軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第068話 整えるところが多いなー

翌日、昼前に早めの昼食を食べた俺はミリアムを連れて、村に向かう。

村は相変わらず、畑仕事をしている人やはしゃいでいる子供達がおり、微笑ましかった。

俺達はそのまま門の方に向かうと、門の近くには家が建っており、その家の前にはモニカが立っていた。

「モニカ」

「こんにちは。早いですね?」

モニカが微笑みながら聞いてくる。

「まあね。それよりも何してんの? 中で待たないの?」

「エリク様を待ってます。タツヤ様は中で待っていただいて結構ですよ」

出迎えるわけか。

「じゃあ、俺も待ってるよ。多分、予定より早く来るしね」

「そうなんですか?」

「ほら、道を整備したじゃん」

ここまでの道が悪いことは大手の商人なら知っているだろうし、当然、それを見越して、出発しているだろう。

「あー……確かに。では、待ちましょうか。時にタツヤ様、結婚願望はおありですか?」

ん?

「いきなり何?」

「今後のことでかなり重要な話です。リンゴの売買が上手くいき、この村が潤った時に一番、タツヤ様に取り入る方法が婚姻なのです。エリク様はもちろんのこと、他の商人や貴族も狙ってくるかもしれません。もちろん、それ相応の女性を用意してくるでしょう。いかがですか?」

モテモテだな。

微妙な気分だけど。

「欲ある者に爺さんの魔法やあっちの世界のことを説明しろってこと? ないでしょ」

トラブルの匂いしかしない。

「では、そういった類のことは断るということでよろしいですね?」

「そうだね」

それでいいだろう。

「かしこまりました。そこで提案があります」

提案?

「何?」

「すでに結婚していると偽ってください。ルリさんは娘ということで……」

なるほど。

最初からそう言えば、そういう話もなくなるのか。

「一応聞くけど、この世界って一夫一妻?」

「具体的なルールはありませんが、庶民はそうです」

貴族、王族は違うのかな?

まあ、跡取りのこともあるし、権力者はそうか。

「ルリを娘にするのはわかったけど、奥さんはどうするの? いないよ?」

「表に出たがらないという理由でいいでしょう。病気がちでもいいですが、それは隙になります」

そんな女より、ウチの健康的な娘をーって言われそうだからか。

「わかった。その設定でいこう」

「はい。あ、本当に結婚なさるのならそれはそれで結構ですよ。かわいらしい髪留めを持っている子がいらっしゃるみたいですしね」

早口……

シュシュはルリのだよー……(小声)

「そういう子じゃないよ。仕事仲間だって」

「そうですか? 普通、コタツの中に髪留めを入れますかね?」

入れないと思う。

「まだ16歳の子供だよ」

「十分に大人です。女は10歳だろうが、女なのですよ」

ルリを入れないで。

ホムンクルスだから正確なあの子の歳を知らないけど。

「そんなことないと思うけどなー」

「男の家で着飾った髪をわざわざ下ろしましたよ、というアピールをするのが女です」

浮気相手が奥さんにわざと気付かせるように痕跡を残すようなものかね?

そういう話をネットで見たことがある。

「た、たまたまだよ」

「そうですか……まあ、それでいいでしょう」

モニカにもあの髪の毛はわざと落としたのかって聞いてみようか……

いや、やめとこ。

「あ、馬車が来たよ」

モニカと話していると、道の先に豪華な馬車が見えてきた。

「おそらく、エリク様かと」

「だろうね」

俺達がそのまま待っていると、馬車は門の前で止まった。

ぼろい門と豪華な馬車がミスマッチすぎる。

「……門を早急に整えましょうか」

モニカが小声で提案してくる。

どうやらモニカも同じことを思ったようだ。

「……そうだね」

俺達がちょっと恥ずかしいなーと思っていると、御者をしていた若い男が馬車から降りると、馬車の扉に向かった。

「旦那、着いたぜ」

男が声をかけたが、粗暴な感じだな。

「……あれは?」

「……雇われのハンターでしょう。護衛ですね。エリク様の護衛ですからおそらく、かなりの強者かと」

魔力を感じないところを見ると、魔法使いではないだろうが、帯剣しているところを見ると、剣士だろう。

「強いと言えば、強いが、キョウカ以下にゃ。そこまで臆することはないにゃ」

いや、そのキョウカがめちゃくちゃ強いし、怖いんですけど……

それ以下って言われてもねー……

異世界って怖いなーって思っていると、馬車から初老の男性が降りてくる。

そして、ハンターの男を連れて、俺達のもとにやってきた。

「リンゴ村の村長殿ですかな?」

初老の男性が聞いてくる。

「はい。この村の村長を務めております山田タツヤです。こちらは秘書のモニカです。エリク様でよろしいでしょうか?」

そう言いながら頭を下げた。

「ええ。私がオベール商会のエリクです。こちらは護衛を頼んだハンターです。基本的にいないものと考えてください。もちろん、見聞きしたものを外部に漏らすことはありません」

エリク様がそう言うと、ハンターの男が少しだけ頭を下げる。

「さようですか。こんなところで長話をするのもなんですし、どうぞ、こちらへ」

そう言いながら2人を応接用の家に案内した。

家の中は対面式のソファーとテーブルがあるだけの質素な部屋だったが、十分に暖かった。

おそらく、魔道具のおかげだろう。

「どうぞ」

エリク様に座るように勧めると、エリク様がソファーに腰かけ、ハンターの男がその後ろに立ったまま控える。

護衛らしいし、それが正しいのだろう。

俺とモニカもエリク様の対面に腰かけた。