軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第042話 異世界村長山田

家に帰り、夕食を食べ終えてまったりと過ごしていると、一ノ瀬君から電話があった。

内容は橘さんと同様であり、いいよと言うと、礼を言ってきた。

そして、翌日。

この日は久しぶりに異世界の村に行く日だ。

俺達は朝食を食べ、準備をすると、研究室で肥料をスーパー肥料に変えていく。

もちろん、ミリアムは逃げた。

俺とルリはかなりの量の肥料を変え、ゴミ袋に詰めていくと、1時間くらいでようやくすべての肥料をスーパー肥料に変え終わった。

「あー、疲れた。行くか」

「はい」

「早く行くにゃ。辛いにゃ」

ミリアムがきつそうなのでさっさと家を出ると、両側が森に囲まれた道を歩いていき、村に到着する。

「あれ? 様子がかなり変わってない?」

「家がログハウスになってますねー」

あのぼろ家がログハウスに変わっていた。

それだけでキャンプ場みたいに見える。

ただ、家の配置とかも変わっているため、どこが村長さんの家かわからない。

「どれが誰の家だろ?」

「さあ? 誰かに聞いてみましょう」

「そうするか……」

俺達は村の中を見て回っていると、畑で収穫をしているコーディーさんを見つけた。

「こんにちは、コーディーさん」

「ん? ああ、山田さん。見てくれよ、この野菜。おかげで大収穫だ」

コーディーさんが収穫した野菜を見せてくる。

「すごいですねー。それよりも家が変わったのに驚いているんですけど……」

「いや、あんたらがくれたものだろ」

まあ、そうなんだけどさ。

「早くないです? 2週間やそこらですよ?」

「あれだけの道具ときれいな丸太があればすぐだよ。冬になる前に整えようってことで村の皆、総出でやったし」

うーん、それでも早い気がする。

まあ、こんな所に住んでいるんだから木の扱いは得意なのかもな。

「どうです?」

「おう。すごく良いな。住みやすいし、暖かい」

「それは良かったです。ちなみに、村長さんの家はどこですかね? 場所がわからなくなってしまって」

「そりゃそうだな。あそこだよ」

コーディーさんが先にあるログハウスを指差した。

「どうも。行ってみます」

「はいよ」

俺達はコーディーさんと別れると、村長さんの家に向かった。

玄関の扉の前に来ると、一応、ノックをする。

『誰かな?』

村長さんの声だ。

「私です。山田です」

『おー! どうぞ、どうぞ』

許可を得られたので家に入ると、ガラスの窓まである普通のログハウスだった。

「こんにちは。いやー、びっくりしましたよ。家が全部、変わっているんですもん」

「皆も張り切っていましたからなー。どうぞ、おかけください」

村長さんに勧められたのでテーブルにつく。

「窓ガラスもあるんですね」

「ええ。例の肥料により余裕ができましたので近くの町で買ったんですよ」

「へー……」

ここしか知らないからいまいちこの世界がどのくらいの文化なのかわからんな。

「ありがたいことです。村の皆も活気づいておりますし、タツヤ殿に感謝しております」

「崇めるのはやめてほしいですけどね。モニカは?」

「まだ戻っておりません。ですが、もうすぐでしょうね」

モニカはまだか。

まあ、往復で20日って言ってたし、そんなものかもしれない。

「わかりました。本日はリンゴの苗木を20本持ってきたのでいよいよリンゴ農園を作ります」

「そうですか。ついにですな……」

村長さんが雰囲気を出す。

「はい。早速ですが、東の耕地に植えてきます」

「わかりました。終わったらまた来ていただけますかな?」

「ええ。そのつもりです」

「では、よろしくお願いします」

俺達は村長さんの家を出ると、この前伐採した東に向かった。

そして、空間魔法で土を収納し、苗木を植える作業を繰り返していく。

「こんなもんかなー?」

すべての苗木を植え終えると、汗をぬぐった。

「多分、数日で実るでしょうね。楽しみです」

「そうだね。ルリ、水をお願い」

「はい」

ルリは頷くと、1本1本の苗木にシャワーみたいな水をかけていく。

その光景はやはりかわいいし、微笑ましい。

「終わりましたー」

「ありがとうね」

ルリが戻ってきたので頭を撫でる。

「パパ?」

「パパじゃないよ」

そういう経験すらないよ。

あ、泣きそう。

「山田、哀愁を漂わせてないで村長のところに行くにゃ」

「あ、そうだね」

