軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第048話 実った!

俺達は家を出ると、村の中を歩きつつ、東のリンゴ園を目指す。

すると、数人の畑仕事をしている人や追いかけっこをしている子供達と会い、挨拶を受けた。

「なんか皆、元気だね」

「食料が安定しましたし、村としての目途が立ったからです。皆、健康になってきましたし、やる気に満ちています」

「責任重大だねー……」

もうここまで来たら見捨てることはできない。

最後まで責任を取らないと。

「その辺りはこの私とダリルさんにお任せを。今はダリルさんが村の皆から要望を集めているところです」

モニカとダリルさんがいなかったら絶対に運営できないな。

給料は弾もう。

まあ、まだ村としての収入がないんだけど。

「統治はどうするの? 税金? 年貢?」

「いずれはそのようになります。ですが、細かいところは後ですね。まずは村の方向性を決めないといけません。タツヤ様は何かありますか?」

「正直に言うと、大きくなりすぎると運営していく自信がない。そこそこでいいと思ってる」

目的はスローライフだし。

「まあ、タツヤ様の本業は大魔導士様ですからね。わかりました。その辺も踏まえて計画を練ります。あ、あれがリンゴ園ですね」

モニカが指差した方向には確かに俺達がリンゴの苗木を植えた場所だった。

だが、苗木は立派な木に成長しているし、赤い実を実らせている。

「りんごにゃ!」

「すごいですねー」

「本当にね」

スーパー肥料、すごいわ。

「私も帰ってすぐに見ましたが、素晴らしいと思いました」

モニカが絶賛してくれると、リンゴの木を見ていたコーディーさんが俺達に気付き、近づいてきた。

「やあ、山田さん……じゃない、村長」

俺達のもとにやってきたコーディーさんが言い直す。

「別に山田でいいですよ」

「そうですよ。タツヤ様はすぐに村長ではなく、閣下と呼ばれるんですから」

呼ばれないよ。

「名称が変わるのはめんどくさいから山田さんでいいや。それで、山田さん。見ての通り、リンゴが見事に実ったぞ」

「大変じゃなかったですか?」

「いや、指示はもらってたし、そんなに大変でもない」

ルリが描いた絵付きのノートか。

「それは良かった。コーディーさんがやってたんです?」

「管理者が俺ってだけで皆でやったぜ」

コーディーさんが管理者になったのか。

「コーディーさん、タツヤ様に報告を」

モニカがコーディーさんに指示をする。

「モニカ。お前、人が変わりすぎてびっくりだよ……えーっと、このリンゴ園と畑の収穫から例の肥料、スーパー肥料だっけ? あれの効果の検証をしてみた」

命名がスーパー肥料になっちゃった。

まあ、外に出すわけじゃないからいいか。

「どんな感じです?」

「まずだけど、畑の方。収穫までの時間が大幅に短縮できるのはわかっていたことだが、収穫してすぐに種を植えても芽は出てこなかった。だが、10日くらい日を空けたらどんどんと成長していくことからある程度のインターバルが必要なんだと思う」

なるほどね。

「わかりました。それを踏まえて野菜やリンゴを収穫してください」

「ああ。リンゴは150個くらいは収穫できると思う」

一度に150個もか。

すごいな。

「1人1個は自分達で食べてくれて結構ですから。皆で育てたリンゴですのでね」

せっかくのリンゴ園なんだから皆も飽きるくらいには食べるべきだろう。

「そうか? 実は皆、気になっていたんだよ。悪いな」

「いえいえ。それで食の方は問題ないですか?」

「一つあるな。野菜は十分だが、主食となる小麦のことがある。小麦はこの森では育たない。実際、試してみたが、スーパー肥料でもダメだった。だから小麦だけは町から買ってこないといけないだろう。今までは援助でどうにかなったが、正式に村として運営するならそこが大事になる。まあ、詳しくはダリルさんに聞いてくれ。そういう陳情や意見を集めてたし」

モニカもそう言ってたな。

「わかりました。ダリルさんのところに行って話してきます。リンゴの収穫の方をお願いします。町に行って卸先を探してきますので」

「わかった。じゃあ、人を集めてくるわ」

コーディーさんはそう言うと、村の方に走っていった。

「俺達もダリルさんのところに行こうか」

「はい。こちらです」

場所は知っているのだが、モニカが秘書らしく案内してくれる。

「そういえば、家は新しくなってた?」

急いで作ってたけど……

「ええ。びっくりしましたね。あのボロ屋がきれいになってましたから。しかも、何故か魔道具付きです。なんで私の家だけ?」

あっ……

村の皆の罪悪感が見える。

急いで用意したんだろうな。

「モニカさんはタツヤさんの秘書でナンバー2ですから」

ルリがフォローする。

「ダリルさんもだと思うんですけど……」

まあね。

「お年を召した男性と若い女性が一緒なわけないじゃないですか」

「うーん……まあ、そうですかね? 早く皆の分も用意したいところです。気が引けますし」

皆も気が引けているんだよ……

モニカのことを忘れてたから。

「リンゴで儲けたらまずはその辺りを整備することだろうね」

「そうですね。頑張りましょう」

俺達が話をしながら歩いていると、ダリルさんの家に到着した。