軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第024話 かわいい

「まさか一回り以上も離れた高校生と組めと?」

トイレの……じゃない、橘さんだろ。

「はい。それも2人です。まあ、片方は男の子ですが……」

男子高校生と女子高校生と組めと?

この35歳のおっさんが?

「30歳を超えたあたりから若者との差を感じている今日この頃なんですが?」

「ははっ、またまた。山田さんはまだお若いじゃないですか」

あんたとほぼ変わらんわ。

というか、見た目的にはあんたの方が若いだろ。

「桐ヶ谷さんが面倒を見ればいいじゃないですか。私は1人でも大丈夫です。無茶をすることはしません。小さい子がいますし、無茶をする歳でもないです」

何より、ミリアムがいるから問題ない。

「そこです。私は山田さんを非常に高く評価しています。それだけ高い魔力を持っているのに増長せずにちゃんと地に足がついている。本当に大人だと思いますし、力を完全に制御し、自分のものにしている。さすがはタダシさんのお孫さんだと思います。血は争えないですね。だからこそ、そんな山田さんにお願いしたいのです。確かに山田さんが言うように私が面倒を見るのが一番でしょうが、私は他にも仕事がありまして……」

「桐ヶ谷さん、本当のことを言ってください」

営業トークをしている時点で他に思惑があるのがわかる。

「ふぅ……私はさっき言った歴史ある退魔師の家である桐ヶ谷家の者なんですよ。そして、その子達の家とは非常に仲が悪い。ね? 無理でしょ?」

あんたもそっち側の人間かい……

「他にはいないんです?」

「適任者がいないんです……残念ながら」

残念だな。

「具体的にはどうすれば?」

「1ヶ月で構わないので3人で行動し、2人を抑えてください」

若者を抑える。

煙たがられそうだ。

「ロクな目に遭わなさそう……」

「よほど厳しいようだったら言ってください。せっかくヘッドハンティングしてきたあなたを失ってまでするほどの価値があることではありませんから」

まあ、お金を稼がないといけないから辞めはしないけども。

「しかし、高校生かー……」

「大丈夫ですって。真面目な子ですし、チョベリバとか言いませんよ」

おっさんだなー……

「まあ、そういう家の子なら退魔師の仕事を続けていくうえで参考になることもあるかもしれませんね」

「そうです、そうです。タダシさんもそう言って私と組んでましたよ」

魔法の研究か……

「偏屈な爺さんとよく組めましたね」

「口数が少ないだけですよ。それにあれぐらいなら普通な方です」

大魔導士様が普通らしい。

「まあ、わかりました。とりあえずは組んでみましょう。どうするかはその後、考えてみます」

橘さんはともかく、もう一人の方は顔も名前も知らないし。

「ありがたい。査定に色は付けておきますので」

「どうも。ちなみにですが、チームで悪魔を倒した場合の褒賞金はどうなるんです? 3等分?」

損じゃないか?

「そこは安心してください。その2人には褒賞金が出ません」

「え? バイトだから?」

「向こうの家とそういう契約をしているんですよ。こちらだって未成年を預かるというリスクを負っているわけですし」

それ、その高校生2人は納得しているんだろうか?

俺だったら嫌だな。

「私だけもらって文句を言われません?」

「大丈夫ですよ。あれらの家はプライドが高いって言ったでしょう? お金じゃないんですよ」

「あのー……桐ヶ谷さんのところは?」

この人、普通にもらってるよな?

「だから仲が悪いんですよ」

あ、そういうこと……

「あまり深入りはしないようにします」

「それがいいでしょう。ところで、山田さん。山田さんは彼女とかいますか?」

え? 唐突にディス?

「まさか。私はそういうことに諦めを持っていますよ。幸い、家には親戚の子と猫がいますし、寂しくもないです」

ルリもミリアムもかわいいし、一緒にいて楽しい。

「ほうほう。気を付けてくださいよ。ああいう名家の連中も最近は跡継ぎやらに困っています。あなたは優秀ですし、ハニトラを仕掛けてくるかもしれません」

いや、その場合、あの子だろ。

女子高生じゃん……

捕まるわ。

「ご冗談を」

「ははっ。ちなみに、私には妹がいるんですよ」

あんたもかい……

深入りしないっての。

◆◇◆

家に帰って、昼食を食べ始めると、ルリに午前中あったことを説明した。

「それで了承されたわけですか?」

「まあね。一度、組んでから考えようと思って。どんな魔法を使うのか気になるし」

「なるほど。でも、高校生なんですよね? 学校があるのでは?」

それなんだよなー。

「だから活動は夜というか、学校終わりだね。後は土日。それ以外は好きにしていいとは言われたけど」

「そうすると、村には平日の昼間に行く感じですかね?」

「そうなるね」

「まあ、自由の利くお仕事に転職されたわけですし、時間はありますからね。良いと思います。あ、リンゴの苗木が届いたので研究室に置いておきましたよ」

おっ、届いたのか。

「じゃあ、早速、植えてみようか」

「そうですね……どこに植えます?」

まずは試しだしなー。

「あっちの家の前にでも植えようか」

「わかりました。じゃあ、ご飯を食べ終わったらやりましょう」

俺達はそのまま昼食を食べると、研究室に行き、残っていた肥料をスーパー肥料に変える。

そして、家の前に空間魔法で穴を開けると、苗木を植え、土と混ぜた肥料で埋めていった。

「ルリ、最後に水を」

「わかりました」

ルリは頷くと、リンゴの苗木に向かって手を掲げる。

すると、ルリの手からシャワーのような水が出てきて、苗木を濡らした。

やっぱりなんかかわいい。