軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第083話 事情説明

上級悪魔のアマドは灰になって消えていった。

よく見ると、狼男も消えている。

「やけにあっさりしてたね」

死ぬっていうのに。

「長く生きた悪魔はそんなものにゃ。人とは価値観が違う」

「ミリアムも?」

「まあ、別に死ぬことに特別な思いはないにゃ。いや、死ぬ気はないけど……」

そんなものなのか……

俺は宙に浮いているミリアムを抱きかかえると、撫でる。

「しかし、灰になっちゃったね。また証明が難しい」

危険度がわからない。

「自分の死体を残したくなかったんだろうにゃ」

「こだわりかね? まあ、倒したのはユウセイ君か……」

ユウセイ君をチラッと見る。

「いや、ほとんど山田さんじゃん。というか、俺が倒しても褒賞金は出ないし、山田さんが倒したことにしてよ。それで焼肉を奢ってくれ」

そういえば、テスト終わったら奢るって言ってたわ。

「そうしようか。ユウセイ君、悪いけど、協会に電話してくれる? 俺はちょっと奥を見てくる」

「わかった」

この場をユウセイ君に任せると、奥にある扉に向かう。

すると、キョウカもついてきた。

「見ない方が良いよ?」

「私は別に気にしませんから」

怖いなー……

俺はまあいいかと思いながらキョウカとミリアムを連れて、奥に向かう。

そして、扉を開けた。

中には数人の男女の死体が転がっていた。

「ロザリーじゃなくて、教団の連中って言ってたよね?」

「そうですね。タツヤさん、壁を見てください」

キョウカにそう言われたので壁を見ると、あちこちに小さな穴が開いていた。

「あれは?」

「銃痕ですね」

銃かよ……

「もういいや。あとは協会に任せよう」

ごめんよ、調査員の皆。

俺達は扉を閉じると、ユウセイ君のもとに戻る。

「山田さん、電話したぞ。桐ヶ谷さんも来るって」

桐ヶ谷さんか……

「ありがとう。君ら、どうする? もう11時になるけど」

「あー、マズいな。条例がある」

だよねー。

「勝手にやる分には良いというか、グレーゾーンなんですけど、調査員の方が来る場合はちょっと……」

グレーかね?

いや、黒じゃない?

まあ、親御さんには許可を得ているかもしれないし、一応、俺が保護者か……

「タクシーを呼んであげるから先に帰りなよ。明日はユウセイ君がバイトだし、土曜日にでもまた話そう」

「そうするか」

「まあ、仕方がないよね。じゃあ、土曜日に伺いますんで」

ウチか……

「わかった」

俺は返事をすると、タクシー会社に電話をする。

そして、しばらく待っていると、タクシーがやってきたのでお金を先に払い、2人を送ってもらった。

「さて、待つか」

死体のある教会で待つのは嫌だが、仕方がない。

「ねえ、ミリアム。あのロザリーって悪魔はそんなに強いの?」

「強いにゃ。あれはフィルマンやさっきのアマドとは格が違うにゃ」

「そんなに? 戦闘能力に乏しいって言ってたけど」

確かに戦いができそうには見えなかった。

「争いが好きじゃないだけで実際は恐ろしく強いにゃ。少なくとも山田では勝てないレベルにゃ」

マジか……

「同じネームドの上級悪魔じゃないの?」

「そんなもんはしょせんランク付けにゃ。ロザリーの魔力は私と同等程度はあると思うにゃ。間違いなく、厄災や魔王と呼ばれるレベルの悪魔にゃ」

あのー……それってミリアムさんも厄災や魔王と呼ばれるレベルの悪魔ってことでは?

猫なのに?

こんなに可愛いのに?

「そんなに強いのになんで見逃してくれなんて言ったんだろう?」

「そっちの方が楽しいからに決まってるにゃ。お前を誘惑してたのもキョウカを煽っていただけにゃ」

迷惑な悪魔だな……

「そんなのを呼び出した悪魔教団か……」

ロクな組織とは思えんが、どんな組織なんだろうか?

俺がそのまま考えながら待っていると、扉が開き、桐ヶ谷さんと調査員の人達が入ってきた。

「あれ? 須藤さんじゃないですか。学校の調査は?」

調査員の中には須藤君もいた。

「そっちは終わりましたよ。何も出てきませんでした。ようやく帰れると思ったら呼び出しですよ」

「すみませんね」

「いいですよ。これが仕事です」

調査員も大変だな。

「山田さん、一ノ瀬君と橘君は?」

桐ヶ谷さんが聞いてくる。

「11時を超えそうだったんでタクシーで帰らせましたよ。さすがに明日も学校ですし」

「ならよかったです」

「桐ヶ谷さんも帰ってたんじゃないんです?」

「家で夕食を食べていたら連絡が来ましてね。呼び出しです」

やっぱりか。

「すみませんね」

「いいですよ。こういうことも想定して晩酌はしていませんでしたからね。それに……」

桐ヶ谷さんが教会内を見渡し、3つの魔法陣を見た。

「経緯を説明しましょう」

「お願いします」

「まずですが、学校の屋上で魔法陣を見つけましてね。その魔法陣から魔力の残滓を感じたので追うことにしたんです」

「ええ。それは聞いています」

須藤君に報告したからね。

「それでここに来たんですけど、中に入ったら修道服を着た女性がいました」

「シスターですか?」

「いえ、悪魔でした。恐ろしく魅力的な女性でしたよ。サキュバスみたいなものって自分で言ってましたね。ロザリーという名前らしいです」

「ネームド……上級悪魔ですね。それにサキュバスですか……」

桐ヶ谷さんが悩む。

「ものすごい魔力でしたし、色んな意味ですごかったですよ。腕が痛くなかったら危なかったです」

すごい惹きつけられるものがあった。

「橘君がいて良かったですねー。それでその悪魔は?」

「見逃がしてくれって言われました」

「え? 見逃がしたんですか?」

桐ヶ谷さんや調査員がこいつマジかって顔をする。

「あ、いや、見逃がしたかったわけではないんですが、代わりに情報をくれるって言われましてね。それにとんでもない悪魔でとてもではないですが、私が敵うような悪魔じゃなかったです。この前のフィルマンよりずっと格上です」

「なるほど。それで情報を得た方が良いと判断したわけですね?」

「ええ。私だけでなく、一ノ瀬君と橘さんもいましたしね」

「そうですか」

実際、そうだ。

2人がいる時点で無理はできない。

まあ、それとは関係なく、無理をする気は皆無だけど。

「それで情報とは?」

「まずですが、学校に魔法陣を描いたのはそのロザリーという悪魔みたいです。フィルマンを呼び出したのもロザリーでしょう」

「上級悪魔だったから上級悪魔を呼びだせた感じですか……」

「だと思います。それでロザリーを呼び出したのは悪魔教団とかいう組織のようです」

俺が悪魔教団の名前を出すと、桐ヶ谷さんが眉を潜める。

すると、須藤君を始めとする調査員も俺のことをガン見し始めた。

こりゃ、本当に把握してるわ……