軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第167話 説明プリーズ

桐ヶ谷さんとの電話を終えると、スマホをポケットにしまう。

「1時間ほど待機して、その後は帰っていいってさ」

「もう車もないし、やることないだろうな」

ユウセイ君はそう言って、後部座席に背を預ける。

「まあ、私達、何もしてないけどね」

「敵が悪魔一人だったからなー。しかし、山田さん、700万円取り損ねたな」

まあ、そうなんだけどね。

「こればっかりは仕方がないよ。いつも上手くいくとは限らない」

参加費300万円で我慢しよう。

「逃げたディオンはどうするんですかね?」

キョウカが聞いてくる。

「協会に呼ばれたから明日、その辺を桐ヶ谷さんと話してみるよ。調査の仕事が入るかもね」

「放ってはおけませんからね。人を殺すことに何とも思っていない感じでした」

確かにね。

「ミリアム、悪魔ってあんな感じなの?」

「教団が呼ぶのがそんな感じなんだと思うにゃ。悪魔は基本、自己中だけど、怠惰で人に興味を持っている者は少ないにゃ」

「ミリアムは人に興味があるの?」

ディオン曰く、珍しい使い魔になるくらいだし。

「私は昔から人に可愛がられてたにゃ。歩くだけでエサをもらえたにゃ。まあ、子供に追いかけられることも多いけど」

完全に猫だな。

「ミリアムちゃんは可愛いからねー」

キョウカがミリアムを抱え、頬ずりをする。

「離すにゃ」

俺達はこの場で待機することにし、話をしながら時間が過ぎるのを待つ。

そして、時刻は11時を回ったので帰ることにした。

「このまま家まで送ろうか? それとも一回ウチに寄る?」

「腹減ったなー」

「じゃあ、ウチに寄って何か食べようか」

正直に言うと、スーツをどうにかしたい。

「それで」

俺は車を発進させると、自宅に向かう。

家に到着し、リビングに向かうと、ルリとモニカがコタツに入りながらバラエティ番組を見ていた。

「あ、おかえりなさい」

「おかえりなさい」

2人がこちらを見る。

「ただいま。ちょっと着替えてくるからユウセイ君に食べられるものでもあげてくれる?」

「わかりました」

ルリが頷いたので自室に入り、スーツを脱ぐ。

「うわー。さすがに捨てるしかないな」

がっつり穴が開いている。

『タツヤ様、少しよろしいでしょうか?』

ん? モニカ?

