠らせている。自分さえいなければ、争いが起きないと勘違いをしていてね。邪魔になるから、起きる前に全て終わらせることにした」

『――終わらせるとは?』

「アルカディアを破壊する。そうしないと、王国で今後生まれてくる子供たちが困るからな」

『破壊できる可能性は低いが?』

「それでもやる。姪っ子が起きる前に全て終わらせてやるのが理想だな。あの子は優しいから、新人類を追い込むなんてためらうはずだ」

リオンが決意を持ってそう言うと、球体たちが一つ目を光らせた。

『現状、もっともマスターに相応しいのはリオン』

『エリカ嬢に戦闘は酷』

『マスターはリオン。エリカは最重要保護対象』

それらの意見を聞いたファクトは、一つ目を光らせるのだった。

『承知した。これより、我々はリオン――マスターの指揮下に入る。アルカディア破壊のために協力することを誓う』

「頼もしいな。さて、まずは整備だ。ルクシオン、出来るか?」

『――はい』

リオンが旧人類たちの残した兵器のマスターになる。

それ自体は問題ではないが、ルクシオンには寂しく感じられるのだった。

かつてリオンの領地だった浮島。

その地下ドックには、多くのロストアイテムである旧人類の兵器が並んでいた。

作業用のロボットたちが、整備を行っている。

その様子を見ていたルクシオンに近付くのは、クレアーレだった。

『ちょっと、何を一人で遊んでいるのよ』

ルクシオンは不満そうに答える。

『遊んでいません。整備効率を上げるために、私が指示を出しているのです』

『あんたじゃなくてもいいじゃない。他にも人工知能がいるんだし、あんたはマスターの側にいなさいよ』

リオンは今日もダンジョンに挑んでいた。

今まで放置していたロストアイテムの回収だ。

クレアーレは、ルクシオンに問うのだった。

『あんた、仲間を説得する時に情報を伏せたでしょう』

ルクシオンは、本気で仲間に呼びかけてなどいなかった。

もしも彼らが集まってしまえば、リオンが利用すると分かっていたからだ。

『何? もしかして嫉妬?』

『違います』

即答するルクシオンに、クレアーレは激怒する。

『なら、しっかりやりなさいよ!』

『――クレアーレ、私が本当に守りたかったのは旧人類ではありません』

クレアーレが静かになる。

ルクシオンに話の続きを求めた。

『あら、壊れたの? もしくは、移民船のあんたには、別の目的があるのかしら?』

ルクシオンは一つ目を横に振る。

『旧人類は救いたいですよ。新人類は私も憎い。――マスターがいなければ、旧人類が復活するこの王国を消し飛ばしていたでしょう』

『そうね。マスターには感謝したいわね』

ただ、ルクシオンは思うのだ。

『アルカディアを破壊すれば、長い時間をかけて旧人類は復活します。それは我々の勝利でもある』

『悲願よね。やる気が出てくるわ』

『ですが――私が本当に守りたいものは失われます』

『何よ?』

クレアーレはその答えが分かったようだ。

黙っていた。

だから、ルクシオンが本音を吐露する。

『私が本当に守りたかったのは――マスターです』