軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第095話 幸運

「これで問題事は何とかなりそう?」

「実はもう1つあります……」

まだあるらしい。

「何?」

「評判になったのは貴族や商人だけじゃないんですよ。一般の人達もです。ですので、移住したいという要望がものすごいらしいんです」

「そうなの?」

「はい。こちらは主にダリルさんが担当していますが、相当な数の要望があるみたいですね」

マジか……

「リンゴがあるとはいえ、辺境の開拓村だよ?」

「要望しているのは主にその開拓村の住民です。要は別の開拓村で苦労している人達がリンゴ村に移住したいと言っているらしいんですよ」

「あー……なるほど」

便乗したいんだ……

気持ちはわからないでもない気がする。

「いかがしますか?」

いかがって言われてもねー。

「どう思う?」

「反対です。ダリルさんも反対していますし、村の人達もでしょう」

「だろうね。俺も反対だもん」

良いことがない。

軋轢が生まれるだろうし、リンゴはもちろん、スーパー肥料、農具が外に漏れる可能性も出てくる。

単純に人手が増えるとは思うが、自分達で頑張ってきた開拓村を捨てる人達がはたして、本当に働いてくれるのだろうか?

「では、断るということでいいですか?」

「そうだね。いつかは移住民を受け入れることもあるかもしれないけど、人を選びたい」

「わかりました。では、そのように……それで相談というかお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」

ん?

「何?」

「門のことです」

あー……

「確かにそういう状況なら門の整備もいるね」

「はい。後回しにしていましたが、よろしければ明日にでもお願いしたいのです。それと門だけでなく、できたら周りの結界もお願いしたいです」

「結界はモニカがやってくれているんじゃないの?」

そのおかげで村に獣や魔物が入ってこないはずだ。

というか、俺は魔物どころか獣も見たことがない。

「本当に申し訳ございません……私程度の結界では弱い魔物や獣は防げますが、そこそこかじった魔法使いの前には無力です……貴族や商人が間者や偵察員を送る可能性もありますし、できたらタツヤ様達の結界に代えてもらった方がよろしいかと」

あっ……マズい。

モニカがものすごく気にしていることだった。

「モニカはすごく役立ってるし、必要不可欠だよ」

「ありがとうございます……」

暗い……

魔法の話題になると、以前のモニカに戻るな……

「うん……じゃあ、明日、村に行って、門と結界の方をどうにかするよ」

「よろしくお願いします……」

本当に暗い……

心なしか猫背に戻っている気がする。

「……何か飲む?」

「ストゼロを……」

「あ、はい……」

冷蔵庫に行き、ストゼロを手に取ると、モニカに持っていく。

すると、モニカはプルタブを開け、一気に飲みだした。

「おー……」

「すごいにゃー……」

アルコール度数が高いうえに炭酸の酎ハイを……

「上がりましたー……って、モニカさん?」

俺とミリアムが感嘆していると、ルリがお風呂からが上がってきて、ストゼロをイッキ飲みしているモニカを呆然と見る。

そして、モニカはストゼロを一気に飲み干した。

「ふぅ……調べ物を再開します」

モニカは立ち上がると、平然とパソコンの方に向かう。

「な、何かあったんですか?」

ルリがちょっと引きながら聞いてきた。

「いや、ちょっとね……明日、村の門と結界を整備することになったよ」

「わ、わかりました。あ、お風呂、どうぞ」

「うん」

俺はお風呂に入ると、その後はいつものように過ごして就寝した。

翌日、俺達はリンゴ村に行くと、モニカと合流し、門に行き、3メートルくらいの壁を作った。

門自体は木製の普通の門にしようということでこれは村の人達が作ってくれるらしい。

そして、村を囲っている結界をルリに教えてもらいながらかけ直していった。

「こんなものかなー?」

結界を張り終えると、汗をぬぐう。

「よろしいかと思います。上級悪魔が来ない限り、村には入れません」

ルリが頷きながら答えた。

「さすがにそこまでの敵は来ないだろうね。モニカ、王都にはいつ出発するの?」

「準備はできておりますので可能ならばすぐにでも」

もう準備はできているか。

本当に有能な子だ。

「ミリアム、行ける?」

ルリが抱えているミリアムを見る。

「行けるにゃ。どうせ夕方には帰ってくるんだから準備なんかいらないにゃ。まあ、そもそも猫に準備なんかないけど」

そりゃそうだ。

「じゃあ、悪いけど、モニカをよろしくね」

「任せるにゃ」

ミリアムが頷いたのでルリからミリアムを受け取ると、モニカに渡した。

「気を付けてね」

「はい。では、行って参ります」

ミリアムを抱えたモニカは軽く頭を下げると、門の方に行く。

「俺達は家で待ってようか」

「そうですね。馬車とはいえ、疲れるでしょうし、いつでもお風呂や夕食が食べられるように準備しておきます」

ルリも気遣いができる本当にいい子だ。

俺の最大の幸運は人に恵まれたことだろうな。

「それがいいね」

俺とルリは家で2人を待つことにし、戻ることにした。