軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第065話 料理は普通なのに……

桐ヶ谷さんがキョウカをじーっと見る。

「な、何ですか?」

キョウカはさらに抱きつく力を強くした。

刀の鍔が肘に当たって痛いです。

「桐ヶ谷さん、追及したらダメですよ」

「そうっすよ……まあ、高校の制服とスーツの山田さんだからパパ活に見えるっすけど」

調査員の2人が顔を上げる。

「パパ活!? いや、キョウカは怖いのが苦手なだけですよ!」

恐れていたことが現実に!?

というか、せめて親子って言ってよ!

「あー、なるほど……まあ、いいでしょう。我々は警察ではありませんしね」

桐ヶ谷さんは冗談めいた風に言うが、笑えない。

「それより、状況を教えてくださいよ」

調査員の2人もニヤニヤしながらこっちを見てないで仕事をしてくれ。

「そうですね。こちらの須藤君がこの辺りを巡回中に魔力を感じて、ここに来たらしいんですよ」

桐ヶ谷さんがそう言うと、俺とキョウカをパパ活認定してきた調査員がぺこりと頭を下げる。

「そしたらその男がいたんです?」

「ええ。どうもここに住んでいる路上生活者のようですね」

使っていないビルだからなー。

「被害者は? 事前に食い止めたって聞きましたけど」

「このビルのオーナーさんですね。ビルを見に来たら襲われたそうです。そこを須藤君が危機一髪で救った形ですね。オーナーさんは今、警察で事情聴取をしています」

須藤君、ナイスタイミングだったな。

「やはり悪魔ですか」

「だと思います。山田さんも見てもらえませんかね?」

桐ヶ谷さんがそう言うと、俺のそばで浮いているミリアムが倒れている浮浪者のところに向かったので俺達も近づく。

倒れている浮浪者は目を閉じているが、息はしているようで死んではいない。

魔力もわずかに感じる程度で悪魔はすでにいなくなっていると思う。

「悪魔は退治しました?」

須藤君に確認する。

「ええ。そこはちゃんと」

「低級ですかね?」

「おそらくは……Fランクで10万円ってところっす」

以前の公園のトイレの悪魔と一緒か。

「桐ヶ谷さん、もしかして、暴行事件の悪魔ってすべて10万円じゃないです?」

「その通りです」

低級悪魔ばかりか……

わからん。

ミリアムに意見を聞いた方が良いだろうな。

「すみませんが、何とも……2人は?」

キョウカとユウセイ君に聞く。

「わからないね」

「俺も」

2人もか……

「そうですか……では、引き続き、調査ですね。ありがとうございました」

「いえ……こちらも何かわかれば連絡します」

「お願いします」

俺達はこの場をあとにすると、階段を降り、車に乗り込む。

「今日はもうこの辺にしよう。家まで送ろうか?」

「駅まででいい」

「私もそこでお願いします」

2人がそう言うので車を発進させると、駅に向かった。

「山田さん、明日もやる?」

車を走らせていると、ユウセイ君が聞いてくる。

「あー、ごめん。明日は用事があるんだよ」

大手の商人さんがリンゴ村にやってくる日だ。

「そうか……悪いけど、水曜はバイトがある」

「わかってるよ。木曜にしよう」

「ああ」

ユウセイ君が頷いた。

「キョウカもいい?」

「私は特に用事があるわけではないですからいいですよ」

普通のキョウカに戻っているようだ。

「じゃあ、それで」

そのまま駅まで車を走らせると、駅近くで車を停車させる。

「着いたよ。気を付けて帰ってね」

「あい。お疲れー」

「ありがとうございます。また、木曜日に」

2人は車を降りると、挨拶をしてきた。

「うん。また今日と同じ時間にファミレスで待ってるから。別に急がなくていいからね」

「了解」

「よろしくお願いします」

「ん。じゃあね」

2人に別れを告げると、車を返却するために協会に向かって車を走らせる。

「ミリアム、どうだった?」

車内に俺とミリアムだけになると、声をかけた。

「この前と同じ名もない低級悪魔にゃ。でも、何かのパスがあったにゃ」

「パス?」

「どこかと繋がっている残滓を感じたにゃ」

残滓……

「よくわかるね。全然、わからなかったよ」

「お前はユウセイが言うように本当に魔力も高いし、魔力のコントロールに優れているにゃ。でも、感知能力は微妙にゃ」

「年だからそういうのが鈍いのかもね。視力も下がってきたよ……」

とほほ。

「いや、逆に経験が浅いからだと思うけど……」

そう信じたいや。

「まあいいや。それで? パスは探れそう?」

「行ってみるかにゃ?」

何があっても転移があるし、ミリアムもいる。

問題ないな。

「行こう」

「わかったにゃ。早速だけど、Uターンするにゃ」

えー……

先に言ってよー……

俺はちょっと不満に思いながらも適当なところでUターンする。

「そのまままっすぐにゃ」

「わかった。ミリアム、変なことを聞いてもいい?」

「何にゃ?」

「キョウカってさー……いや、やっぱりいいや」

ちょっと恥ずかしくなってきた。

「聞きたくないなら別に聞かなくてもいいにゃ。ただこれだけは言っておくにゃ。私やルリはもちろんだけど、キョウカもモニカもお前を裏切ることはないにゃ。あ、ついでにユウセイもにゃ」

桐ヶ谷さんも入れてよー……

「そういうのってわかるもんなの?」

「私は人の感情を読み取れるにゃ。もちろん、お前の感情も読み取れるにゃ」

マジか……

すごいな、この上級猫さん。

「本当に?」

「お前がルリが淹れる番茶を飲んで微妙な感情を持っていることもわかってるにゃ」

あ、本物だ。

「美味しいよ?」

「知ってるにゃ。でも、ルリはジジイの好みしか知らないからにゃー……あ、でも、モニカは普通に飲んでるにゃ」

そうなんだ……

あの濃い番茶を……

「言わないでね。ルリが可哀想だし」

「別に言っても良いと思うけどにゃー……」

「ちょっと濃いだけで言うか言わないかの微妙なラインなんだよ」

「パパは大変にゃー」

パパじゃないって言うに……