俺達は村長さんの家に戻ることにし、歩いていくと、村長さんの家の前に村の皆が集まっているのが見えた。

「何あれ?」

「さあ?」

「行ってみるにゃ」

俺達はそのまま歩いていき、皆の前で立っている村長さんのところに向かう。

「村長さん、何をしてるんです?」

「おー、タツヤ殿。戻ってこられましたか。どうでしたかな?」

「ええ。苗木を植えてきました。これで数日、様子を見ます」

「それは良かったです」

村長さんがうんうんと頷いた。

「それでどうしたんですか?」

「そろそろモニカも帰ってきますし、村の目途は立ちました。そろそろかと思いまして」

あー、村長を交代するってことか。

「確かにちょうどいいかもしれませんね」

「はい。では……皆、少し話を聞いてほしい!」

村長さんが皆に語り掛ける。

「ここにいるタツヤ殿のおかげでこの村もかなり安定した。今、監査官のモニカが王都に行き、この村の目途が立ったことを報告しに行っている」

村長さんがそう言うと、皆がざわめき始めた。

「村長、それは本当か?」

村人の1人が聞く。

「ああ。そして、それは認められるだろう。これからはさらなる発展と安定を目指して、皆で頑張ってほしい」

「ここが正式に村になるのか」

「確かに作物は安定して取れるようになったしね」

「ようやくか……」

「大魔導士様のおかげねー」

皆が顔を見合わせた。

「皆、最後まで聞いてほしい! これからこの村はさらなる発展を目指すが、ワシはもう年だ。かねてより、引退を考えており、その相談をモニカとしていた。そこでだ、ワシは引退し、この村のことはここにいるタツヤ殿に任せたいと思う。賛成の者は拍手を!」

村長さんがそう言うと、皆が大きな音を立てて、拍手をする。

「うむ。では、今日この日をもって、この村はタツヤ殿が村長となる。とはいえ、皆も知ってる通り、タツヤ殿は亡きタダシ殿の遺志を継いだ大魔導士様で大変お忙しい。だから何かあればワシかモニカに相談してくれ」

「あれ? 村長さんも残るのか?」

「というか、モニカも?」

村人達が確認する。

「ワシは当然、残るし、タツヤ殿の手伝いをする。また、監査官のモニカは仕事を辞め、タツヤ殿にお仕えするそうだ。すでにそのために動いており、数日後には戻ってくるだろう」

村長さんがそう言うと、村人たちが顔を見合わせた。

「数日……」

「モニカの家を作ってないな……」

「急いだ方が良くないか?」

「あいつ、泣くんじゃないか?」

モニカの家を作ってないらしい。

まあ、いないし、後回しだわな。

「……話は以上だ。皆、これからも頼むぞ」

そう言うと、皆が歓声を上げる。

「よろしい。それではすぐにモニカの家を作りなさい。タツヤ殿の秘書を務めるんじゃぞ」

秘書っぽいと思ってたけど、本当に秘書なんだ……

「マズい……」

「おい、動ける奴は?」

「皆、行けるだろ」

「急げ」

男性陣が慌ててどこかに行くと、女性陣も帰っていった。

「それではタツヤ殿、これからよろしくお願いします」

村長さんが頭を下げる。

「こちらこそお願いします。村長さんが言うように私はずっとこの村にいるわけではありませんから」

「お任せを。それと村長はタツヤ殿ですので私のことはダリルとお呼びください」

そういえば、ダリルって名前だったな。

皆が村長と呼ぶから忘れてた。

「では、ダリルさん。よろしくお願いします」

「はい。リンゴの苗木の世話もお任せを」

「あ、そうだった。ルリ」

「はい」

ルリがダリルさんにノートを渡す。

「これは?」

「リンゴの木の管理の仕方が書いてあります」

「わかりました」

「では、お願いします」

俺達は後のことを任せると、家に帰ることにした。

そして、家に帰ると、ルリが淹れてくれた濃い番茶を飲みながら一息つく。

「いやー、本当に村長になっちゃったね」

「これは始まりにゃ。大貴族山田の偉大なる一歩にゃ」

大貴族山田もダサいなー。

全国の山田さんに悪いけども。

「まあ、大貴族は置いておくとしてもタツヤさんが目指すスローライフにはかなり近づいたと思います」

「まあねー。お金も安定して入るようになったし、村も大丈夫そう」

実に順調だ。

「山田、スマホが光ってるにゃ」

んー?

「あ、橘さんだ」

スマホを手に取ると、橘さんからメッセージが届いていた。

「えーっと?」

キョウカ:今から家に伺ってもいいですか?

「うん……」

この子は何を言っているんだろうか?

家に来るとかマジで捕まっちゃうよ、俺……