軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第226話 お礼

俺達もフェリクスさんに続いて部屋に入ると、執務用のデスクにつくクロード様がいた。

「お久しぶりです、クロード様」

「ああ。元気そうで何よりだ」

「クロード様もお元気そうで何よりです。あ、こちらをどうぞ」

空間魔法からリンゴとリンゴ酒を取り出し、デスクに置く。

「リンゴはわかるが、これは? ジュースかな?」

クロード様がリンゴ酒を手に取った。

「リンゴで作ったお酒ですね。ちょっと甘いかもしれませんが、陛下には好評でした。売り物にできるほど数は作れませんが、良かったらどうぞ」

「それはありがたい。感謝する」

「いえいえ。ウチにはリンゴくらいしかありませんから」

まあ、他の果物も持ってくればできるんだろうが、そこまではする気がない。

変に目立っても嫌だし。

「そのリンゴが素晴らしいがな……それよりもその子は?」

クロード様がルリを見る。

「あ、紹介が遅れました。娘のルリです」

紹介すると、ルリがぺこりと頭を下げた。

「辺境伯の娘だったか。そういえば、結婚しているんだったな」

してないけどね。

もはや1年後にする未来しか見えないけど。

「ええ。妻は別件でいませんが、今日は娘を連れてきました」

可愛いだろ?

「フェリクスに聞いていたが、見た目麗しいし、賢そうではないか。引く手あまただな」

ウチの子はやらないけどな。

「ありがとうございます」

「それにいつのまにやら男爵から辺境伯に陞爵したようだな?」

クロード様が笑う。

「大森林はいらないからお前にやるって言われましたよ」

「まあ、破格の出世であることには変わりないだろう。私としても喜ばしい限りだ」

良い人だわー。

「ありがとうございます。これもクロード様のおかげです」

「気にするな。こちらも助かっている」

「それと舗装工事の援助についてもありがとうございます。無事に工事も終わり、先程、確認しましたが、立派な道になっておりました。あれなら馬車もスムーズに通行できます」

よくあんなに綺麗に石を並べられるものだ。

「うむ。大規模なインフラ整備計画は前から話があったからな。そのタイミングで商業ギルドから要望があったし、冬で仕事がない者も多かったからちょうどよかったのだ。こちらとしてもリンゴをいち早く運べるのは大きい。それに辺境伯の村はリンゴだけでなく、木材も輸出しているだろう? あれも結構大きいのだ」

ウチは木材やその加工品も売っている。

どうやら評判が良いらしい。

「それはありがたいです」

「うむ。非常に助かっているし、これからも頼みたい」

「もちろんです。これからもよろしくお願いします」

これが大事。

私は増長しませんし、仲良くしたいですという意思表示。

「それと辺境伯。王都でのことを聞きたい」

「悪魔のことですか?」

「ああ。街中に上級悪魔が出たというのは聞いていたが、城での夜会にも出たらしいな?」

もう情報を掴んでいるのか。

いや、王都から知らせがあったのかもしれない。

「街中に出た上級悪魔については直接見たわけではありませんが、妻が斬りました」

「聞いておる。悪魔退治専門の魔法使いらしいな。そんな魔法使いは聞いたことがないが……」

いないのか。

「悪魔は人に悪影響を与えますからね。対処をしなければなりません」

ミリアムは違うけど。

「うーむ、まあ、魔法使いは特殊だし、色んな人間がいるか……」

「まあ、そうですね。私もあまり人のことを言えません」

「確かにな……」

あ、謙遜だったのに肯定された……

「クロード様、悪魔教団のことは?」

「もちろん、知っておる。辺境伯には話しておくが、数年前にテロの未遂事件がこの町でもあったのだ」

え?

「そ、そうなのですか?」

「うむ。教団の人間が何人か町に潜入し、テロ計画を立てていたのだ。それを事前に摘発し、食い止めた」

「よく防げましたね」

言いたかないけど、城でも止められなかったのに。

「ウチの町は大人しい人間が多いし、怪しい人間がいたらすぐに噂が広まるんだよ。引っ越してきたのにまったく外に出ずに籠りっぱなしの人間がいるという報告を受けたんだ」

そりゃ怪しい。

「それが悪魔教団でしたか」

「ああ。私の直轄地であるこのハリアーでテロなど許さん。即刻、処刑した」

まあ、そうだろうな。

「ウチは大丈夫だと思いますけど、気を付けます」

「それが良いだろう。それで城の件は?」

「パーティー中に召喚の魔法陣から悪魔が現れ、陛下を狙いました。悪魔は私と妻で片付けましたので被害はありません。ですが、城でのパーティーでそういうことが起きたということは……」

「教団の人間が城の中にいるわけだな?」

まあ、わかるよね。

「そのようです。現在、城の者達やパーティーの出席者を洗っているようです。ですが、話を聞く限りでは上手くいってなさそうです」

そんな感じがした。

「難しい問題だからな。この国は貴族の力が強い。いくら陛下でも簡単には断罪できん」

良いことなのか、悪いことなのか……

貴族になった俺にはわからない。

ましてや、村に見られたくないものが多いし。

「私が一番の容疑者だったらしいです」

「まあ、それはな……でも、辺境伯はないだろう」

なんで皆、そう言い切れるんだろう?

自分で言うのもなんだが、怪しくない?

「一応、陛下もそう言っておられましたし、ラヴェル侯爵も庇ってくれました」

「だろうな。辺境伯はどこかのほほんとしているし」

してるか?

うーん、わからん。

「あ、それとパーティーにはポートリエ伯爵もいましたし、そちらから情報を得てもいいと思います」

確かクロード様と同期って言っていた。

「ラウレンツか……確かにあいつなら情報をくれそうだな……わかった。こちらでも探ってみるし、何かあったら辺境伯にも伝えよう」

やっぱりクロード様はできた人だな、

「ありがとうございます。当分は大人しくしようと思っていますので」

「それでいいだろう。引き続き、よろしく頼む」

「ええ。こちらこそ。では、これで失礼します」

クロード様との話を終えたので退室し、町を出ると、転移で村に帰ることにした。