軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第161話 高給取り山田

温泉旅館に泊まった翌日、微妙に寝不足だったものの、朝風呂に入り、朝食を食べると、旅館を出て、東京に向けて出発した。

「タツヤさん、大丈夫です? 眠そうですけど……」

「大丈夫。そこまで眠くないし、こうやって話をしていれば問題ないよ。それよりも昨日の夜、変な声が聞こえなかった?」

「聞こえましたねー。鬱陶しかったですけど、黙れって言ったら黙りましたよ」

それで大人しく黙ったの?

「へー……こっちはしつこいくらいだったよ。最後はほぼ暴言だったし」

「悪魔って色々いますよね。やっぱりミリアムちゃんが一番かわいいです」

それは激しく同意する。

ウチの子が一番かわいい。

俺達はその後も話をしながら車を走らせ、東京に向かった。

そして、昼前には我が家に到着したのでキョウカの誕生会という名の食事会を行うことにした。

もちろん、いつものようにモニカとユウセイ君もいる。

俺達はキョウカの誕生日を祝いながらルリが作ってくれた豪勢な食事を食べていく。

「タツヤさん、お疲れですか? ストゼロでも飲みます?」

俺のことを心配したルリが聞いてくるが、もしかして、ルリってストゼロを栄養ドリンクか何かと勘違いしてないだろうか?

「いや、昨日の夜、またロザリーが現れてね。鬱陶しかっただけ」

「またですか……」

「やっぱりいたにゃ……」

ルリとミリアムが呆れる。

「すんごいお節介だったよ。しまいには男子高校生に興味ありますかとか聞いてきた」

「…………え? 俺!?」

我関せずに食べていたユウセイ君が驚いて顔を上げた。

「多分ね。だからユウセイ君もロザリーには気を付けて。あの悪魔は愛さえあれば何でもいいらしい」

「なんて恐ろしい悪魔なんだ……」

ホントだよ。

「それでさ、その時にぽろっと漏らしてたけど、名古屋支部を壊滅させた残虐の悪魔ディオンとかいうのがもしかしたら東京にいるかもしれない」

「確かにそんな感じがするようなことを言ってましたね」

キョウカも同意する。

「マジで?」

「多分だけどね。明日、桐ヶ谷さんがウチに来るし、ちょっと聞いてみるよ」

「わかった。明日は学校終わりにここに来るわ」

「私もそうします」

まあ、いいんだけど、君ら、ほぼ毎日来てるじゃん。

俺達は明日の予定を決めると、誕生会を再開し、食事を楽しんだ。

そして、翌日の月曜日、この日は桐ヶ谷さんが訪ねてくるため、朝から掃除をし、待つ。

すると、昼過ぎに桐ヶ谷さんがやってきた。

「こんにちは。こうやって直接会うのは久しぶりですね」

確かにそうだ。

いつも電話だったし、会うのは悪魔教団の説明を聞いた時以来だ。

「ホントですね。まあ、中にどうぞ」

「ありがとうございます」

桐ヶ谷さんを招き入れると、リビングに向かう。

そして、ルリがお茶を淹れ、コタツに置くと、リビングから出ていったので2人きりになる。

とはいえ、部屋の隅の段ボールの中にはミリアムは控えている。

「いやー、すみませんね。かわいい子がいるのに長く出張させてしまって」

桐ヶ谷さんは一口お茶を飲むと、謝ってくる。

「いえいえ、これも仕事ですし、あんなことがあれば仕方はないです」

本当はずっと家にいたけどね。

ただ、微妙に外に出られないのはきつかった。

「そう言ってもらえると助かります。言い訳をすると、こちらもバタバタしておりましてね」

「そんな気はしていました。それで話とは?」

「そうですね……色々あるのですが、まずは山田さんが喜びそうな話からしましょうか」

喜ぶ……

報酬! ランクアップ!

「何でしょう?」

そわそわ。

「まずですが、今回の指名依頼を受けてくださったということで300万円が支払われます」

「はい!」

すげー!

まあ、これは受けるだけでもらえる金額だ。

でも、すげー!

「次にですが、今回の調査で見事、召喚の魔法陣を見つけてくださいました。これで成功報酬としてさらに300万円が支払われます」

倍っ!

あわわ、600万円だ。

成功報酬は500万って聞いてたのに100万も多い!

「あ、ありがとうございます」

「それで上の方は今回の貢献を非常に高く買っているようで山田さんは本日を以て、8級から7級に昇格することになりました」

うひゃー!

ボーナス600万円に加え、月収が100万円に!?

うひゃうひゃ。

「にゃー……」

部屋の隅のダンボールの中から『落ち着くにゃ』って聞こえてきた。

「大変、ありがたいですね」

「そうですか……喜んでもらえて何よりです。ただですね、実は7級止まりで良いのかという声もあるのです」

あ、そういえば、この仕事の話を受ける際に内容次第では6級も十分にあり得るって言ってたぞ。

「6級になれるんですか?」

「そういう声もあります」

声もある?

「ダメという声もあるということですか?」

「ダメというわけではないですよ。早すぎではという声もありましたが、こういう仕事をしてもらっている退魔師さんに対してケチるところではないだろうということで6級にしてもいいだろうという方向で進んでいます」

ん?

どういうこと?

「つまり?」

「6級にはする予定です。ただですね、これが別の話にも繋がるんですが、ちょっと協会自体が立て込んでましてね。今からその話をしましょうか」

まあ、報酬以外の話もあるだろうとは思っていた。

特に内通者疑惑のことや残虐の悪魔ディオンのことだ。

「聞きましょう」

とりあえずは話を聞いてからだな。