「いいよ」

許可を出すと、モニカが部屋に入ってくる。

「失礼します。本日はお疲れさまでした」

「まあ、仕事だからねー。どうしたの?」

「はい。実はマリエル様から連絡がありました。まあ、特別用事があるという感じではなさそうですが、明日、キョウカさんをお茶会に誘っています」

「明日?」

急だね。

「はい。今日は遅くまででしたし、どうでしょうか? さすがに急ですし、断ることも日にちをずらすことはできると思いますが……」

まあ、そんなことで怒るマリエル様ではないだろう。

「うーん、俺は明日、用事があるんだよなー……キョウカー、ちょっといい?」

「何ですかー?」

キョウカを呼ぶと、ミリアムを抱えたままやってくる。

「明日なんだけど、マリエル様がお茶会に誘っているんだってさ」

「ああ……マリエル様、お茶会という名のおしゃべりが好きですもんねー」

キョウカは気に入られているからな。

「それでどうする? 俺は明日、協会に行くから行けない。それに疲れたでしょ」

「いや、私、何もしてないから疲れてないですよ。それにせっかくマリエル様が誘ってくださったのですから行きますよ」

まあ、キョウカがそう言うなら……

「モニカは大丈夫?」

「大丈夫です。村の方は落ち着いていますし、明日はこちらでゆっくりしようと思っていましたから」

モニカも大丈夫か。

「ミリアム、悪いけど、明日、2人を連れていってくれる?」

「わかったにゃ」

明日の予定を決めると着替え、リビングに戻る。

リビングではユウセイ君がうどんを食べていたので食べ終えるのを待って2人を家にまで送り届けた。

そして、翌日。

この日は朝からキョウカとモニカがやってきて、ミリアムと共に異世界の王都に行った。

俺はルリとゆっくりと過ごすと、昼過ぎには家を出て、協会に向かう。

協会に到着すると、ロビーに多くの人がおり、バタバタしていたが、受付の子に桐ヶ谷さんを呼んでもらう。

すると、すぐに桐ヶ谷さんがエレベーターから降りてきたのでいつものソファーに座り、対面した。

「皆さん、忙しそうですね」

「昨日の今日ですからね。山田さんもお疲れさまでした」

桐ヶ谷さんが頭を下げてくる。

「いえ、ディオンを取り逃がしてすみませんでした」

「それは仕方がないことです。実際、強さはどうでした?」

「強かったですね。ただ対処できないほどではないです」

実際、そこまでだったと思う。

魅了という特殊能力があるロザリーの方がよっぽど怖い。

「なるほど……ディオンについては引き続き、こちらでも捜索をします。山田さんももし、見つけたらすぐに討伐してください。もちろん、その時は報酬をお支払いします」

700万円か。

「わかりました。そちらの方はどうでしたか?」

気になっているのはそこだ。

「敵の根城は叩きました。現在、逃げた者達を泳がせ、別のところも調査中です」

「無事に終わりそうですか?」

「おそらくは……しかし、敵の根城に行きましたが、ひどいものでしたよ。生贄やら何やら……」

生贄って……

「悪魔教団を名乗るくらいですもんね……」

「はい。何体か悪魔もいましたが、それも討伐しました」

さすがだ。

まあ、桐ヶ谷さんも上の階級だしな。

「無事に終わりそうなら良かったです」

「ええ。あ、一ノ瀬君にバイトを再開しても良いと伝えてもらえますか?」

「わかりました。本人もそこを気にしていましたので」

「でしょうね。それでですが、山田さん、ちょっとお話があるんです」

話?

「仕事ですか?」

「いえ……ロザリーのことです」

あー……

「どうしましょうね?」

「はい。実はこちらでも協議をしているのですが、結論が出ません。山田さんの話を聞く限り、すでに悪魔教団と手を切っており、害はなさそうです。ですが、悪魔であり、危険なことに変わりありません」

まあね。

「でも、ロザリーはちょっと……」

「そうなんです。山田さん曰く、相当な悪魔らしいですし、何よりも魅了が怖い。下手に手を出して被害を出すのはどうなんだという意見も強いのです。何しろ、悪魔教団のことでウチも人が減っていますからね」

これはわかる。

「身をもって体験していますが、あの魅了は退魔師の実力や魔力云々じゃありませんよ。ロザリーに見つめられるだけで押し倒そうと思っちゃいますもん」

「そういう悪魔は過去にもいたんですが、難しいんですよ」

いたのか……

「私にどうしろと?」

「もし、会うことがあればちょっと話をしてくれませんか? できたら海外にでも行ってくれ的なことを伝えてもらって……」

どっか行けってことね。

「まあ、それとなく伝えてはみます」

「お願いします。それとですが、今回の仕事の報酬とランクアップについては今しばらくお待ちください」

「ええ。それは承知しています。こちらのことよりも協会のことを優先してください」

「ありがとうございます。いやー、山田さんは人間ができてらっしゃるし、話がわかる人で良かった」

だからこれが普通なんだけどね。

他の退魔師はどんだけなんだよ。

「では、私はこれで帰ります。また適当に仕事をしますよ」

「ええ。よろしくお願いします」

話が終わったので地下の駐車場に行き、車に乗り込む。

「ん?」

車に乗り込み、シートベルトを締めると、スマホが鳴ったので画面を見てみた。

「キョウカ? マリエル様のところでは?」

よくわからないが、キョウカからメッセージが届いていたので開いてみる。

キョウカ:残虐の悪魔ディオンを倒しましたー

「はい?」

何を言ってんの?