軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第072話 人はそれを嫁と呼ぶ

俺達はファミレスにやってくると、各々が食べたいものを注文していく。

すると、すぐに店員さんが料理を持ってきたので食べだした。

「美味しいですね。最近、寒いですから温かいものが特に美味しいです」

対面にいるモニカがドリアを食べながらうんうんと頷いている。

「まあね。あっちの家は寒くない?」

「魔道具がありますからね。昨年よりは寒くないでしょう」

開拓村は本当に大変だったんだな。

「皆の分も買わないとなー……ルリ、美味しい?」

モニカの隣でお子様ランチを食べているルリに聞いてみる。

「美味しいです」

ルリは嬉しそうに唐揚げを食べている。

半分、冗談でこれにする? って聞いたのだが、色んなものが一度に食べれるからということで本当にお子様ランチを頼んだ。

まあ、かわいいから良しとする。

「……山田、ハンバーグを寄こすにゃ」

見えないように隣のシートに座っているミリアムが急かしてきたのでハンバーグを切り分けると、皿に乗せ、こっそりシートに置く。

なお、俺の目の前にはハンバーグと鳥肉のソテーの定食が置いてあり、パッと見は二人前を食べる大食漢だ。

「……熱いにゃ、でも、美味しいにゃ。いや、やっぱり熱いにゃ。私は猫舌なんだ」

見ればわかるよ……

思わずツッコみそうになったが、我慢して自分の定食を食べる。

すると、スマホが鳴ったので見てみた。

キョウカ:ミリアムちゃんの写真ちょうだーい

いつものテンションのキョウカだ。

山 田 :ごめんけど、外なんだ

キョウカ:あ、用事があるって言ってましたもんね

山 田 :用事は終わったんだけど、ルリがファミレスに行ってみたいって言うから来てる

キョウカ:なるほどー

まあ、ミリアムも来ているんだが、ハンバーグを食べている写真は送れない。

猫好きに怒られそうだし。

「ルリー」

ルリに声をかけると、カメラを向ける。

すると、ルリが無表情のままピースをした。

俺は隣のモニカが写らないように気を付け、ルリを撮ると、キョウカに送る。

山 田 :ウチの自慢の子

キョウカ:めっちゃかわいい! ちょうだい、ちょうだい!

山 田 :あげないっての……

俺はキョウカにメッセージを返しながら食事を続けていく。

「モニカ、リンゴは売れた?」

「ええ。夕方にはオベール商会の若い方が来られて残りのリンゴを買い取っていきました。金貨604枚ですね。それと馬車と馬も提供してもらいました」

金貨が604枚かー……

一気に増えたな。

「馬車は新しかった?」

「はい。それに馬も若いです」

モニカが言ってた通りか。

「モニカ、そのお金で人頭税を払おう。それと魔道具を買って、皆に配って」

「わかりました。明日にでもハリアーの町に行ってきます」

「魔道具は人数分、買えそう?」

「もちろんです。人数分のあらかたの魔道具を仕入れても金貨100枚にもいきませんよ」

そうなのか……

ということは金貨500枚が余る……

すごいな。

「余った金貨はどうするの?」

「まずは村人に還元しましょう。働いてくれたわけですしね」

「どれくらい?」

「金貨1枚で十分でしょう」

そんなもん?

「安くない?」

「リンゴは主にタツヤ様が用意しているわけですし、そんなものでしょう。それに魔道具や農具なども揃えて、支給しているわけですからね」

そんなものなのかな?

「まあ、わかった。残ったお金は?」

「全部、タツヤ様のお金です」

「全部?」

マジ?

一気に大金持ち?

「はい。あの村は村長であるタツヤ様のものです。村の収入はタツヤ様の収入です」

「暴君では?」

「そんなことはありませんよ。野菜を始め、多くを還元しておりますし、給金も出しています。さらには人頭税まで出しているのですから良心的ですよ」

そうなんだ……

「でも、金貨400枚以上あるんでしょう?」

「もっと言うと、来月にも金貨600枚が入りますね」

すごい……

「そんなにあっても使えないね」

「まあ、タツヤ様のものと言いましたが、そこから村の運営資金を出すわけですからね。別に全部、懐に入れても構いませんが、村のために使いましょう。まずは門の整備からですね」

そういうことか。

着服とかそういうレベルではなく、完全に俺次第なんだ。

「門ねー……確かにどうにかするべきだね。まあ、お金の管理はモニカに任せるよ」

「良いのですか?」

「モニカの方が詳しいでしょ」

「わかりました。では、村の資金に使います」

モニカが頭を恭しく下げる。

「あ、そういえば、モニカの給料を考えないと」

モニカは俺に仕えてくれるわけだから当然ながら別途、給料を支払う必要がある。

今までは支払うものがなかったが、今はある。

「私はすでに夕食を御馳走になっていますし、服も買って頂きましたから他の皆さんと同じで結構ですよ」

いやいや。

アットホームな職場とはいえ、給料を払わないとブラックになってしまう。

とはいえ、いくらが相場だろうか?

全然、わからんな。

「モニカ、お金の管理はモニカに任せることにするし、その中で適当にやりくりしてよ。正直、俺は向こうのお金をもらってもどうしようもない」

生活圏はこっちなのだからこっちの世界で使えないお金をもらっても持て余すだけだ。

「私の好きにしろと?」

「うん。モニカは散財しないだろうし、村のことも考えているから任せるよ」

「……かしこまりました」

モニカがまたもや恭しく、頭を下げる。

「………………」

「………………」

何故か、ルリとミリアムが無言で俺を見つめていた。